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初めての作品です。
生温かく見守ってください。
「晴明殿、私は文官です。」
俺は、ため息と共に目の前の人物にそう呟いた。
目の前の人物 安倍晴明殿は、その秀麗な顔でにっこりと微笑んだ。
「もちろん、存じておりますよ。」
「そもそも、陰陽寮も文官です。」
重ねて、晴明殿はおっしゃった。
「ある意味そうかもしれませんけどね。」
俺はジト目で晴明殿を見やる。
「しかし、物の化相手に戦うことなど、私にはできません。」
そうなのだ、陰陽寮は、基本 晴明殿のおっしゃられるように文官だ。
しかし、それだけではない。
陰陽寮は、この日の本を脅かす物の化を祓うこともその職務に含んでいるのである。
「私には、そのような能力は持ち合わせておりませんので……」
続けて固辞する私に、晴明殿は再び艶やかな微笑を向ける。
「本当に、そうでしょうか?」
「まぁ、良いでしょう。今日のところはこれで引き上げます。」
そう言って、晴明殿は立ち上がった。
「しかし、気が変わったら、いつでもお越しくださいね。」
最後に笑顔でそう付け加えるのを忘れなかった。