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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ネグレクト

作者: 風薔あやか

弟×兄です。大事なことなので二度言いますが弟×兄です。リア友に見せる用。





ネグレクト 


「どっちに付いていくか、決めときなさいよ」

哉途(かなと)が目覚めの水を求めてリビングへ行くと、仕事へ行く母が振り向かぬまま言った。

なんのことかと視線を彷徨わせると、机の上にそれらしきものを見つける。

カンカン、とパンプスのかかとをはめる音を残してドアは閉じられ、薄暗い室内に一枚の紙と一人の高校生が取り残される。

離婚届けと書かれた紙にはすでに両親の名前と判があり、哉途の預かりしらないところで未来は二つに分かれていた。

とはいえ、悲しいだとか、引き止めたいだとか、そういった感情は微塵も湧いてこない。

むしろ一つ屋根の下に3人が納まっていたことのほうが不自然だったとさえ思う。

夫婦仲どころか家族間の関係はもはや無いに等しく、他人が同居してるといった方が適切な生活だった。それも殆ど、寝るだけの家に。

実際哉途は友達の家に泊まることも多く、各々意図的に数日顔をあわせないこともざらにあった。

 どっちに付いていったって、大差ねーだろ。

と、いうより、どちらにも付いていきたくないという気持ちが大きい。

こんな時に相談する相手は、決まって一人だった。


「ああ、兄貴?俺。哉途。久しぶり」

パサついたパンを胃に収めた哉途は、自室のベッドに戻り兄の樹希(いつき)に電話をかけた。

7つ年の離れた樹希は、哉途が唯一肉親と認める存在で、一年と半年前から社会人として一人暮らしをしている。

『哉途か。どうした?』

耳ざわりのいい綺麗な声が哉途に届く。それだけで心が穏やかに凪いでいくのを感じながら、話を切り出した。

「今大丈夫?」

『家だしな。暇してる。哉途は?』

「いつもどーり。今日は休日だからサボりではないってだけだな。ああそう、久しぶりに母親見たよ」

『休日に家にいるなんて珍しい』

「いや、すぐ出てったけど。どっちに付いていくか決めろってさ。」

『どっちに付いていく…?』

要領を得ない俺の話に、兄貴は言葉をつまらせた。

「あの人たち離婚するっぽくて、そんで、どっちか」

『ああ、そんなことか。そんなことっていったらだめだよな…うーん』

兄貴も俺と同じようにあっさりと受け入れ、―多分兄もまたそれが自然だと思っているに違いない―煮え切らない様子で、暗にどっちもどっちだろうと伝えていた。

「どっちでもいいんだけどさ、どっちも嫌なんだよね」

『だろうなぁー。どっちもオススメできないけど、親父のがまだいいんじゃないか。同じ男だし』

「でも何年も口きいてないぜー?」

『本当にどっちもどっちだな』

兄貴の苦笑がかすかに伝わり、俺もため息を吐いた。

「どっちいったって他人との同居だよ。俺の家族は兄ちゃんだけ」

昔から言っていた言葉が出て、兄の呼び名も自然と昔に戻る。

―兄ちゃんが全部なってやるから。パパもママも、全部兄ちゃんがなってやるからな―

あの時俺を抱きしめてくれた兄は、今や俺より10センチも低い。

宣言どおり兄は、義務教育を終えるまで俺の母となり父となり、面倒を見てくれた。

部活やサークルにも入らず、バイト…は両親から金だけは貰っていたので、していなかったようだけど。

学校から配られる手紙もほぼ全て兄に渡していたし、勉強の面倒も、弁当も作ってもらっていた。

だから兄貴には恩があるし、今でも大好きだ。

『…両親だって、哉途のことを息子とは思ってるよ』

「ははっ!いいってそういうのは。あいつら兄貴のことも一切口に出さないんだぜ?家族愛とか、持ち合わせてないんだよ」

『まあ、俺はもういいけどな。哉途がいたし』

「俺だってそうだよ。…………一緒に住むなら兄貴んとこがいいなー…とか、」

断られても傷つかない言い回しで曖昧に話を持ち出す。兄貴に嫌われているとは思わないが、新生活を送って少ししかたたないのに、役立たずの俺の面倒を見れる気がしなかった。

