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devils forest  作者: 紺野 柚季
深禍の森の日常編
1/3

00_プロローグ

昔々、その昔。

……というほど昔でもない、けれど昔のお話です。


ある大陸の端の方に、“災禍の森”と呼ばれる森がありました。


古の時代に降ろされた大悪魔の力の余波で魔法に侵されたその森は、常に黒い霧に覆われ、恐ろしい魔獣が蔓延る、まさに“災禍”の森でした。


周囲を囲う結界を一歩でも踏み越えてしまうと、たちまち魔法に襲われ霧に包まれ、魔獣に喰われてしまう、そんな森。

人間が住めるはずもありません。


さてさて。

ある時、その恐ろしい森に、どこからか逃げてきたらしい女が住み着きました。


黒い霧に覆われ、魔法に侵された、魔獣の闊歩する森の奥の奥。

そんな危険どころではない場所に平然と居を構えたその女は、当然、人間ではありませんでした。


闇の者。紅月の使者。悪魔。吸血鬼。


そう呼ばれる彼女は、淡く光を反射する灰白色の髪をなびかせ、腕を一振りすると、あっという間に森を屈服させてしまいました。


濃紫の虹彩に金銀の散った目は、人間ではない証。


人々が『次はこちらに来るのでは』と戦々恐々とする中、当の彼女は森に更に強い結界を張り、近隣の住民に『森に入らなければ何もしない』と約束し、森に閉じこもってしまいました。


約束があれど、何をしているか分からない彼女に、人々は怯え、いつしか“災禍の森”は“深禍の森”と名前を変えました。

そして、その森には、人間を喰らう恐ろしい悪魔が住んでいる、という話になってしまったのです。



……本当は、穏やかにのんびりと、悠々自適の生活を送っているだけなのですが。






さて、さて。


黒い霧を晴らし、魔法を解き、魔獣を手懐けた、至って穏やかな悪魔は。


今日も“深禍の森”の奥深く。


綺麗な微笑みを浮かべて、大切な養い子と共に暮らしているのです。

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