第41話 ニャンをもてなす心の条件
「俺……24周目の順番に行ってきます、にゃ……」
勝野・丈治もワサビちゃんの前5メートルの位置で、ニャンの興味を引くよう意識した緩急をつけた猫じゃらしの動きでニャンを誘う。
「ここはいいにょにゃが、ニャンをもてなす心には反応速度も必要にゃ! では行くにゃ!」
と言って一瞬で勝野・丈治の持った猫じゃらしに肉薄するだいぶ前に、勝野・丈治は腰の回転とともに腕を持ち上げて安全地帯?に猫じゃらしを避難させる。
ワサビちゃんは、その逃げた猫じゃらしを追ってジャンプ。
勝野・丈治はそのジャンプを確認する一瞬前に猫じゃらしを急速反転、地面に向かってジグザグ移動。
ワサビちゃんはそのジグザグ移動の猫じゃらしを追尾するように直前にジャンプの角度を変えていたので1回だけ空中ジャンプをして、猫じゃらしの近くに着地し猫じゃらしを捕まえようとするが。
勝野・丈治はそれがあらかじめ解っていたようにワサビちゃんが着地する直前に立ち上がり始め、猫じゃらしを高い位置に持って行ってフリフリ緩急をつけてふる。
「なんにゃ? 予測で負けてるのかにゃ?」
そこでワサビちゃんは空中ジャンプを節約しようとしたのか勝野・丈治の左肩に飛び乗ろうとしたのだが、勝野・丈治はひらりとかわし右手に持った猫じゃらしを挑発するように低い位置でフリフリ緩急をつけてふる。
ワサビちゃんはそれによって空中ジャンプをするタイミングを失って自由落下で猫じゃらしに肉薄するが、勝野・丈治はワサビちゃんが地上に着地する直前になる前の余裕のある段階でまた空中の高い位置に猫じゃらしを持って行ってフリフリ緩急をつけてふる。
それに対してワサビちゃんは1回地上に着地してからジャンプして今度は直接猫じゃらしに肉薄し、今度の勝野・丈治はワサビちゃんがジャンプしたのを見てから猫じゃらしをジグザグ移動したのが悪かったのか、ワサビちゃんの1回の空中ジャンプで猫じゃらしを捕まえられた。
ワサビちゃんはその横向きにまわる空中ブランコのような猫じゃらしから手を離して、猫ひねりで着地してから猛スピードで勝野・丈治の所に戻ってきて。
「なかなかにゃ! おみゃあも、ニャンをもてなす心が解ってるにゃ! あんにゃうすにょろだったにゃつが、がんばったにゃ! 満足にゃ! 予測で負けるとは、思わなかったにゃ!」
「そのことにゃんですが、実は予測ではないのですにゃ!」
「どういうことにゃ? はっきりと、予測で負けてると感じたにゃ!」
「実は反応速度が低すぎて分かりにくかったかもしれませんが、一瞬先の未来を知覚する概念能力が目覚めまして……」
「にゃるほど……あれはそう言う事かにゃ? 反応速度だろうと概念能力だろうと、おみゃあはニャンをもてなす心の条件を満たしたにゃ! おみゃあさんたちに、次の試練をあたえるにゃ! 今度は2本しっぽのケットシーたちをおみゃあさんたちの集団で、もてなしてもらうにゃ!」
「とうとう、ここまで来たのにゃね……」
「タマチャン? アドバイスしてくれる気になったのかにゃ?」
これまでだまっていたタマチャンに、僕は声をかける。