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 そうして和子の家族と穏やかな団欒の一時を過ごして彼女と別れる際、和子は「突然メールを送ったりして悪かったわね」と本当に申し訳なさそうな声で言った。

「なんか、どうしても会いたくなっちゃってね。でも、本当に助かったわ。ありがとう、日阪君」

 和子がそう言って頭を下げてきたので、陽は慌てて「いや、いいんですよ」と大きく手を振った。すると、朝陽が「こんな兄貴だし、こき使ってやってくださいね」と笑った。

「じゃあ、また学校で」

 和子は手を振り、そう言った。「またね」と朝陽は腕を振り返し、歩き出していく。陽はそこでふと、和子に呼び止められた気がした。

 振り返り、視線が合った。和子はすぐに苦笑して、「ごめん、なんでもないの」と首を振った

 何故か、陽は不安な気持ちになった。このまま彼女と離れてしまったら、何かが変わってしまいそうな、そんな悪い予感を覚えたのだ。だが、その気持ちを払い除けて、「じゃあ、また大学で」と歩き出す。

 しかしずっと和子の視線はこちらへと向けられており、逸らされることがなかった。

 それでも陽は振り返ることができなかった。胸を覆うこの圧迫感は何なのだろうと思ったが、その時の陽には為す術がなかったのだ。


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