第54話 ニッコリエッヘン、キナコちゃん
「「「「おかえりなさいませ! ご主人様♡」」」」
猫屋敷・キナコちゃんのいるメイド総合トレーニングセンターの扉を開けて中に入ると、4人のメイドさんにでむかえられた。
「猫屋敷・キナコちゃんに会いに来た、藤咲・アルヴィン・斗真なんですけど……」
「はい♡ うかがっております♡ こちらにどうぞ♡」
と言ってメイドさんの一人が、奥の部屋に案内してくれる。
「藤咲・アルヴィン・斗真さまたち、いらっしゃいました!」
案内してくれていたメイドさんがインターホン付きの扉の、インターホンを押して中に話しかける。
「まってたよ~~~。はやくなかにはいって!」
中にいたメイドさんが、扉をみずから開けてまねいてくれる。
中に入ると、すぐに靴を脱ぐための玄関で。
靴を脱いでろうかとキッチンを過ぎて、たたみ八畳敷きの上にテーブルと座布団。
奥の床の間に、デッカイテレビとゲーム機。
テーブルの上に、いろいろなお菓子が置いてあった。
ちなみに中にいたメイドさんは2人で、ケットシーは見あたらない。
「猫屋敷・キナコちゃんに、会いに来たんですが?」
「あたし! あたし! あたしが猫屋敷・キナコちゃんです!」
扉を開けて入れてくれたメイドさんが、ニッコリエッヘンという感じで胸を張る。
「ああ、人間に変身できるんですね?」
「う~~んと。人間に変身というより、人間そのもの?」
「どういうことですか? タマチャンに空中ジャンプを教えた、4本しっぽでトラ柄のケットシーじゃないんですか?」
「あたし、ケットシーにはなったことがないよ?」
「ああ、タマチャンもそんなこと言ってましたね? つまり、どういう事ですか?」
「あたし20年前に日本メイドコンテストで優勝した猫屋敷・エーコちゃんの遺伝子を強化して出来た受精卵に、猫又としての肉体すべてを実体のない霊体化して完全融合したから人間なの!」
「ええ? 猫又って、そんな方法で人間に変身するの?」
「あたしの人化の方法がこの方法だってだけで、伝説では自由に猫又の体と人間の体に変身できた猫又もいたらしいよ?」
「そうなんですね! もう猫又には、もどれないんですか?」
「もどれないね~~~。人間の食べ物の味を知ってしまったからには、もどる方法も探してないよ!」
「ああ~~。お菓子、好きなんですか?」
「お菓子も、好き!」