第52話 107年ものの極上《ごくじょう》なでなで
「えっと後ろの、2本しっぽの白黒ハチワレ柄ケットシーさん? お名前を聞いても良いですかにゃ?」
「吾輩、タキシードくんにゃ!」
「なでなでなら僕、藤咲・アルヴィン・斗真がしましょうかにゃん?」
「誰でもいいわけじゃ、にゃあ。イブさんのなでなでは、極上にゃ!」
「フフッ。それならここに来るまで107年の人生を普通のニャンと暮らした男、日名川・京太郎におまかせあれ!」
「と言ってますが、どうにゃ?」
「タキシードくん思うに、猫じゃらしも満足にふれないやつの言い分を信じていいのかにゃ?」
「普通のニャンの猫じゃらしと、ケットシーのみなさんの猫じゃらしは別物ですにゃ! あれを日名川・京太郎の実力と、思わないでほしいにゃ!」
「まあ、それにゃら……」
とタキシードくんが腰を持ち上げ始めた所で、さらに後ろにいた2本しっぽのアグーティ柄オスケットシーが大ジャンプと2回の空中ジャンプによる軌道修正をへて日名川・京太郎のあぐらの真ん中に飛び込んだ。
「トーストくん……。なにも、そこまで本気にならなくても……」
と言って、タキシードくんは僕のあぐらの真ん中にすわった。
僕は、タキシードくんをなでながら聞いてみる。
「タキシードくん? 斗真、初めてニャンをなでるんだけどおかしなところはにゃあか?」
「そうにゃのか? 初めてにしては、なかなかじゃにゃあか?」
「そうにゃのか? 毎日ニャンの動画を見ていたのが、きいているのかにゃ?」
「エアプレイヤーとは思えないにゃ! なかなかにゃ! トーストくん、そっちはどうにゃ!」
「日名川・京太郎のなでなでは、極上にゃ!」
「イブさんのなでなでと、どっちが上にゃ?」
「タキシードくん! 甲乙つけがたいにゃ!」
「そうにゃのか……」
「タキシードくん? あっちでならぶかにゃ?」
「いや、いいにゃ……。それより、タキシードくんがなぜ『くん』付けなのか聞きたくにゃあか?」
「何か理由があるのかにゃ?」
「あるにゃ! 理由を言ってみるにゃ!」
「オスでなおかつタキシードと言う名前に、『くん』がピッタリだからかにゃ?」
「そうなんにゃが、ヒントを言うにゃ! タキシード、トースト、ごま、ワサビ」
「ニャンとは別の物の名前に、聞こえるにゃ!」
「そうにゃ! タキシードと言う名前はタキシードくんの毛皮の模様から付けられた名前なのにゃが、しかたなくタキシードくんと名乗ってるにゃ!」
「ああ~~。そうなんにゃあ? タマチャンは、タマチャンと言う名前なんだよね? タマではなく」
「そうにゃ! タマチャンはタマチャンと言う名前を気に入ってるから、略さないでほしいにゃ!」
「タキシードくんも本当はタキシードと言う名前にゃけど、タキシードくんと略さないでよんでほしいにゃ!」
「トーストくんも、トーストくんとよんでほしいにゃ!」
「ワサビちゃんも、ワサビちゃんとよんでほしいにゃ!」
「ゴマちゃんにゃ! おみゃあの事も、斗真くんとよんでやるにゃ!」
「うん……。わかったにゃ!」
「(中略たくさん)「わかったにゃ!」(中略たくさん)」