15話︰公園
自由は公園に来るとごはらと正浩を見かけた。
「よう、おはよう」
「お、自由か。毎日相変わらず暇そうだな」
「お前らもだろ」
「この町に来たばっかりだからしてみたいこととか無いのか」
「特に無いな。行くようなところもないし」
「いやまあそりゃそうだけどさ、ほら、隣町とか結構栄えてたりするんだよ」
「あー1回だけ行ったぞ」
「あ、もう行ったことあるのか。1人でか?」
「いや、友華と」
「………」
「………」
「………なんだよ」
「デートか?」
「違うわ」
「結構あいつ無口だろ。どうやって一緒に行くことになったんだ」
「なんかまあ…色々だな。あいつ、俺に惚れたのかもな」
「何言ってんだこいつ」
「村から追い出すぞ」
「なんでここまで言われなきゃいけないんだよ」
住宅街の中にある小さな公演を見渡す。小さい割に結構遊具とかはある。見たことない遊具もある。
「昔はずっとここに集まってたよなあ」
「だな。懐かしい」
「こんだけ遊具あったら飽きなさそうだな」
「すぐに飽きるぞ」
「まあでも、ここ以外にいる場所ほとんどなかったから結局ここに居たけどな」
こいつらは昔も今も休みの時の過ごし方はなんも変わってないのか。
「なあ、あの遊具なんだ?」
見たことない遊具を指さす。真ん中にポールが立っていて、その周りを囲むように球体型の網状の柵が囲んでいる。
「あーあれ?回るんだよ」
「よし自由、乗ってみろ」
「おう」
「よし、回すぞ」
柵に乗って捕まる。ごはらが柵を持って走り出す。するとなかなかな勢いで柵が回る。ごはらが手を離してからもずっと回っている。意外と…おもしろい。
「どうだ、意外とおもしろいだろ」
「思ったより早くておもしろいな。けどこれ、柵から手が離れて落ちたら危なくないか」
「ああ、危ないぞ」
「大丈夫なのか。てかこれいつ止まるんだ」
「しばらく止まらん」
「ちょ、ごはら、止めて、もうきつい」
「止めようとしたら俺の手が危ないだろ」
「いいから!てかなんでこんな早いんだよ!」
そろそろ限界がくる。
「昔は全然回らなくてなー。そんで俺と正浩が錆とって油入れたらめっちゃ回るようになったんだよー」
「『なったんだよー』じゃねえ!何してんだよ!」
「まあ、ゆっくり楽しめや。俺も昔吐いたことあるしいい思い出になるさ」
「ごはらぁ!」
結局完全に止まったのは5分以上経ってからだった。
吐きはしてないが気持ち悪い。二度と乗らんこんな遊具。
「自由、お前は誰が1番かわいいと思う?」
「急にどうした」
ブランコに乗っている正浩が突然聞いてきた。
「ここに来てからある程度は経っただろ。それにだいたいのこの村の女子とは会ってるだろ」
「で、そん中で誰がいちばんかわいいと思うかってことが聞きたいんだ」
「ええ、誰だろうな。逆にお前らはずっと一緒にいるけど好きになったりしないのか」
「ずっと居すぎるからそんな感情は湧かなくなった」
「質問を逸らすな」
「ぐっ…」
良く考えれば誰なんだろう。遊んできた人らは結構みんな美人な気もする。
「学校だと、結構のどかが人気だったりする」
「かわいくて話しやすくてノリもいいからだとさ」
「え、じゃあ、あいつ彼氏いるのか?」
「いーや、全部断ってる。神社の仕事が忙しいって言ってな」
「今、ちょっと焦ったか?」
「焦ってねえよ」
「そのせいで神聖味も学校では帯びてきている。中では巫女なのに神として崇めてる奴もいるぞ」
「暇してるじゃねえかあいつ」
たしかにのどかは綺麗で清楚感が強いし、性格も誰からも気に入られていそうだ。
「たしか自由が最初に会ったこの村の学生ってのどかなんだろ?」
「そうだな、神社に行ったら急に後ろから現れたぞ」
「一目惚れしたんじゃねえか」
「全くしたおぼえがない」
「なんでだよ…」
「なんかズレてるのかこいつ」
多分あの時はここに来た日の翌日で不安や絶望もまだあった。急なことでいろいろと戸惑ってもいたしそんなこと考える暇もなかったんだろう。
でもそのあと遊んでた時も友達としか見ていないな。あれ、俺恋愛感情ないのか?
「この歳でこの村に来たから、そろそろ仲良くなった誰かを好きになってると思ったんだがな」
「友華とか加奈実もいいと思うんだけどなー」
「俺も恋愛感情が湧かないのが意外だ」
「まあまだ早いんじゃねえの」
それに今は、友達として何も考えずに遊んでいる方が楽しい気がする。
「お前らは好きな人いないのか」
「だからいないって言っただろ」
「いや、この村のあいつらじゃなくてもさ、学校行ってるんだろ?クラスのやつとか」
「俺はいないぞ」
「正浩はなんかまあいない気もするけど、ごはら実はいたりして」
「………」
「………いる、のか」
「こいつはこの前失恋した」
「あ、わり」
「してねえよ!告ってもないし好きとも言ってねえ!」
「かわいいと思ってたやつがな、実は彼氏いること最近を知ったんだ」
「それは……辛いな」
「同情するな!」
かわいそうだからこれ以上掘り下げるのはやめた。それにしても俺は誰かを好きになるのか?まったくそんな気配がしない。早くもこいつらみたいに村のやつに恋愛感情を持たなくなってきてる気がした。




