2/89
第2話 闘うために生まれたハードボイルド風の男
「そこのお兄さん! あんた、戦いに行くんだろ?」
地下鉄を何回ものりかえ乗った急行電車を降りて★★★大学にむかおうとする俺に、ダウンコート姿にアタッシュケースをもった20代前半の男が声をかけてきた。
「なぜわかった?」
俺が、ハードボイルド風に聞くと。
「あんた、興福寺の阿修羅像にそっくりじゃないか! 闘いの意志力が、姿を変えたんだろ?」
「いや、この外見は生まれつきだ! 闘いとは関係ない……」
「じゃあ、スーパー量子コンピューターを止めに行く地球教徒じゃないのか?」
「地球教徒なんてしらん! 俺は世界の未来のために、スーパー量子コンピューターを止めに行くんだ!」
「なら、たいした武器は持っていないだろ? 武器を買っていってくれ!」
そういって開いたアタッシュケースのなかには、拳銃と弾丸と弾倉とガンベルトが入っていた。