表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

 日阪陽は、今年の春から都内の私立大に通い始めた、極めて真面目な学生だった。授業は必ず出席し、この七月までに一回たりとも欠席したことはなかった。

 授業中はひたすら熱心に耳を傾け、ノートには板書だけでなく、講師の語った内容もまとめて書いていた。

 勉強する傍らバイトをして、その蓄えを全て専門書に使っていた。それだけではなく、彼は自宅通いで、少しずつ家にお金を入れて貢献することも忘れなかった。

 真面目に生きることが彼の信条だった。友達は少なくとも、やりがいだけは見つけることができると信じていたから、思い悩むようなことは決してなかった。


 その日も、陽はキャンパスを颯爽と歩いていた。学生達はみんな闊達に喋っていて、陽は自分がその人々の影に埋もれてしまっているような気がした。

 しかし、穏やかな微笑みを浮かべて、弾んだ足取りで歩いている。元々周囲のことはあまり気にならない性質をしていたからだ。

 そうした中、誰かと肩がぶつかった。数冊の参考書がその人の手から落ちる。

 陽は慌ててしゃがみ込み、それをかき集めた。するとしなやかな細い指が伸びてきて、陽はそこでようやく持ち主の顔を見た。

 一瞬、それは日本人形かと思った。

 その顔は、それほど完璧な造作でできていた。形の良い眉はなだらかな曲線を描き、まるで山麓の稜線を見ているかのようだった。透き通った鼻梁と、桃色の肉感的な唇、そしてその瞳をじっと見つめていると、陽は見惚れて動けなくなってしまった。

「……ごめんなさい」

 彼女はそう言って頭を下げた。長い髪を頭の後ろでかんざしで留めていて、風が肩に掛かった一房をふと浮き上がらせた。そこで檸檬のような香りが漂ってきて、陽はようやく我に返った。

「余所見をしていたから、ついぶつかってしまって」

 そう言って参考書を叩き、表紙に軽く砂がついていたので払い落とす。

「大丈夫ですよ」

 彼女はそう言って受け取り、にっこりと微笑んだ。

「それより肩、痛くなかったですか?」

「僕は、全然大丈夫です」

 彼女はその言葉にうなずき、「あなたは、確か文学部の一年生でしたよね?」とつぶやいた。その言葉に、陽はまじまじと彼女の顔を見つめてしまう。

「なんで知ってるんですか?」

 彼女は「教授から話を聞いたんですよ」と指先を垂直に立てて説明し始める。

「山本先生っているでしょう? 食堂でご一緒してる時に、『あの学生を見ろ』と突然あなたを指差したんです。私もびっくりしたんですけど、先生はあなたの真面目な性格を懇々と賛辞し始めて……」

