第17話 想像力《そうぞうりょく》さん
「それが何で、概念重力の訓練で目覚めるの?」
「この舞い落ち続けてる桜の花びら、概念重力付きなんです」
「じゃあ、応用で無重力状態にできる?」
「やってみますね! はっ!」
舞い落ち続けている桜の花びらが落ちる速度が、半分ぐらいになる。
「微妙に成功だけど、これぐらいじゃ概念重力を目覚めさせる訓練はできそうにないね……」
「そんな時は私、インジェニュイティにログインです!」
部屋中のどこからか、声が響く。
「インジェ? なんだって?」
「惑星開拓宇宙船ノアの3台あるスーパー量子コンピューターの内の1台、想像力と言う意味の名前インジェニュイティを過去の火星探査計画から継承した偵察任務や動植物の世話などその他の仕事をするロボットのマスターコンピューターにして想像力分野の概念能力開発担当、インジェニュイティです!」
「ああ、想像力さんね。それで? ログインして訓練をするの?」
「はい! 概念重力の担当のパーサヴィアランス……」
「え? パーサ? なんだって?」
「パーサヴィアランス……。機関士ロボットのマスターコンピューターのスーパー量子コンピューターの忍耐と言う意味の名前で、概念重力の能力開発担当です。概念重力の訓練では、パーサヴィアランスにログインした教官役が無重力状態を作り出し生徒役が独自の概念重力を目覚めさせると言う訓練をしています」
「なるほど、忍耐さんね。それで? もう1台はなんていうの?」
「キュリオシティ……。メイドロボたちのマスターコンピューターのスーパー量子コンピューターの名前で、意味は好奇心です」
「なるほど、好奇心さんね。メイドロボの担当が好奇心なのは若干気になるけど、今はいいや。じゃあ、順番にログインして概念重力の訓練でもしようか?」
「そうですね!」
◆◇◆◇
何の成果もなく昼飯の時間になり創作活動室の扉を開けて外に出ると、舞い落ちてしきつめられた桜の花びらを見ていた青色と緑色のオッドアイ短毛種の白猫がこちらに気づいて立ち上がって口を開いた。
ちなみに、股間を目視で確認したがメスのようだ。
「にゃあ! 人間さんたち! この素晴らしい降り積もった桜の花びらは、おみゃあさん方のどちらかの概念能力でしょうかにゃ? ちなみに吾輩は、オッドアイ白メスケットシーのタマチャン! なぜメスとわざわざ言ったかと言うと、おもむろに股間を見て『メスなのに玉ちゃんかよ! ゲヘゲヘゲヘ(下品な感じの笑い)』とかのセクハラを未然に防ぐためにゃ!」
*注意→「ゲヘゲヘゲヘかっこ下品な感じの笑いかっことじる」、と言っています。
「なんか、ごめん! 思わず股間を目視で確認しちゃった……」
「良いってことにゃ! 今のは、ケットシージョークにゃ!」
「ケットシーって、どういう種族?」
「最近、第三種ニャン権で権利を保障された知性ある猫をまとめてケットシーと言うにゃ!」
「これってもしかして、想像力さんにログインしている間にやっちゃったかな?」
僕は日名川・京太郎にふりかえって、言葉をかける。
「やっちゃいましたかね? 世界改変……。穴があったら入りたい! フフッ」
日名川・京太郎が、自分の言ったセリフにうけて笑っている。
ここでオッドアイ白メスケットシーのタマチャンに詳しく話を聞こうとしたのだが、タマチャンは思い思いに食堂に飛んで行くフェアリーの集団を捕まえようと追いかけて行ってしまった。