『ん?来るか?狭いけど』

「えっ、いいの?」

意外にもあっさり承諾された驚きと喜びで、がばっと上半身を起こす。心臓がどくどくと激しく胸を叩いている。これからの期待と、上手く事を運ばなくてはという緊張感で。

『哉途が行ってるのって南高だろ。ちょっと遠くはなるけど、電車で一本だし。通えなくはないんじゃないか』

「いや、俺はべつに、高校なんかどんだけ遠くなったっていいけど…ほら、兄貴仕事から帰ってきて俺いたら迷惑になんないかな、とかさ、兄貴の生活リズムがあんじゃん」

『別に今まで一緒に暮らしてたんだから、今更苦にはなんねえよ。なにお前、俺とも気まずくなるかもしれないって思ってんのか?』

「ちがっ!そうじゃねえって!」

『はいストップ。もう決まってるくせに迷ってるみたいだから、卑怯な手、使うけどな………俺よりあの人たちを選ぶのか?』

冷たく問いただす兄に、わかりきったことを聞く兄に思わず大声で言い返す。

「そっ…!んなわけねえだろ!!!」

『ならこい。あの人達には俺から言っとくよ』

穏やかで優しい声は、電話越しなのに頭を撫でられたような気がした。

まさかこんな最高の形で話がまとまるとは思ってもみなくて、ここしばらく感じなかった高揚感で一杯になる。

「うん、親父には言っといてくれると助かる。母親には今日言うよ」

『わかった。反対はされないと思うけど、決まり次第手続きとか済ませるから』

「ん。ありがとう」

『兄弟なんだから当然だろ』

「まじ兄貴大好き」

『わかったから』

苦笑する兄貴が昼ごはんを作り始めるまで、俺たちはだらだらと電話で話し続けた。




数十日後

業者に頼んであらかじめ荷物は送っていたため、今日居候…とはまた違うが、同居することになった俺はバッグ一つで兄貴の家に上がった。

「おじゃまします」

一応一言そう言うと、居間から頭だけ出した兄貴が「おじゃましますはないだろ、おじゃましますは」とすかさず突っ込みを入れてきたので、「ただいま…」と言い直す。

「おかえり」

微笑む兄貴の顔を直視できなくて、自然を装って部屋をぐるりと見回した。

「まじで狭ぇ…」

実は今日が初めての訪問だったため、今まで過ごしていた実家と比べると、その狭さにまず驚いた。

部屋は俺を迎えるために掃除してくれたのだろう。綺麗に整頓されてはいたが、キッチンと居間は仕切られておらず、6畳一間風呂トイレ付きという、完全に一人暮らし用のアパートだった。

「だから狭いって言っただろ。これでも収納力は結構あるんだ。それにあの家がでかすぎるだけなんだよ」

まあお前はデカイから、俺より窮屈に感じるだろうけど、と兄貴は腰を落ち着けた。

テーブルはあっても椅子なんてものはなく、俺は座布団の上に座る。ベランダに続く窓ガラスから注ぐ光のおかげで、部屋は明るい雰囲気を持っていた。

一年ちょっと離れていただけなのに、なんだか距離感が掴めずに落ち着かない。…もしかしたらその原因は、年月だけじゃなく、完全に二人っきりということに問題があるのかもしれない。

沈黙になるのも嫌で、来る前から話そうと思っていたことを口に出す。

「あのさ、まだ料理とかちゃんとできねえけど、ちゃんとやるから。料理だけじゃなくて、掃除とか、洗濯とかも」

「あーそうだな。色々教えるから、覚えてけ。男子高校生の体力は期待してるからな」

「兄貴だってまだまだ現役だろ」

「上司もそういって俺をこき使うんだ」

仇を見るような目で見上げてくるもんだから、俺は堪えきれず笑ってしまった。兄貴は兄貴だ、変わってない。俺が居なくても変わらなかったのかと考えると少し寂しい気もしたけど、これからはまた一緒にいられるんだ。

