第50話 イブさんのなでなでと「これだからしろうとは!」
「フフッ。さて、藤咲さん! 次はイブさんの所にいるケットシーたちの話を、聞く番ですにゃ!」
みんなが泣き止んだころ、日名川・京太郎が雰囲気を変えるためなのか明るい声で言う。
僕はイブさんの方を向くと、イブさんのあぐらの中心でなでられているニャンが2本しっぽの白灰メスケットシーに変わっていて2本しっぽの白黒ハチワレ柄オスケットシーと2本しっぽのアグーティ柄オスケットシーがイブさんの右にそれぞれ身体を横に倒してすわって順番待ちをしている。
2本しっぽのアグーティ柄オスケットシーは、一度なでなでに満足して再度後ろに並びなおしたようだ。
「えっと……。2本しっぽの白灰ケットシーさん? お名前を聞いても良いですかにゃ?」
「……」
2本しっぽの白灰メスケットシーが無視をしていると、イブさんがなでなでの手を止めその手をのけた。
「わ、吾輩、ゴマちゃんにゃ!」
ゴマちゃんの返事に、イブさんがなでなでを再開する。
「ゴマちゃんも寅吉さんみたいに、爪斬撃を飛ばせたりするのかにゃ?」
「……」
ゴマちゃんの無視に、イブさんがなでなでの手を止める。
「と、飛ばせるにゃ!」
ゴマちゃんの返事に、イブさんがなでなでを再開する。
「タマチャンは?」
「爪斬撃を飛ばすためには妖力を自覚する必要があるから、しっぽが2本に増えるまで使えないにゃ! まあ、空中12段ジャンプも本来は妖力を自覚しないと使えないはずなのにゃが……」
「ゴマちゃん? もしかして現時点では、タマチャンよりゴマちゃんの方が強いのかにゃ?」
「……」
ゴマちゃんの無視に、イブさんがなでなでの手を止める。
「つ、強さはいろいろにゃ! タマチャンの方が素早いからゴマちゃんが爪斬撃をあてる前に、タマチャンの電磁マイナスドライバーで無力化されるにゃ! 爪斬撃なんてあたらなければ、ただの破壊力だけにゃ!」
ゴマちゃんの返事に、イブさんがなでなでを再開する。
「ゴマちゃん? タマチャンの電磁マイナスドライバーがどれぐらいの威力か知らないけど、補佐として爪斬撃を使えるケットシーがいた方が安心じゃない?」
「これだからしろうとは! タマチャンはしっぽが2本になるだけで、最強のケットシーになると言われているにゃ! そしてタマチャンはピンチにおちいった時に、2本しっぽになると言われているにゃ! まだ2本しっぽになっていないタマチャンの事は心配しているのにゃが、ノストラダムス2世の予言で大丈夫だと言われているのにゃから大丈夫にゃ!」
「フフッ」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」「これだからしろうとは!」
フェアリーたちが言い回しを気に入ったのか、楽しそうに同じ言葉をくりかえしている。