Have a nice trip!!!!!!
「あーー、行きてぇな、旅行」
休憩室でフワッと誰にでもなくつぶやいた。どこか知らない場所に行きたい。俺の知らない場所、誰も俺を知らない場所。
「行きますか?旅行」
スマホゲーをしていた金田がフワッと返事をする。
「や、無理だよ金ねえもん」
最低限の生活を回す分と、スマホゲーで消える程度の金でできることなんかたかが知れている。
「無くても行けるんすよ、ほら」
「は?」
金田が出してきた黄色のチラシにはデカデカと「送料無料」と書かれていた。
「一人一回なんでも送れて送料無料、往復便も可みたいすよ」
「は?」
つい、2度目のは?が出てしまった。
詳細を聞いてもいまいち要領を得ない。
「それと旅行と何の関係があるんだ?」
「あれ、本当に知らないんすね。何でも送れるって、『人間も』ってことですよ」
総務に使え使えとせっつかれている有給。
仕事も今は閑散期。
この間ニュースで見た、北海道の即出し生雲丹。あれなんかいいんじゃないか?
……俺は「貨物」になることを決意した。
段ボールに入るのを想像していたが、実際調べてみると名札のように発送票を胸に張り付ければそれでいいらしく、あまりの手軽さに拍子抜けする。
依頼した際に向こうから連絡のあった集荷所に向かう。
着替えの上着1枚、スマホに財布。
身軽な旅の爽快感に、向かう足が自然速くなる。
「北海道行きトラック到着しました〜」
荷物が次々に載せられていく。
「あ、俺もそれ乗ればいいですか?」
「あー、人間の貨物さんはね、別なんですよ。そこに座ってて大丈夫だからね」
ベテランそうな従業員に言われた。
実際何人か俺と同じように座っている人達がいる。きっとこの人達と一緒に行くのだろう。
と、
「はーい!貨物さん方〜!
こちらにお並びくださーい!!」
「今から梱包しますからね、お先にお手洗い行く方はどうぞ!
梱包といっても大したことしませんのでね、皆さんそのまま立っててくださればこちらでやりますからね〜」
そう言って慣れた動作でベテランが胴体と手足にベルトを掛け、背中で留めていく。
「あー、お兄さん北海道か〜
えらいまた遠くまで。頑張ってねぇ」
ガッチャン!!
普段の生活では中々聞かない音。反射的にビクッとなる。
ブブブブブブブィーーーーーン…
周りを見ると、皆わけの分かっていない様子で背中の物体が回転しているお互いを見合っていた。
そうして俺の足が宙に浮いた。
「は?」
「はい、では貨物の皆さん、良い旅を!!」
地面がどんどん遠ざかっていく。
逆らえない、戻れない、
ブブブブブブブィーーーーーン…
誰かの背中で、むき出しのドローンが風を巻き上げ、滑空する。
そうして、俺は




