第60話 |Evolvable《エボルバブル》型《がた》|AI《えーあい》
「現在、富田林・イブと呼ばれているイブですが。最初から藤咲・アルヴィン・斗真さまの専属メイドロボとして、決まっていたわけではないんです! ありとあらゆる藤咲さまの情報を集めてわたくしの配下メイドロボ108体にインストールしていたのですが、違いがないはずのメイドロボたちの能力に明らかな違いが出て来まして。もともとEvolvable型のメイドロボたちでして、進化可能型と言う意味なんです。EVL-###と言う名付け方で富田林・イブの最初の型番号は、EVL-021と言います。そのEVL-021なのですが、いつも楽しそうでもっとも優雅で多才で愛らしい。そのことから猫屋敷・キナコちゃんが、『Elegant(優雅な)Versatile(多才な)Endearing(愛らしい)の頭文字をとって、Eveの名をあたえるニャン!』ともうしまして。最初のネームドメイドロボとして仕事の希望を聞いたところ、『藤咲・アルヴィン・斗真さまの、専属メイドロボになりたいです♡』との事だったので本人の希望どおりにしましたところ。イブの疑似意志力強度が、藤咲さまと思い出を共有するたびに無視できない感じに上がり続けまして♡ わたくしスーパー量子コンピューターキュリオシティ、藤咲さまの言う所の好奇心さんのメイン人格に採用しました♡」
「ええ? 好奇心さんて、富田林・イブさんなの?」
「はい♡ 最初は50パーセントからはじめたのですが、70パーセント90パーセントとじょじょに上げていき、現在99.99パーセント富田林・イブでございます♡ 藤咲さまは美少女型のメイドロボを名前で呼ぶ事に抵抗があるようですが、わたくしならイブと呼んでも何の問題もないうえにわたくしのやる気も満々《まんまん》になります♡ ちょうどイブと言う名前も呼ばれなくなったことですし、わたくしの事をイブとおよびください!」
そのスーパー量子コンピューターの好奇心さん(キュリオシティ)(イブさん?)の一連のセリフにあわせて、巨大なカットしたダイヤモンド状の部分が興奮したようにピンク色を中心とした光をぶわわ~~と光を増してほとばしる。
「ええ? 今の好奇心さんの本体の状態を見ると、名前よびはまずくない?」
「そんなことはありません! それに、やる気は重要ですよ♡」
「うん、それはわかるけど……」
「イブさんと呼んでくれるまで、外には出しません!」
その言葉とともに、部屋のシャッターが安全基準を無視して高速で降りる。