第18話 フェアリーたちの色遊び
「斗真くん！ ひまだよ～」
まわりに飛び回っている平均身長３１．５８センチ（人間換算１５７．９センチ）平均体重４２４グラム（人間換算５３キログラム）のフェアリー１０８匹の中の１匹のフェアリー、モンシロチョウの羽のフェアリーが言い出した。
「藤咲さま♡ フェアリーたちの健やかな成長のために、何か遊びを教えてあげてはいかがでしょう？」
専属メイドロボのイブさんが、提案してくる。
「じゃあ、色探しゲームなんてどうだろう？ 進行役がその近くにある色の中から１つの色を宣言して、みんなでその色にさわる。その色にさわったのが１番早かった子が、次の進行役として次の色を宣言すると言う遊び何だけど。 そうそう忘れるところだった、色にさわる時は自分にさわるのはなしでね！」
「いいね！ みんなでやってみる！」
「色にさわった子は、『さわった！』って宣言してね？ イブさんは、審判お願いします」
「はい！ まずは、監視カメラを設置してもよろしいでしょうか？」
３０分後。
「赤！」
フェアリーたちが一斉に、ラノベの背表紙に群がる。
「「「「「さわった！」」」」」
「はい！ 今回はヤエヤマムラサキの羽の方が１番早かったです！ 今回で2度目ですね！」
「うん……」
「どうかした？」
「簡単すぎて、面白くないかも？」
「じゃあ、ルール追加する？」
「どんなルール？」
「なぜかみんな部屋にある物の色をさわりに行ってたけど、こんどは自分以外のフェアリーたちの羽と服限定でやってみようか？」
「何か違うの？」
「まあ、やってみて」
「白！」
とヤエヤマムラサキの羽のフェアリーが自分の羽にも白色があるにもかかわらず宣言した瞬間、白い色の服を着ていたフェアリーたちの服の色がそれ以外のさまざまな色に変化した。
だが羽の色は変えられないのか、羽に白色があるフェアリーたちはまわりに近よらせないように他の白色の羽をねらって飛んで行く。
モンシロチョウの羽を持つフェアリーが多数のフェアリーたちに追いかけられながら、ウラクロシジミの羽を持つフェアリーを追いかける。
そのウラクロシジミの羽を持つフェアリーも、モンシロチョウの羽を持つフェアリーの背中を取ろうと大回りして追いかける。
その姿は蚊柱ならぬ蝶柱、いやフェアリー柱か。
すごい密度の中で、フェアリーたちが飛び交っている。
１０分後。
「さわった！」
モンシロチョウの羽を持つフェアリーが、宣言する！
最後はナミアゲハの羽を持つフェアリーをフェイント合戦でぬいた所を背後に来ていたウラクロシジミの羽を持つフェアリーの背後に、背面逆宙返りでとりつき『さわった！』と宣言した。
「どう？ 簡単？」
「「「「「「「簡単じゃないよ！！！」」」」」」」
「そう！ よかったね！」
「よかったよ？ よかったけど！ 長時間は遊べないから！ 他の遊びも教えて！」
よく見るとフェアリーたちは全員、肩で息をしている。
「藤咲さま♡ こんなこともあろうかと、オイルパステルを１０８セット用意しております♡」
「ええ？ いいの？ ラクガキだらけになるよ？」
「はい♡ フェアリーの成長に必要だろうと、会議で承認されております♡」
「うわ～～～」
僕の部屋と惑星開拓宇宙船ノア内がどうなったかは、言うまでもないだろう……。
