第51話 ゴマちゃんの言い分と、イブさんのなでなでの再開
「ゴマちゃん? 斗真の言葉に、答えてくれるようになったんだね?」
「さっきの話でゴマちゃんも涙ぐんでしまったのにゃが、斗真くんのために泣いたんじゃないにゃ! 斗真くんは仲良しのメスが子作りしたそうにしている時に、子作りしなかったメスの敵にゃ!」
ゴマちゃんの言葉に、イブさんがなでなでの手を止める。
「うん。34才で無職の小説家志望だと19才のこれからの人生のある女性との関係で、積極的になれない事は人間だとあるんだよ? それに口説けない事を言ってしばらくたったころにその女性は、『斗真くんより好きな人がいるよ!』って言ってたしね!」
「それならすでに、斗真くんは振られているにゃ!」
「まあ、表向きはそうだね。でも『もろばれ両想い』の時の、おたがいの好きを感じていたし。僕が小説家になるまで口説くつもりがないと分かった時に、その女性が僕の事を待とうかどうしようか他の人に相談しているのも耳に入ったし。おたがいにすぐに恋人になれない状態での苦しいだけの時に、愛情を低く見積もられてもしかたないし。その女性に、自殺も禁止されてたし。僕でない2番目に好きな人の事も結婚相手に出来ると思っているなら、僕が連絡先を送るまでに子供を2人か3人作ってその2番目に好きな人の事を1番好きになっててもしかたないかなって……。もちろん僕の所に来てほしいけど、9割がたあきらめてぐったりしてる。特に、僕が思うような面白いライトノベルを書けるようになっても1次選考にすら引っかからない事が続いたからね」
「そうにゃのか……。メスの敵と言ったことは取り消すにゃ……」
ゴマちゃんの瞳に涙がにじみ、イブさんがなでなでを再開する。