第38話 ニャンをもてなす心
勝野・丈治も2本しっぽのサビ柄メスケットシーの前3メートルの位置で、ニャンの興味を引くよう意識した緩急をつけた猫じゃらしの動きでニャンを誘う。
「いいにゃ! いいにゃ! ニャンをもてなす心は大事にゃ! では行くにゃ!」
と言って一瞬で勝野・丈治の持った猫じゃらしに肉薄するが、勝野・丈治は腰の回転とともに腕を持ち上げて安全地帯?に猫じゃらしを避難させる。
その安全地帯の猫じゃらしに2本しっぽのサビ柄メスケットシーはジャンプだけで再度肉薄、そして空中でハシッ!と猫じゃらしの先っぽを捕まえてぶら~~んとぶらさがる。
空中ジャンプの1つもなかった。
そのままの姿勢で固まった勝野・丈治の高く掲げた右腕の先の猫じゃらしの先につかまった2本しっぽのサビ柄メスケットシーは、ぶら下がった状態から腰をくの字に曲げ両手を離し両手両足を空中で下に移動させその反動で腰を上に移動させるいわゆる猫ひねりで地上にスタッと降り立ち。
「このまにゅけ! せっかく直前にいいお手本があっても、完全に一致していたら先を読まれて当然にゃ! 自分のうすにょろさも計算に入れて、工夫するのにゃ! ニャンをもてなす心を忘れるにゃ! うすにょろ! 不合格! 出直して来るにゃ!」
勝野・丈治が、肩を落としてもどってくる。
「あんにゃの……どうすれば……」
「フフッ! 予備動作を見て動きを予測するスキルが、格上のようですにゃ! 気長に行くのにゃ!」
◆◇23周目◆◇
日名川・京太郎は、2本しっぽのサビ柄メスケットシーの前5メートルの位置で、ニャンの興味を引くよう意識した緩急をつけた猫じゃらしの動きでニャンを誘う。
「おみゃあも、だいぶニャンをもてなす心が解ってきたようだにゃ! では行くにゃ!」
と言って一瞬で日名川・京太郎の持った猫じゃらしに肉薄するだいぶ前に、日名川・京太郎は腰の回転とともに腕を持ち上げて安全地帯?に猫じゃらしを避難させる。
2本しっぽのサビ柄メスケットシーは、その逃げた猫じゃらしを追ってジャンプ。
日名川・京太郎はそのジャンプを確認した瞬間に猫じゃらしを急速反転、地面に向かってジグザグ移動。
2本しっぽのサビ柄メスケットシーはそのジグザグ移動の猫じゃらしを追って1回だけ空中ジャンプをするが、猫じゃらしの近くには着地できない。
それでも2本しっぽのサビ柄メスケットシーは、またもや猫じゃらしに一瞬で肉薄。
あわてて猫じゃらしを空中に移動させようとした日名川・京太郎の意思は届かず、2本しっぽのサビ柄メスケットシーをカツオの一本釣りのようにグルングルンぶらんぶらんさせ日名川・京太郎は腕を固定してピタリと待つ。
2本しっぽのサビ柄メスケットシーは、猫ひねりでスタッっと着地すると。
「なかなかにゃ! おみゃあも、ニャンをもてなす心が解ってるにゃ! あんにゃうすにょろだったにゃつが、がんばったにゃ! さあ! 次のにゃつ来るのにゃ!」
「フフッ! やっと。。。ニャンをもてなす心、習得にゃ!」
「おめでとうございますにゃ!」
「おめでとうでごわすにゃ!」
「後は俺だけだにゃん……」
「勝野さんと僕はあまり差がにゃかったですから、次で行けますにゃ!」
「そうだと良いのですがにゃ……」