第25話 息《いき》をするように、世界改変する疑惑
「学力をつけても、大学へ行くお金もないしね……」
「それもあるしそもそもの話、小学校入学して宿題とか勉強とか親として監督してやらせることをせずに。僕が宿題を全部無視して出さずにいるのも勉強をしないのも書道教室をほぼさぼっているのも、怒りもせず『放任主義だ!』とか言ってドヤ顔で育児放棄と言う虐待をしておきながら。中学生になって成績で順位を付けられるようになると、ゲーム禁止テレビ禁止昼食のインスタントラーメンに卵を入れるの禁止そして殴っておけば勉強するようになると思うと言う。勉強嫌いの中の勉強嫌いを作る、見本みたいなことをされたんだ。ちなみにエリートの家では子供が言う事を聞くように小さい頃から一緒に遊んだり約束を守ったりご機嫌を取ったりしているから、子供が言う事を聞くようになるらしいけど。そう言うことは、いっさいなかった! 算数や理科で、100点を取り続けようがほめられることもなく。漢字の書き取りのテストで、0点を取り続けようが怒られることもなく。ただ成績で順位を付けられるようになると、殴られ続ける。べつに殴られて勉強をするようになったなんて、実績もないんだよ?」
「話が横道にそれたので戻しますが藤咲さんが前の話で主張していた理論、もう実際にそうだったのか証明する方法がないですね」
「ああ、もう僕に世界改変されて『夜に雲が出ると、昼間の熱が宇宙に逃げていきづらくなる』世界にされちゃってるって事?」
「それもですがヒートアイランド現象も、世界改変の結果かなって……」
「ええ? インターネット無線接続装置の移植義務化前だよ? 違うでしょ!」
「藤咲さんは知らないのかも知れないですが、『藤咲・アルヴィン・斗真さんのスーパー量子コンピューター世界樹化改変事件』から世界中のあらゆる組織のあらゆる人間がスーパー量子コンピューターの世界樹化に挑戦してことごとく失敗しているんです。スーパー量子コンピューターを他の物に改変すること自体が出来ないらしくて、量子コンピューターには疑似的な意志力があり自らと自らの存在を成り立たせる発電機とその職員ぐらいまでを自己防衛しているそうです。ちなみに僕も107才の外見から20才の外見に若返った意志力強度を見込まれてスーパー量子コンピューターの世界樹化に挑戦したのですが、全く何の変化も起こせませんでした。つまり藤咲・アルヴィン・斗真さんの意志力強度はとびぬけていて、インターネット無線接続装置の移植義務化前から細かい世界改変をおこしていたのではないかと世界中が疑ってるんですよ?」
「ええ? ひどい! 言いがかりだ!」
「つまり……おいどんの存在も世界改変の結果なんでごわすか?」
「「うぅ~~ん?」」
山田富士の発言に僕と日名川・京太郎が考え込むと、ナミアゲハの羽の方ちゃんが。
「ドンマイ! きっと、山田富士さんだけじゃないよ!」
と言って、山田富士に輝く笑顔を送った。
「どちらにしろ、スーパー量子コンピューターからのログアウトは忘れないようにしましょう! わかりましたか? 藤咲さん!」
「まあそうかもしれないけど、前からログアウト忘れないようにしてるじゃん!」