日常⇔非日常 ②
高崎凛音の兄、高崎優にはある秘密があった。
友達にも、妹にも言っていない秘密が。
新学期が始まって、3週間ほど経った、ごくごく普通の朝。
俺、高崎優はパッと目が覚めた。
2階の、俺の部屋に掛けてある、掛け時計を見る。
7:57
「遅刻かな・・・。」
遅刻なんて高校に入ってから1度もしたことがなかった。
それは━━
「・・・あれ?」
あることに気づく。
「携帯・・・。」
いつも目覚ましに使っている、携帯が見当たらないのだ。
1階に行くと、妹の高崎凛音が、洗面所で顔を洗っていた。
「凛音、俺の携帯知らない?」
「は、何で私が知ってると思ったの?」
・・・だろうな。
俺と滅多に喋らない妹が、俺の携帯の居場所を知っているはずがない。
「・・・まぁそうだよな。悪い悪い。」
そう言って、俺は洗面所を出た。
8:12
時間がないので携帯は諦めることにした。
「・・・っていうか・・・」
凛音も遅刻だよな・・・。
◎◎
「優ちゃんおはよーっ」
後ろからかなりのスピードで走ってきたのは、幼稚園のときからの幼馴染、
伊野美里だった。
「おぉ、おはよ」
「こんな時間に会うなんて珍しいね。あっ遅刻するよ」
「おっ、おう」
(この時間に家を出れば美里に会えるのか・・・)
そんなことを思いながら、少し足を速める。
・・・ぶっちゃけた話、俺は美里のことが好きである。
学校には思いっきり遅刻した。
遅刻した言い訳を考えていたのだが、「今度から気をつけろよー」で済んで、驚いた。
1時間目は数学だった。苦手教科だ。
・・・というかまぁ、得意教科なんてないんだけど・・・。
なんやかんやで昼休み。
屋上で友達と、コンビニで買ったパンをを食べていた。
いつもは弁当なので、なんとなく寂しい。
「次からは何があっても弁当作ってこよう・・・」
すると突然━━
ピクッ
俺は何かを感じた。
いやまぁ・・・その〈何か〉というのは、わかっていることなんだけど・・・。
「久々だな・・・」
俺は先生に「腹痛いんで早退します」と言い、学校を飛び出した。
校門。
そこには、幼馴染の伊野美里の姿があった。
「久しぶりだよね・・・」
「ああ・・・」
俺には、友達や妹にすら言っていない、ある秘密があった。
━━『魔術』
これが、友達にも妹にも言っていない秘密だ。
俺と美里は生まれつき『魔力』を持っている。
それを上手くコントロールすることで魔術が使えるのだ。
まぁ、詳しいことは後々・・・・。
そして俺がさっき感じた〈何か〉というのは、『魔獣』の魔力だ。
俺と美里はわけあって、その魔獣を倒さなければいけないことになっている。
まぁ、これも後々。
◎◎
ドォーン・・・・
「・・・逃げられちゃったね」
「あぁ。しかしあんな大きな炎魔法使う魔獣なんて初めてだよな」
「たしかに・・・。もしかしたら、くるのかな。」
「・・・。」
「空牙・・・。」
○2 非日常→非日常
厨2病乙。ってかんじですね。
続きます。