第30話 フェアリーたちの死……
「倉持・丈之さんですね!」
日名川・京太郎が半径5メートルの範囲に降らす桜の花びらの中、商品管理倉庫内の奥にある棚の前で、タブレット端末を入力している特徴のない40代の男に声をかける。
「お待ちしておりました。藤咲・アルヴィン・斗真さま! さて、インジェニュイティ(想像力さん)の筆頭管理者アカウントをかけた試練ですね!」
「いえ、その前にハチミツの発注を見せてください」
「発注ですか? わたくし発注歴20年経験豊富な大ベテランですので、発注の事はお任せください!」
「いやそういうの良いから、見せて!」
「こちらです……」
倉持・丈之が、タブレット端末を渡してくる。
「ハチミツの棚は?」
「こちらです……」
倉持・丈之さんの案内で、2つ隣の棚に移動する。
「ハチミツの発注は昨日だったんですね、なおかつ発注は1週間に一度……」
「はい! ハチミツは発注しときましたから安心してください!」
「いや、何で4週間前の発注でハチミツ10種類を1つずつ注文したのがきれいになくなってるのに、何で昨日の発注でハチミツ1種類1つだけしか注文しなかったの?」
「はい! 1か月消費されない不良在庫でしたので、この場合は最低限の注文で良いんです!」
と言って、倉持・丈之さんがドヤ顔をする。
「発注の基本は、発注量と在庫として残っている量を数えて次の発注日までにどれだけ減る可能性があるかを計算して出すんだよ? この場合は3日前にハチミツ10種類1つずつ合計ハチミツ10キログラムがいっぺんに無くなっているから、1日にハチミツ10キログラム無くなる可能性があるとみなして1週間に一度の発注だから70キログラムではまた空になる可能性があるから欠品させないためには次の発注の商品が入ってくる17日後まで欠品させないために170キログラムぐらいは発注しておく必要があるんだよ? 実際には3日前の夕ご飯からフェアリーたちがハチミツを食べ始めたから、発注したハチミツが来る2日後までフェアリーたちは断食。ハチミツが来た後も、1食が七分の10キログラム必要な所を七分の1キログラム、10分の1しかお腹に入らなくてその後7日間断食。9日間で、27食。1食、七分の10キログラム。27食かける七分の10キログラムで、だいたい39キログラムのハチミツが不足。フェアリーたちはこのままだと死ぬんだよ!」