「とりあえずさ、今俺に出来ることとかねえ?」

「……準備しちゃってたからなー。じゃあ買い物行くか。何食いたい?」

久しぶりに食べる兄貴の飯。知り尽くしている兄貴の作れるレパートリーが頭の中にいくつも浮かぶ。が、やっぱりここはあれだろ。

「ハンバーグ!!」

「よしきた」

兄貴は立ち上がると、鞄の中から財布を取り出しエコバックの中に入れて、俺を呼んだ。完全に主婦だ。


スーパーは徒歩10分圏内にあり、且つ駅からの帰り道にあるから、これからは学校帰りにお使いを頼まれたりするんだろうなと妄想が広がった。

買う食材は男二人分にしては若干少ないような気がしたが、これだけ近いから買い溜めしないのだろう。冷蔵庫も一人暮らしようのだし、沢山は入らないのかもしれない。

俺が先回りしてがレジの向こうで待っていると、兄貴は頬を緩ませてやってきた。ふいと視線を奥にやれば、レジ打ちをやっている女の子が見える。

カゴの中身をエコバックに詰める作業を手伝いながら、兄貴の頬を突付いた。

「なんだよ」

「ゆるんでるぜ、兄貴。レジの子好みだったのか?」

「はぁ?違うよ。その…あー、緩んでたとか不覚だ」

「なんだよー何があったんだよー教えろよー」

「『弟さんですか?格好いいですね』…って言われただけだよ」

いくぞ。と先に自動ドアを抜ける兄貴を、食材の詰まった袋を持って追う。隣に並んで信号が青に変わるのを待つ。

「で、兄貴はなんでそんなことで嬉しそうにしてたわけ?」

「弟褒められて、喜んじゃ悪いか」

拗ねたように歯切れの悪い兄貴が、なんだかとても可愛く見えて心臓が高鳴った。しかも俺を褒められたのが嬉しくて、だ。

こっちまで照れてしまって顔を背け、「あんなの、たいして珍しくもねーよ」と否定気味に答え、横断歩道を歩き始める。昼間よりは温度の低い風が肌を掠め、日暮れを感じさせた。

「よくあるのか」

「まあまあ。高校入ってからそういうの増えた」

「背、伸びたもんなあ」

「悔しい?」

「いや。成長が嬉しいような、寂しいような。兄ってのはそんなもんなんだよ」

「そっちじゃなくて、俺がモテるのが」

茶化してみれば、兄貴は一瞬間の抜けた顔をしたあと、失礼にも笑い声を漏らした。

「馬鹿。んなわけないだろ」

「なんだー兄貴もモテるのか」

「残念ながら、生まれてこの方恋人0だ」

「兄貴格好いいのにな」

兄貴は母親似で、俺は親父に似てるから、俺たちはあまり似てはいないけど。俺の髪は真っ黒で、兄貴の髪は薄い茶色。俺の目は細めだけど、兄貴の目は大きくて釣り目っぽい。あとなんか全体的に優美な感じがする。腰とか。手とか。首とか。どちらかといえば、格好いいよりは綺麗、かもしれない。

「哉途はどうなんだよ。高校入って彼女できたか?」

「んー。居るっちゃいるけど、もう別れるわ。必要ない」

「え、な、なんでそうなる?」

中学時代も告白されなかったわけじゃないのに、高校に入って恋人を作ったのは、ひとえに誰かを求めたからだ。誰か、とはつまり、兄貴の代わりになる誰か。

優しくてなんでもできて頼りになって、ぬくもりを与えてくれる人。

でもどいつもこいつもどっか違ってて、三人目で完璧を求めるのは諦めた。

「言ったろ、俺は兄ちゃんだけいればいいんだって」

袋を右手に持ち替えて、俺は兄貴の手を握った。


終わる。

言い訳をさせてください!!!!

全体的に(外見説明の遅さとか人物描写の粗さとかキャラ定まってない感とか会話文と地の文の比率とか)酷いんだけど、特にオチが酷いってこたぁわかってるんだ。言われるまでもなくわかってるんだ!!弁解させてくれ!!

元々、

・兄は両親からの愛情不足と、孤独を7年間も味わっていて、人と上手く馴染んでいけない性質。

・弟は兄の過保護的なまでの愛情で逆に他に興味がなくなったとか適当設定。

で、そんな二人が期間をあけてくっついちゃったもんだから、以前にもまして二人はお互いしかいらなくなっちゃって、世間から孤立、「ふたりぼっちだな」END!が、理想だったんだけど!!!!!!!!!私が書きたいのはそこだったんだけど!!!!!!!!!

世間からの孤立って短く収めるのどうやったらいいの!!!てかそもそもこんな重たい設定書けねえ!!

という無理難題という書き始める前に気づけ馬鹿という大きな壁にブチあたり、続き難航中です

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