第31話 藤咲《ふじさき》・アルヴィン・斗真《とうま》の心にもある、思い人の影
「(中略たくさん)「ええ~~! それ、本当なの~~~!」(中略たくさん)」
フェアリーたちが、倉持・丈之さんと僕のまわりでさわぎだす。
「発注がこんなに難しいなんて、初めて聞いたんです! すいません、すいません、すいません……」
「(中略たくさん)「すいませんじゃないよ! あたしたち、死ぬんだよ!」(中略たくさん)」
「安心して! フェアリーのみんな! こう言った、テキトーなんちゃって発注をカバーする方法として店間移動と言う方法があります!」
「いえ、店間移動はできません……」
「え? 何で?」
「ここが外部から隔離された世界だからと言うのもありますし火星までに必要な物資を計算するために、発注日どおりに発注した商品だけが入ってきます……」
「(中略たくさん)「……」(中略たくさん)」
「(中略たくさん)「もう、おしまいよ~~~!」(中略たくさん)」
「(中略たくさん)「あたしたち、餓死するんだわ!」(中略たくさん)」
「(中略たくさん)「ひもじいよ~~」(中略たくさん)」
フェアリーたちがかわいそうに、嘆き悲しみわんわん泣く。
「何か方法はないんですか?」
「通常の方法はありません」
日名川・京太郎の質問に、倉持・丈之さんが意味深な言い方をする。
「通常の方法以外では?」
「あります!」
「みんな! 泣き止んで~~~! 話を聞くから静かにして~~~! それで? 方法とは?」
「はい! 藤咲・アルヴィン・斗真さまは、祈とう師の事はどの程度ご存知でしょうか?」
「連結した世界樹の根教徒は、祈とう師の占いによる助言を受けているんだよね?」
「はい! その祈とう師の占いなのですが、未来から精神だけをタイムトラベルで送られてきた人もいるそうです。そしてわたくしは祈とう師の一人に、なぜかこの役をまかされています。つまり藤咲・アルヴィン・斗真さまが、わたくしの精神を20年前に送って新しい祈とう師を一人作るのも決まっている事なのかもしれません」
「ええ? 20年前? 1か月前ぐらいで、発注できるようにならない?」
「はい! 自信がありませんしなにより、おたがいのテキトー発注の罵り合いでギスギスしたまま出ていった妻ともう一度やり直させてください!」
「そう……。じゃあ、しかたないか……」