第46話 エンディング曲として歌おうと思ってるにゃ!
「藤咲さん? 勝野・丈治も聞きたい事があるんですが、カラオケが歌えなくなったと思ったのはどんなことが起こったからですかにゃ? もうカラオケは歌えないんですかにゃ?」
「その運命の恋人と思える女性は僕より一足先に退院をしたんだけど、その後で歌った『愛する人が死んで、何でもないことが幸せだった』と言うような内容の歌を歌ったら感情移入をしてプロみたいに歌えちゃったんだけど、その直後に男性曲ですら声が出ないぐらいになってカラオケが下手になっちゃったんだにゃ……。それで看護士さんのひとりに『今日は珍しく下手でしたね。調子が悪かった?』と言われたから、僕は『高い声が出なくなったから、もう歌えない……』と答えてそれから17年間まったく歌わなかったんだにゃ……」
「それで、また歌い始めたきっかけは何ですかにゃ?」
「昔のアニメの主題歌でもある女性曲に再度感動して歌いたくなって練習をしたんだけど、動画サイトで5分ぐらいの長さの『高音の出し方』の動画を見たらあっさり声が出るようになったにゃ! それで女性曲が出るようになったからさっき言った曲も声が出るかと思ったら、まったく出ないんだにゃ! どうやら高い声と低い声が共存しているような曲は声を出すのが難しいらしくて、ほぼ毎日1曲につき1回ずつ練習していたらじょじょに声が出るようになって歌えるようになったにゃ! それで新しい曲を探してたら聞いているだけで泣けてくる僕が感情移入できる曲があったから、その練習をしてと言う感じにステップアップしていったんだにゃ!」
「その曲って、どういう曲ですかにゃ?」
「遠くに拠点を移す年下の恋人のような人を駅の改札で見送る、難易度Aクラスの曲にゃ!」
「歌えるように、なったんですかにゃ?」
「なったにゃ! 『1回聞いたことのある日本語歌詞の男性曲なら、大体歌えると言う特技』を持っていた時は、アカペラはしない主義でカラオケでしか歌わなかったけど。歌を練習して歌えるようにすると言う事を、おぼえたにゃ! 出せる声はまだまだ少なかったけど、難易度の高い歌に挑戦するたびに出せる声が増えたにゃ! もうはずかしくって、練習していない歌は歌えないにゃ!」
「小説家志望なのに、そんなに歌を練習してどうするんですかにゃ?」
「僕の小説がアニメ化したら、エンディング曲として歌おうと思ってるにゃ!」
「原作者が歌うんですか? めずらしいですにゃ!」
「うん。ほれられた理由の一つが、歌のうまさの可能性があるからだにゃ!」
「昔のアニメの女性主題歌も、エンディングで歌うんですかにゃ?」
「ああその曲は僕の好きな子にブチ切れられる可能性があるから、多分歌わないにゃ!」
「ええ? そんな内容の歌なんですかにゃ?」
「いや変な内容ではないけど、約束をせずに別れてもず~~~っと待たせていたら、ブチ切れられてもしかたないかな?って思うにゃ! 『あなた、どんなけまたせるの!』って、ブチ切れられそうにゃ!」