 陽は頭を掻き、苦々しく笑った。

「真面目じゃないです、僕」

「嘘を言っても無駄ですよ」

 そう言ってくすくすと笑う彼女は、思春期の少女のようにあどけなく見えて、陽は少し可愛らしく思って妙にどぎまぎしてしまう。

「日阪陽さんでしたよね?」

 突然名前を呼ばれ、畏まってしまう。

「私は文学部二年の山本和子と言います。どうぞ宜しく」

 「山本さん」と陽は繰り返す。和子はうなずき、そして顔を近づけてきた。突然甘いその香りが鼻先に迫って、陽は体を硬直させる。

 先生は私の叔父なんですよ、とはにかむように彼女は笑った。その言葉に陽は口を噤み、そしてくすりと笑った。

「すごいじゃないですか」

「秘密、ですよ」

 和子はそう言って、「それじゃあ、また授業で会いましょう」と手を振って、歩き出していく。ヒールの音が徐々に遠ざかっていき、そうして高揚感も引いていった。

 陽はその背中をずっと目で追っていたが、このような女性が日本にまだ残っていたのか、とそのことに驚いていた。

 自分のその思考に気付くとなんだか笑えてきて、陽は噴き出しそうになるのを堪えながら、そのまま図書館へと向かった。


 自習スペースへと座り、買ったばかりの本を読んだ。文章を目で追っても、どうも集中できなかった。先程の女性のことがすぐに頭に浮かんできてしまうからだ。

 あの整った顔が脳裏に蘇り、「山本さん、か」とつぶやいていた。

 すると「山本さん?」と背後から声が聞こえてきて、陽は飛び上がった。振り向くと、一人の女子学生がそこに立っていた。

 馬の鬣のようにさらさらしたショートヘアー、そしておでこが広く、その顔はどこか幼げで、彼女は悪戯を企むような表情でこちらを見つめていた。

 原田知美、クラスが一緒で、飲み会の時真っ先に陽に話しかけてきた女子だった。

「山本さんって、誰?」

 知美は隣の椅子に腰掛け、そっと身を乗り出して聞いてくる。こういう話題には常にアンテナを張っているのだ。

 陽は視線を逸らし、「バイトの先輩だよ」と嘘をつく。「へえ。その人に興味があるんだ?」と知美は首を傾げてみせた。

「そういうんじゃないよ。会ったばかりだし」

「ほうほう、会ったばかりなのか。彼女、美人?」

「美人には変わりないけど……」

 なんだか自分がこのまま言う必要のないことを喋ってしまいそうで、「僕、勉強があるから」と体の向きを変えた。だが、それでも知美はそこから動かなかった。

「話は、また今度で」

「山本和子のことでしょう?」

 その言葉に思わず振り返ってしまい、そうして陽は、しまった、と思った。知美はにやにや笑いを浮かべ、「確かに美人ね」と口角を上げる。

「おい、何か勘違いしてるだろ」

「……別に。ただ話のネタが増えたな、と」

 知美はそう言って、もう用がないとばかりに、自習室を出て行った。陽はその背中を追おうとしたが、すぐにやめた。

 元々こういう奴なのだ。いつも暇を持て余していて、何か楽しいことはないか躍起になって探している。下らないことを聞いてくるし、それはほとんど恋愛の話や失敗談、人の悪口であったりする。

 元々こういう奴なんだ、と自分に言い聞かせても、どうも落ち着かなかった。知美のことだから、もしかしたら山本さんにありもしないことを吹っ掛けるかもしれない。それだけは勘弁だ、と思う。

 その時、事務員が戸口から入ってくるのが見えた。「予定通り、本日は自習室を十三時で閉鎖します。すぐに退室してください」と呼びかける。

 陽はどこかイライラした気持ちで戸口に向かった。


 図書館を出ると、携帯の着信音が鳴り響いた。陽はそっと通話ボタンを押す。

『よう、陽か?』

 どこか軽薄な感じのする声が聞こえてきて、陽は軽く溜息を吐いた。

「何だよ、三上。これから遊びに行こうとか、そういう誘いか?」

 すると、将太は「何だよ」と拗ねた声を上げて、『今、俺は気の利いたツッコミを期待して、挨拶した訳だが、なんでお前はいつもスルーなんだよ』とつぶやく。

「ちなみにどこで、ボケたの?」

『よう、陽か? 重複してる部分が、そうだ』

 陽は「下らないんだけど」とうんざりした気分で言う。すると、将太は『これだから』と糾弾するような口調になった。

『面白くないとしても、そこで笑うのがダチってもんだろ。せっかく俺が電話してあげたのによ』

「それで、何の用? これからちょっと昼飯食べに行くところなんだけど」

『ノートをコピーさせてくれよ。俺、四教科一回も授業に出てないからやばいんだよ。お前だけが頼りなんだよ、なあ』

 必死に懇願してくる将太に、陽は溜息を吐き、「わかったよ」とつぶやく。

「今持ってる分だけでいいよね? 足りなかったものはまた別の日にってことで」

『悪いな、ホント。それでこそ、俺の日阪だ。今度可愛い女の子、紹介してあげるからよ』

 そう言って、将太は待ち合わせ場所を指定して、すぐに通話を切ってしまった。陽は携帯を折り畳み、ジーンズのポケットに突っ込んで、三回目の溜息を吐く。

 三上将太は文学部の一年で同じクラスだった。大学生活をあれほどエンジョイしている学生は他にいないのではないか、と陽は思っている。毎日のように合コンに赴き、誰と付き合っただの、ナンパしただの、そういうことばかり自慢して語る。

 しかし、彼はどこか憎めない性格をしており、屈託ないその様子が人を惹きつけているのかもしれなかった。

 陽はそのまま中央校舎のロビーへと赴き、掲示板を眺めて暇を持て余した。待ち合わせは三十分後で、ひどく時間が余っていた。その時、ふと肩に手を置かれた。

 振り返ると、一人の女子学生が立っていた。赤を基調としたシャツに、可愛らしいチェックのスカートを履いている。明るい雰囲気が漂っていて、すぐに陽は「ああ」と頭を下げた。彼女も「こんにちは」と軽く手を振ってくる。

「この間は、本当にありがとう」

 本田洋子はアルプスの少女さながらの爽やかな笑みを浮かべ、そっと前へ進んできて言った。

「レポートがあること全然知らなくて、君に見せてもらわなかったら、ひどいことになってたよ」

 陽は苦笑して「今度からはさ、」とつぶやき、

「一応授業に出ていなくても、友達に内容だけは聞いておいた方がいいと思うよ」

 陽は彼女が手にしているギターケースを見遣って、言った。

「音楽やってるんだっけ?」

「うん、軽音楽部に入ってるんだよ。日阪君は、部活はどこにも入っていなかったんだっけ?」

 「まあ、そうだけど」と陽は苦笑してうなずく。

 本田洋子は先週の授業で席が隣になり、彼女にレポートを見せてあげたことで九死に一生を得たことから、お互いに話すようになった。落ち着いた女の子なので、話しているとどこかほっとするのだった。

