餅は餅屋(四百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
「餅は餅屋」をお借りしました。
OLの律子はスチャラカな性格である。
それなのに何故か社内で一番人気の藤崎君と付き合っている。
しかも、藤崎君は律子の部屋に行き、片づけられない症候群の律子の代わりに部屋を片づけ、掃除をし、料理まで作っている。
「藤崎君は律子のどこが良くて付き合っているの?」
律子の同僚の香が尋ねた。
すると藤崎君は会心の笑顔で、
「放っておけない危うさがいいんですよね」
「そうなんだ」
以前付き合っていた彼氏に、
「お前は隙がなさ過ぎてつまらない」
と言われた事を思い出す香である。
(女は危なっかしい方がいいのかな?)
そう思う香であるが、どう頑張っても律子のようなチャランポランにはなれない。
「藤崎君のお父さん、シェフなのよね」
律子が教えてくれた。
「そして、お母さんは家政婦さんだったの」
「ふーん」
また惚気が始まったと思う香である。
「蛙の子は蛙よね。あれ、餅は餅屋か」
苦笑いする律子を見て、
(どっちも微妙に違うと思う)
香は思った。
お粗末様で御座候。