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もりみさき  作者: みじ
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5話︰やっぱ暇

朝起きると、もう10時を過ぎていた。


「…寝すぎたか」

「よう寝るやつやな」

「うわっ!」


起きると勝さんがいた。なんでいるんだ。いや別に勝さんの家なんだけど。


「なんか問題とかないか見に来たけど、まさかまだ寝てるとは思わんかったわ」

「すいません、昨日帰るのが遅くなって」

「まあ楽しんでそうでなによりや」

「ほんとに、何から何までありがとうございます」


ええねんええねんと手を振って勝さんは帰っていった。楽しんで過ごしと言ってくれたが何をしたものか。家にいても何も無いし、とりあえず外に出よう。またあいつらに会うかもしれない。けど、


「お腹減ってるな」


朝ごはんを食べていない。確か昨日海沿いの道の奥にスーパーがあったような。行ってみるか。


途中までは昨日と同じ道を歩いていく。少し楕円の形になった海岸をひたすら歩く。よかった、堤防にはもう昨日のやつはいなかった。朝までしてたらもう怖い。

スーパーに着いた。そこまで大きくはないが、大抵のものは揃ってそうだ。客層はお年寄りが多い。そもそも村にお年寄りが多いし。数日分のパンと飲み物を買って店を出ようとした。すると、見たことある顔が通った。


「あ、自由じゃん」

「お、ごはらか」

「何買いに来てるんだ?」

「朝ごはんなかったから買いだめとこうと思ってな。お前は何買うんだ?」

「勝負に負けて、パシリ担当だ。 あ、そうだ、お前も来いよ。みんな集まってるし」


どうやらどこかで集まっているらしい。ごはらの、買い物に付き合い、そのまま一緒に行くことにした。




「戻ったぞー」

「お、帰ってきた帰ってきた。ん、ついでに自由も買ってきたのかな」


公園に来た。そこには知った顔ののどかと雄一もいる。それとあともう1人。


「……」


じっとこっちを見てくる。にこやかな笑顔…ではない。言葉にしなくても誰だこの人って言葉が顔に書いてある。とりあえず挨拶しとこう。


「えっと、2日前くらいからここに住んでます。野津山自由です」

「あ、どうも」

「…どうも」

「この子は細谷友華(ほそやゆか)。今日はたまたまいるけど、よく一人でぶらぶらしてるんだよ」

「どうも」


ここに来て初めておとなしい性格の人にあった。この人もどうやらおなじく高二らしい。


「森はいないのか」

「なんか牧場の手伝いが忙しいってさ。てか、この村の人たちお互いに苗字で呼ぶこと少ないし、加奈実って呼んでいいと思うよ」

「そっか。そういや牧場に住んでるとか言ってたな。で、今何してたんだ?」

「暇してた」

「することないしな」

「モルックだ」

「特になんにもしてないよ」

「1人だけ意見違うけど」


雄一だけ何か言った。


「ジュース買いに行く人決めるためにやっただけだろ」

「なんでだよ!昔は一緒にモルックで世界に行くって言ってただろ!」

「人口少ないから目指しやすいって話だろ」

「なんだ?モルックて」

「木投げるだけだ」

「下から投げて倒すだけ」

「なんでそんな事言うんだよ」


雄一以外はモルックとやらに冷めている。雄一はブツブツ愚痴をいいながらブランコを漕ぎ始めた。なんだモルックって。





「ここって娯楽施設とかないのか」

「んー、隣町まで行けばあるけど、この村にはほぼないね」

「ゲームセンターとか一個あればいいのにと思うのにな。まああっても、こんなところのは大したことないだろ」

「適当にだべって、時間潰してゴロゴロしてるのが続くなあ。毎日」

「そんな感じなのか」

「まあ適当に集まったりしていろいろしてるし、楽しいけどね」

「観光地にしようとしてる訳でもない田舎だから、静かで散歩とかは気持ちいいけどな」

「公園とか誰かの家で集まるのが日課だね」


本人たちは普通で暇そうな生活と思ってるけど、すごく羨ましい。こんな一生続いていきそうな友情欲しかった。


「公園にいても暑いし、家くる?」

「お、いいのかのどか。サンキュ」

「俺も行っていいのか?」

「そりゃあもちろん」



神社への階段を上る。階段の下に着いたところで家が階段の上にあることを思い出して絶望した。着いた頃には汗だく。当たり前のように家にあがり、クーラーの効いた部屋で5人ゴロゴロと過ごす。時間を無駄にしている気がするが、なんか楽しい。



「すごろくでもする?」

「お、やるか」


すごろくなんて懐かしい。友達とやろうなんて言い出したことない。

いつも通りのボード、自分の駒、そして…見たことない形のサイコロが出てきた。よく跳ねるゴム状のサイコロで、面が異様に多い。

のどかが自慢気に見せてきた。


「これが森岬村伝統の、18面式ゴムサイコロです!」


なんだこれ。


「普通のサイコロだと飽きるしな」

「ま、俺が1回振ってみるから見てな」


そういうとごはらは、壁に向かってポーズを構え始めた。横を見ると友華が机の下に隠れている。何が始まるんだ。

―その瞬間。

どごーん。

大きな音とともにサイコロが壁にぶつかる。サイコロは跳ね返り、部屋の中を高速で飛びまわる。そして―


「ぶはっ!」


雄一の顔に直撃した。雄一が倒れる。結構痛そうなのに、なんでか誰も心配する素振りを見せないぞ。


「おー、8か。まあまだいいほうか。あ、ちなみに今のは雄一の顔に当たったから、雄一は次の番パスだ」

「なんだその心と体両方を削るルールは」

「自分の番以外興味無さそうにする奴がいたから、そっからこんなルールできちゃって」

「私のせいだ…」


机の下から声が聞こえた。友華が原因らしい。

変なルールだが、実際始めると夢中になってしまっていた。顔に当たったが、衝撃があるだけで案外痛くなかった。

他にも、反復横跳び手押し相撲とか、自分たちでルールを作って遊んでいるらしい。もうちょっと他にやることあっただろと思うものもあった。

昼飯も作ってもらい、馬鹿なことをして過ごしているうちに時間もだいぶ遅くなってきた。


「んーまあそろそろ帰るか」

「そうだな」

「そうだね」


のどかに階段の下まで送ってもらい、その日は解散した。


「あ、晩飯、買って帰らないと」


スーパーによって弁当を買って帰った。まだ手に朝買ったパンあるんだけど。

あとこのスーパー、のり弁を異様に推している。看板メニュー作りたかったけど特に何も無かったのか。



そして家で――


「…足裏が痛い」


絶対、昼間にやった足つぼスクワットのせいだ。体を鍛えていかないと遊びにもついていけないのか。耐えろ、俺。

12時を回る前に眠りにつく。


……モルックって、なんだろ。


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