「良かったら、うちのサークル覗いてく? これから行くところなんだけど、」

「いや、僕は、その、」

 断ろうとしたその時、突然首に腕を回され、がっちりと締め付けられた。陽は呻き声を漏らし、激しく喘ぐ。

「おい、何やってんだよ。俺をほっておいて」

 振り向くと、将太が笑ってそこに立っていた。伸ばしっぱなしのボサボサの髪は金色に染められ、両耳にはピアスの穴を開けていた。ド派手なファッションをしており、自分はどうしてこんな軽薄な男と付き合っているのだろう、としばしば思うことがあった。

「俺にも紹介しろよ」

 ようやく無骨な腕から解放され、陽は咳をしながら洋子へと振り向いた。彼女はどこか困惑げな顔で、将太を見つめていた。

「誰? 日阪君の友達?」

「親友ですよ、親友」

 将太はぴしっと陽の顔を指差し、けらけら笑う。  「紹介するほどの男じゃないから、こいつとは関わらない方がいいよ」と陽は言った。

「何ぬかしてるんだ、この野郎」

 将太が叫びだすのにも構わず、陽は洋子に近づき、「ちょっと今日は行けそうにないんだ」と言った。洋子は苦笑を浮かべ、「じゃあ、また今度ね」とそのまま歩き去ってしまった。

 将太はその後ろ姿を目で追っていたが、「結構可愛いじゃねえか」と爛々と輝く瞳を陽に向けてくる。びしっとその鼻先に人差し指を突きつけて、「お前には絶対に紹介しないから」と念を込めて言った。

 こんな軽薄極まりない男に彼女を紹介したら、こちらの信用が一気にゼロを通過してマイナスを降下し続けるだろう。

 すると、将太は「ちぇっ」と毒づき、陽は「さっさと行くぞ」ともう振り向かずに歩き出した。「はいはい。そこ通るよ」と将太は近くにいた学生を押し退ける。


 用事を済ませた後、将太は急にラーメンが食いたいと言い出した。その理由を問うと、「あれ食うと、これぞ男って感じがするじゃねえか」と彼は言った。将太は断る暇も与えないままに、陽の腕を引っ張っていく。

 そのまま食堂に入ってむんむんとした熱気を浴び、すぐに将太が「おばちゃん、しょうゆラーメン二人前!」とカウンターに座ったので、陽は仕方なく隣に座った。

 店内はそれほど広くはなく、カウンターが四席、テーブルが八席あるだけだった。二人の女子学生がカウンター席に座って麺を啜っている。

「将ちゃんの友達か。相手するのにかなり根気がいるだろうから、チャーシュー二枚サービスしてあげるよ」

 おばちゃんはふっくらとした笑顔を浮かべて、麺の湯切りをしている。そんな彼女に、将太は「俺にもチャーシューおまけしてくれよ」と子供のようにねだった。

 陽は再び視線を横へ向けたが、女子学生達はだらだらと汗を滴らせながら、夢中で麺を啜っていた。

 そんなに美味しいのか、ここ、と陽は思いながら、差し出されたどんぶりをまじまじと見つめてしまう。おばちゃんが「へい、お待ち。へい、小町!」と得意げに繰り返したが二人は気に留めず、そのまま麺を啜り始める。

 そうして箸の動きを止め、同じタイミングで顔を見合わせ、「美味い」とつぶやいた。


 麺処を出た後、将太は「実はあそこに行ったのには、訳があるんだ」とつぶやいた。陽はどうせろくでもない理由だろうと思いつつも、「何?」と聞き返す。

 将太は「そ、それはだな……」と口篭った。「それは?」と聞き返すが、将太は「それはだな……」という言葉を五回ほど繰り返した。

「だから、なんだよ」

「実は俺、あそこで働いている女の人が好きなんだよ」

 陽はその途端、冷たい汗が額を滑り落ちていくのがわかった。筋骨隆々の男性が女装している姿を見た時のような悪寒を背筋に感じた。

「僕は女性の好みについてとやかく言うつもりはないけど……あのおばちゃんを口説くのは、正直どうかと思う」

「ちげえよ!」

 将太は顔の前でぶんぶんと手を振って、「変なこと言うなよ。想像しちまったじゃねえか」と二の腕を擦っている。

「じゃあ何だよ」

「つまり、厨房の奥でもう一人、若い女性が働いていただろ?」

 陽は厨房の風景を思い起こしてみたが、そんな女性が働いていたとは露ほども知らなかった。

「とにかくあそこで働いているお姉さんが、もろにタイプなんだよ。なんていうか、ナタデココって感じで」

「ヤマトナデシコ?」

「そう、ナでシコ」

 将太はそう言って、「はあ」と悩ましげな溜息を零した。

「恋愛の悩みを僕に相談したかった訳か」

 将太は萎れた海草のように眉を下げ、「そうなんだよ」と弱弱しい声でつぶやいた。

 こいつはよりにもよって何で僕なんかを選ぶんだよ、適材適所って言葉を知らないかよ。そう思ったが、ここで突っぱねたらさらに落ち込ませそうなので、陽は「とにかく詳しく聞かせて」と言った。

