第43話 ニャンのみなさんの事情
と言ってタマチャンが僕の前に後ろ足を投げ出してすわったので、僕はそのままあぐらをかいてすわる。
するとタマチャンから見て右に4本しっぽの茶トラ柄オスケットシーの寅吉がタマチャンから見て左に3本しっぽの黒オスケットシーがそれぞれスフィンクス座りで並ぼうとした所、タマチャンと寅吉の間にワサビちゃんが割り込みタマチャンと黒オスケットシーの間に3本しっぽの三毛柄メスケットシーが割り込みそれぞれ香箱ずわりでなわばりを主張?したので、寅吉と黒オスケットシーは少し横にずれて香箱ずわりに落ち着く。
「え? 今の、なんにゃ?」
「藤咲さま♡ タマチャンさんは、ニャンのみなさんのアイドルなので……」
「え? なんか、事情を知ってるのかにゃ? イブさん?」
「はい♡ 知っていますが、ニャンのみなさんに直接聞いてくださいにゃ♡」
と言うイブさんは僕の右にあぐらをかいてすわり、股の間に2本しっぽのアグーティ柄オスケットシーをのせてなでているのだが。
2本しっぽの白灰メスケットシーと2本しっぽの白黒ハチワレ柄オスケットシーがイブさんの右に、それぞれ身体を横に倒してすわって順番待ちをしている。
そして僕の左には近くから、日名川・京太郎、山田富士、勝野・丈治、の順番にあぐらをかいてすわっている。
「タマチャン?」
「タマチャン4本しっぽの茶トラ柄オスケットシーの寅吉さんと3本しっぽの黒オスケットシーのクロスケさんから『子作りしないか?』と誘われているのにゃが、『タマチャン、心に決めたニャンがいるから……』と言ってことわっているのにゃ!」
「ワサビちゃんと三毛柄メスケットシーさんは、どうして割り込んだにゃ?」
「ミケコにゃ!」
三毛柄メスケットシーが、答える。
「それでミケコさんは、どうして割り込んだにゃ?」
「吾輩……」
「ちょっと待つにゃ! 全員が、一人称に吾輩だとまぎらわしいにゃ! 今回の話し合いの間は、一人称の呼び方を自分の名前にするのにゃ!」
日名川・京太郎の提案に。
「「「「「「「「「「「「にゃるほど」」」」」」」」」」」」
と日名川・京太郎以外の、イブさんをふくめたケットシーと人間が反応する。
ちなみにフェアリーたちは、思い思いに飛び回ったり休んだり話を聞いたり?している。
「ミケコ、クロスケとの間にワサビちゃんと243匹の普通の猫のこどもを生んでるのにゃ! 合計244匹のニャンを生んで、最近は避妊薬を飲んでクロスケと子作りしてるのにゃ! ニャンの常識では特定のニャンとだけ子作りするのは珍しいのにゃが、ミケコとクロスケはずっといっしょに子作りしてるのにゃから人間で言う所の夫婦みたいなものにゃ! 他のニャンを口説こうとしている夫を止めるのは、当然の権利にゃ!」
「にゃるほど……。僕の名前は藤咲・アルヴィン・斗真って言うから、斗真って呼んでほしいんだけど。クロスケさんは、ミケコさんの言い分をどう思っているにゃ?」
「斗真くん。クロスケもミケコの事を自分の妻のように思っているのにゃが、ニャンとはそんな生き物ではないにゃ! タマチャンからいつもいつも熱い視線を送られていれば、口説くのは礼儀にゃ!」
「タマチャン? なんでクロスケさんの事を、熱い視線で見てたにゃ?」
「タマチャン、べつにクロスケだから熱い視線で見てたんじゃないにゃ」
「じゃあ、何を熱い視線で見てるのかにゃ?」