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もりみさき  作者: みじ
18/25

18話︰お祭り③

一方ごはら達の方。


「なんだかんだ楽しんでるじゃねえか」

「だって、せっかく来たから屋台食べてかないともったいないし」


案外なんとかなっていた。


ごはらは安心していた。友華がずっと暗かったらどうしようと思っていたが、屋台を回ってるうちに笑顔になっている。友華はお祭りとかにくると意外のってくるタイプだ。普段からこんな明るかったらいいのに。


「それにしてもこの時間なのに人多すぎてなかなか回れねえな」

「ま、時間もあるしゆっくり回ればいいだろ」

「僕全然行きたい屋台見つからないんだけど」

「えっ、こんなに美味しいのいっぱいあるのに」


まだ何も買っていない雄一に友華が驚いている。こいつ体格小さい割によく食うよなやっぱ。たしか去年イカ焼き3つも食べてたし。あんまり予算も気にして無さそうだけど友華はどこからそんな金出てるんだ、バイトもしてないらしいし。


「あ、イカ焼き食べたい」

「並ぶか?」

「うん」

「あ、ごめん僕ちょっとトイレ行ってくる、お腹痛くなってきた」

「ういよー」

「まだ何も食べてないのに早いな」



雄一がトイレに行ったので、イカ焼きを買った友華と3人でトイレの前で待つことにした。

段差に乗って反対側を見渡す。


「北側の方、こっから見た感じ結構空いてるよなー」

「早めにあっち側に行ってもいいかもな」

「えっ、こっちのグルメ食べ尽くしていかないと」

「全部買ってたら腹いっぱいなるだろ」

「まだ私全然行けるけど」

「どこにそんな胃袋あんだよ」


逆になんでそんな食べないのみたいな顔で見てくる。お前が食べすぎな気がするんだけど。でもたしかにお腹も空いてくる。


「あー、イカ焼き見てると食べたくなってきたわ」

「俺もだ」

「買ってきなよ」

「節約したいんだよなあ」

「一口くれよ」

「え、やだ」

「いいじゃんかー」


俺と正浩で奪うつもりをしてしばらく遊んでいた。すると友華がイカ焼きを隠そうとした時、イカ焼きのタレが袖に付きそうになった。


「お、危ないぞ」

「わっ」


付かないように友華の腕を掴んで袖をめくる。我ながら気が利く男だ。

その時、後ろから肩を叩かれた。振り向くとなにやら腕にバンダナをしている大人2人が立っていた。


「君達、ちょっといいかな」

「え、はい、なんすか」

「昼間からナンパとかやめなさい。お嬢さん困ってるだろうが」


なんかナンパしてるやつと勘違いされたらしい。嫌がってる顔した女子の腕を掴んでたからか。うん、そりゃ俺たちが悪いな。


「あー、いやこいつ一緒に来た友達で」

「そうだ、友達を待ってるだけだけだ」

「そうなのかい?」

「………奪われそうになった」

「友華?」

「おい?」

「それは、どういうことだい?」

「まだ…なのに…むりやり……」

「イカ焼きをだよな!」

「冗談だしな!」

「…………」

「おい、なんか言えって」

「君達、ちょっと来てくれるかい」

「いや、だから、友華ちょっ…」

「いいから早く」

「あ、はい、いや、え、あ」

「君は腕掴んでるとこ見てないけどこの子の友達だよね?」

「いや、俺はちが…」

「こいつもです」

「おいてめえ」


2人してトイレの裏まで連れていかれた。弁明したら半分信じてくれたようだけどなんかまだ疑いの目で見てくる。

トイレから出た雄一が呆れた顔で俺らを見ている。


「あいつら何してんの…」

「自業自得だから」

「何したんだよ」


怒られている時、道を通る人から見られるのも恥ずかしかった。 なんでこんなことになってんだ俺ら。

イカ焼きで戯れようとしただけなのに酷い目を見た。




やっと係員から解放され、再び歩きだす。


「やってくれたな友華」

「けっこう恥ずかしかったんだぞ」

「なんか仕返ししたくなっちゃって」

「連れてかれてたら面倒だったな」

「学校に連絡いったらと心配だった」

「ふふっ」


イカ焼きを頬張りながら友華が笑った。まあいいか、なんか楽しんでくれたそうだし。こんな笑顔を見るのも久しぶりだ。趣味とかあったらずっとこんな楽しそうな顔するんだろうか。まあ友華に趣味とかパッと見なさそうだけど。



友華が横の屋台をじっと見ていた。


「しゃてき…」

「射的?お、やるか?」

「あっ、いや、別に」

「そうか。せっかくだし俺やろうかな」

「じゃあみんなでやるか」

「そうするか」

「うん」


久しぶりの射的だ。昔は結構上手かった。ここでちょっといいとこ見せとくか。

スカッ。スカッ。

なかなか当たらないし、当たってもビクともしない。なんか友達から聞いた話だと絶対に取れないようにしてる店もあるとか。きっとこの店がそうだ!俺が取れないとか、そんなはずがない!


「おーお嬢ちゃん、これで3つ目だねえ!」


全然そんな訳あった。横を見ると友華が3つ目の景品を倒しているところだった。


「あのー、友華さん、どうやったらそんな取れるんすか」

「…コツがあるの」

「あれっすか、コルクの大きい方を銃に詰めるとか」

「あれ威力上がっても狙い外れやすいからやらない方がいいよ」

「そうなんすね」

「肩の力を抜いて、足をこのくらい開いて、景品の右上が左上を狙うの。実際の銃みたいに」

「いや実際の銃なんて構えたことないんすけど」


友華が説明しながら4つ目の景品を取った。


「1個取れたぞ」

「僕も1個だけ」


あいつらも取ってた。まずい、今のままだと俺だけが取れてない。残りの玉は2個。そうだスナック菓子だ。あの軽そうなやつならいけるだろう。まさに俺のためにあるようなものだ。

スカッ。

狙ったけど当たらない。とうとうあと1発。

そうか、狙っても当たらないならもういっそコルクを逆に詰めて適当に打てばいい。威力も上がってなにかに当たったら落ちるだろ。

ラスト1発に俺のプライド全てをかける。


「いっけえええええ!!!!」


バコン。







「さっきの景品のお菓子、久しぶりに食べたけど美味いな」

「僕のもわざわざ買うことないから久しぶりだ」

「取りすぎた…これとかいらなかったかも…」

「ごはら、1ついるか?あ、といっても口がないか」

「結構似合ってると思うよ」

「うん、私もいいと思うよ」

「………」


ごはらの顔にはカブトムシがくっついてるように見えるお面を被っていた。



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