「俺だって、お前が恋愛アドバイザーとして適材とは思ってねえよ。でもな、俺がもし他の奴らにそんなことを言ったら、どんな反応が返ってくるか、わかってるだろ」

「まあ、本当かどうか疑われるだろうね」

 それは日頃の行いが悪いから仕方がないことだろう、と思ったが、「適材でない僕でいいのなら、いくらでも相談に乗るよ」と面倒臭い話題を切り上げる為に言った。

「やっぱり俺の日阪は良心的な人間だな。誠実な人間に育ってくれて、俺は嬉しい。今度可愛い子紹介してやるよ」

 そう言って将太は陽の背中をバンバンと叩いてきた。お前に育てられた覚えはないし、何よりろくな女の子を紹介されないので正直迷惑だと思ったが、これも早く用事を済ませる為だ、と思って「そうだね」とうなずいた。

 二人はカフェに向かい、そこで陽はラテを奢らされ、うんざりした心持ちで窓際の席に座った。

 窓からは、キャンパスの様子が一望できた。将太はストローを咥えながら、眼下を歩く女子学生を次々と指差して、点数を述べた。

「駄目だな、化粧が無駄に濃い、眉は剃りすぎ。それから顔の輪郭がかなり良くない。あと足太すぎ」

 無神経にその特徴を喋り立てて、女子学生の肢体をチェックしている。陽はそんな将太に溜息を吐き、

「恋愛相談をしたいんじゃなかったのか?」

 呆れながらそうつぶやくと、将太は我に返った様子だった。「そうだった、そうだった」と彼は姿勢を正す。

「それで俺、どうしたらいいと思う?」

 将太が真っ直ぐ見つめてきて、そう言った。

「彼女とまだ話したことないんだろ?」

「……ないな」

「なら、まずは接点を作るしかないだろうな。あの食堂に足しげく通って、一言二言でもいいから話しかけてみること」

 すると、将太は腕を組んで顔を歪め、唸った。

「それはあれだな、ちょっと無理かもしれないな。あの食堂でかなりやばいことしたから、どう考えてもまともに相手してくれないと思うな」

 将太はそう言ってうなだれてしまう。陽はそうなのか、とつぶやき、思案げな表情を浮かべた。

「なら、今度からはなるべく紳士的な態度で振舞うように。そうして少しずつでもいいから、気さくに話しかけてみるんだよ。その後は、そうだな、」

 陽は「嫌われるの覚悟でやるんだけど、」とつぶやく。

「陳腐だけど、仕事が終わる時を見計らって、声をかけてみる、とか」

「……俺、嫌われてるかもしれないから、そのまま無視されて終わりかもな」

「根気強く続けることで、何かが変わるかもしれないよ」

 そこで陽は、ここら辺で会話を切り上げておきたいと思った。次に口にするべき言葉を考える。

「仕方ねえな、試してみるよ。もうここまで来たら、後戻りできないしな」

 陽はうなずき、じゃあこれで、と立ち上がった。その時、将太が窓の外へ視線を向け、「あ、山本和子だ」と言った。陽は弾かれたように振り向く。

 中央校舎の前の芝生を、和子が歩いていた。かんざしを留めた髪が、風に乗って彷徨っている。

「やはりレベルが違うなあ」

「お前、なんで山本さんを知ってるんだよ」

 すると、将太はきょとんとした顔をし、そうしてすぐにげらげらと笑い出した。

「お前、何マジになってるんだよ。そうか、さては山本狙いなのか」

「違うって……そんなに彼女、有名なのか?」

「当たり前だろうが」

 将太は若干呆れた声で言う。

「学内でも有名な美人じゃねえか。ちょっとはそういう方面の知識も収集しろよ」

 陽は「悪かったな」とバツが悪くなって視線を逸らす。

「ま、そういうことで俺頑張るから。もしうまくいったら、次はお前の恋愛に協力してやるよ」

 将太はそう言って、手を差し出してきた。陽は少々躊躇ったが、その手にパチン、と叩き合わせた。

「俺はな、約束だけは必ず守るんだ。だらしなくても、それだけは何があっても守る」

 そう言って、将太は八重歯を見せて「絶対だ」と笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