第40話 にゃんだと!
「じゃあ、順番に行ってきますにゃ!」
と言って僕は2本しっぽのサビ柄メスケットシーの前3メートルの位置で、ニャンの興味を引くよう意識した緩急をつけた猫じゃらしの動きでニャンを誘う。
「思えば空中ジャンプを2回使わされたのもニャンをもてなす心を習得したのも、おみゃあが1番最初だったにゃ! 吾輩ワサビと言う名前にゃのにゃが、おみゃあに最初に吾輩をワサビちゃんと呼ぶ事をゆるすにゃ!」
「ありがとうございます! ワサビちゃん先生! 感激ですにゃ! 吾輩の名前は、藤咲・アルヴィン・斗真! 斗真くんとおよびくださいにゃ!」
と言う僕の返事を待ってから一瞬で僕の持った猫じゃらしに肉薄するが、僕は大胆にも2本しっぽのサビ柄メスケットシーのワサビちゃんの反応速度を知ったうえでワサビちゃんの頭上を山形に越えてワサビちゃんを僕の腕の内側に入れたまま猫じゃらしをふる。
「にゃんだと!」
と言ってワサビちゃんは左回転でふりむくが、その回転に合わせて僕は猫じゃらしをワサビちゃんの頭上でグルングルン左回転でまわす。
そして速度が速くなってきたところで僕の左手左腕左肩と猫じゃらしを誘導して、左肩からワサビちゃんをダイナミックジャンプさせる。
そして猫じゃらしを右に直角移動させたのを皮切りに、僕自身も走りながら猫じゃらしをイナズマのように空中移動する。
その猫じゃらしを追尾するホーミングミサイルのようにワサビちゃんは空中ジャンプを2回使い切り、地面に着陸して走ってついてくる。
それを確認して僕は足を一時止めて、ニャンの興味を引くよう意識した緩急をつけた猫じゃらしの動きでニャンを誘う。
「おみゃあにはいつも、驚かされるにゃ!」
と言ったばかりのワサビちゃんの頭上をヒョイと山形にこえてワサビちゃんが左回転で猫じゃらしを視界に入れた所で、さらにヒョイともう一度頭上を山形にこえる。
「なんにゃ? 吾輩の反応速度と予測を、超えてるのかにゃ?」
そのワサビちゃんの頭上をもう一度ヒョイと超えようとした所、ワサビちゃんが空中の猫じゃらしに飛びついてきたので急いで軌道を直角移動すると。
いつの間にか10秒たって回復していた空中ジャンプを1回使って、猫じゃらしをハシッ!と止められて。
ワサビちゃんは一本釣りされたカツオのように空中を猫じゃらしの持ち手側を支点にグル~~ンと弧を描いて回り、途中で手を離して猫ひねりを使って華麗に着地する。
「最後はおしかったにゃ! 吾輩も、いつもおみゃあに反応速度で負けてないと証明出来て満足にゃ! おみゃあのニャンをもてなす心、見せてもらったにゃ! 大満足にゃ!」
「『大満足にゃ!』、もらっちゃったにゃ!」
「おめでとうでごわすにゃ!」
「俺……。俺だけ、置いてきぼりにゃ……」
「フフッ、勝野さん? あなたの隣に仲間がいますにゃ! 勝野さんの半歩先にいるだけのニャンをもてなす心の持ち主、日名川・京太郎をお忘れなくにゃ!」