第20話 150年分の、めがね発掘
「藤咲さま♡ めがねケースが24個も出て来ました♡」
専属メイドロボのイブさんが、めがねケースからめがねを1つ1つ取り出してならべていく。
「何で、めがねをならべてるんですか?」
「検品です♡ それより藤咲さま♡ 今めがねをかけていないのに、なぜめがねを持っているのですか?」
「ええっと。35才ぐらいの時に新聞奨学生制度を利用して小説の書き方を教えてくれる学校に通ったんだけど、バイクに乗るのに0.7の視力だとギリギリだったからめがねを作ったんだよ。それで新聞奨学生の間は違反とかで点数を引かれるから、免許更新を3年に一遍新聞配達をやめてからは免許更新を5年に一遍70才からは高齢者講習を受けなきゃいけないから71才に免許返納してそれからも5年に一遍めがねを新調し続けて149才の時に全人類の脳にインターネット無線接続装置の移植が義務化されて意志力強度との掛け算で20才に若返った時にめがねがいらなくなるまでで、めがねを24個作ったんだよ?」
「斗真くん! このめがね! 反射する光が青色だよ!」
カラスアゲハの羽を持つフェアリーが、うれしそうに報告してくる。
「ああ。それは一時期、パソコンのブルーライトが目に悪いと言われていた時に作っためがねだね。けっきょくの所ブルーライトも必要らしくて、ブルーライトカットのめがねはそれだけ作っておしまい。無駄だった」
「斗真くん! この、めがねケースが他より大きいめがねは?」
キアゲハの羽を持つフェアリーが、楽しそうに聞いてくる。
「ああ。それは、鼻だか耳だかの負担を軽減するらしいバランスで作られためがねだね。僕には、違いがわからなかったやつね」
「藤咲さま♡ 全体的に、レンズの大きいめがねが多いような気がします♡」
「ああ。僕の顔の系統がキュートタイプらしくて、キュートタイプはレンズの大きいめがねが似合うんだって」
「藤咲さま? 藤咲さま♡の顔は興福寺の阿修羅像にそっくりですが、興福寺の阿修羅像の顔の系統もキュートタイプなのですか?」
「さあ? 僕はめがね屋じゃないから、何とも言えない」