第15話 ノストラダムス2世
「はいはい! 分かりました! 100歩ゆずってね! じゃ、続きどうぞ」
「そうやって信頼関係を築いているうちに森林公園内の穴場にある咲き始めの桜の木の下でその黒猫がそこら中に掘っていた穴は大小さまざま小さいのは子猫サイズ大きいのは成人男性2人分サイズの穴になっていたんだけど、ある日その黒猫は桜の木の下で死にかけていたんだ」
「そう……。言いたいことはあるけど、話を続けて良いですよ?」
「『京太郎……。吾輩はもうだめニャ。吾輩が死んだら、吾輩が最初に掘っていた穴に吾輩をうめてほしいニャ。周りの穴には吾輩がさみしくならないように、見つけた死体をその都度うめてほしいニャ』と言って、その黒猫ノストラダムス2世は息を引き取ったから。僕はノストラダムス2世を、その穴に埋めたんだ。それから……」
「ダウト! ダウト! ダウトだよ! なんだよ! ノストラダムス2世って! 猫はしゃべりません!」
「いやいや! ウソじゃないよ! その頃、猫の遺伝子組み換えをして知性ある猫にする研究があったんだけど。研究者の家族用クレジットカードと暗証番号を盗んで高級ホテルで豪遊した猫たちが出た事で違法になって、逃げ出した知性猫が各地に潜伏していたんだよ!」
「猫の豪遊って、なにしたんですか?」
「1日3回の食事をルームサービスで、毎回違う高級猫缶を用意させたり。朝・昼・深夜・関係なくルームサービスで、猫じゃらしをふらせたり全身をなでなでさせたりブラッシングをさせたりだね。そのホテルの従業員の何十人もが、腱鞘炎になって心的外傷後ストレス障害になったと言われているね」
「話の続きがあるんだよね? 続きいいよ?」
「それから10日ほどの間に、猫15匹・大型犬1匹・うりぼう3匹・タヌキ5匹・アライグマ6匹・鹿1匹・モグラ1匹の死体を見つけてノストラダムス2世の周りに埋めたんだ……」
「ダウト! まさかとは思ったけど、やっぱりか! 平和な日本でそんなに死体が転がっていることはありません!」
「いやいや! ウソじゃないよ! 森林公園横の道路が抜け道になってて車がビュンビュン走り抜けるんだけど、その辺の野生動物は奈良公園の鹿と違って交通ルールを守らないから!」
「だからって! そんなに死体が転がっているはずないでしょ!」
「いやいや! その頃ネットで銃の作り方と銃をドローンに打たせる方法を調べて自作の銃で試し打ちをしていた、天才サイコパス幼稚園児が近くに住んでいて……」
「ええ? 秀才サイコパス幼稚園児の、蘇我野・オルカが近くにいたの? 美人幼稚園教諭のオッパイやおしりをさわっていた園長先生と男女8人の幼稚園児を殺して、実名報道されて死刑にもなった? 100年ぐらい前の話じゃん! あんた、何才?」
「150才の藤咲・アルヴィン・斗真さんほどではないですが、僕は日名川・京太郎107才です。日本政府から、賞状と銀杯ももらっています! それはそうと、蘇我野・オルカは天才ですよ? それに、死刑にもなっていません!」
「え? オッパイやおしりをさわっていた園長先生と男女8人もの幼稚園児を殺した所までは同情的な世論もあったけど、蘇我野・オルカ自身もオッパイやおしりをさわっていて同情的な世論はなくなったよね?」
「蘇我野・オルカがオッパイやおしりをさわっていたというのは、根も葉もないでっち上げです! 蘇我野・オルカは憲法改正派にその天才的能力と正義感を買われて、死刑をまぬがれています!」
「いやいや! 成人してから死刑になったニュースをみたよ?」
「それは憲法改正派が作った、記憶までインストールしたクローンです! 本物の蘇我野・オルカは憲法改正派に救出されて暗殺者としての英才教育を受けて、憲法改正反対派を大量に暗殺して憲法改正に多大な貢献をしています!」
「ええ? 一時期政治家がたくさん暗殺されてたけど、それを蘇我野・オルカがやったの? そんなことニュースでやってなかったけど、どこ情報?」
「実は蘇我野・オルカとその遺伝子強化型クローンは今も与党の暗殺者として活躍しているそうで、同じ与党勢力である連結した世界樹の根教徒にも噂が流れて来るんです」
「こわ! 暗殺者こわ! 何時の間にか日本で銃を買えるようになってると思ったら、そんな理由があったのか!」