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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第三弾のおまけの物語(読み切り)

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活用方法が!(後編)

 今日の朝食は大成功だった。

 まず、雑炊とリゾットその二つを用意すると――。


「なんと朝から二つのライス料理を楽しめるのか。しかも片方は見た目からして素朴そうなうな味わい。そしてもう一つは……アグネスの用意した春トリュフでは!? 朝から随分と香りがいい!」

「しかもこの二つは昨日のおでんのスープで作ったのよね? 美味しさが凝縮されていそうだわ。とっても楽しみだわ」


 魔王夫妻は食べる前から絶賛してくれる。

 そして実際に食べ始めると、夫妻以上に大喜びしたのは――。


「アマレット、とても美味しいです……! このゾウスイはまさに二日酔いの胃に優しいというか、素朴な味わいで、食べる度に全身が温かい気持ちに包まれます。程よい塩加減、卵のまろやかさ、しっとり柔らかいライス。永遠に食べ続けることができそうです。対してこちらのリゾットは濃厚で貴族の食卓を飾るに相応しい一品! トリュフの香りといい、濃厚なバターとチーズの味わいにホグの脂身が染み込んだスープが絡まり……こちらもたまらないです。この二つを味比べできるなんて……まさに楽園にいる心地……!」


 セルジュの賛辞に私の頬は緩みっぱなし。


(こうなると昼食も失敗できないわね!)


 昼食で私が作ろうとしているもの。

 それはカレー!

 しかも前世のインド風カレーではない。

 前世でお母さんが作ってくれた、ジャガイモとニンジンがゴロゴロ入っているあのカレーだ!


「アマレット、公務がひと段落したら、昼食の用意を手伝います!」

「ふふ。ありがとうございます、セルジュ。ですが、セルジュの本分は昼食作りではないはず。執務を全力で頑張ってくださいませ」

「アマレット……」


 うるうるの瞳になるとブラックローズを思い出し、その艶やかな黒髪を自然と撫でてしまう。


「大丈夫ですよ、セルジュ。きっと盛り付けのタイミングで厨房に来ることができます。料理を美味しく盛りつけることも大切な作業です」

「……! わかりました。全力で執務を終わらせます!」


 セルジュは執務室へ戻り、私は朝食の片付けが終わった厨房へと向かう。


「お待ちしていました、アマレット様!」


 厨房に到着すると、煮炊きの香りで溢れている。

 どこか郷愁を感じる理由、それはおでんのスープを使い、怪鳥と怪魚の煮込み料理をつくっているからだろう。


 鍋の様子を見せてもらうと、怪鳥の手羽先も怪魚もぶつ切りにされているが、サイズが大きい! でも原型はわからず、私が悲鳴をあげることもなかった。


 ということで調理開始だ。


「昼食用に新たにライスを炊いていただきます」

「了解です。言われていたニンジンとジャガイモの準備は終わっています」

「ありがとう。オニオンは……」

「あちらのザルに入れておきました!」

「助かるわ!」


 さすがにグラマラス美女三姉妹はいつもの仕事がある。そこでメディだけが残り、今回の昼食の準備を手伝うことになっていたが、料理人の皆さんが朝食後の時間を使い、先んじて準備を進めてくれていた。おかげで作業はスムーズに進む。


「料理長、使っていいお肉は?」

「あ、はい。氷室にまだ人間界から取り寄せた牛肉が残っています。あとは本日、怪鳥と一緒に仕入れた魔獣のお肉もありますが……」

「牛肉でいいわ。メディ、とって来てもらえる?」

「かしこまりました!」


 牛肉が到着すると、それを食べやすいサイズにカットして、早速、鍋で玉ねぎを炒めることになる。


 竈の鍋で作る料理は前世のガスコンロやIHと違い、火力調整が難しい。


「よし。これでいいわね。バターをいれて、まずはオニオン!」

「アマレット様、どうぞ!」

「ありがとう、メディ」


 その後はまるでアシスタントのようなメディが肉、ニンジン、ポテトを焼くのをサポートしてくれる。同時進行でおでん汁は温めなおす。


「いい感じで野菜に油を絡ませたから、ここで小麦粉入れるわ。とろみを出すの」

「そしてこちらのカレーパウダーを加えるのですね?」

「ええ、そうよ!」


 カレーパウダーを加えることで、一気にスパイシーな香りが広がり、厨房にいる料理人たちから「おおお」の声が漏れる。


「ここでおでんのスープを少しずつ加えて、かき混ぜる」

「慎重な作業なんですね」

「そうね。小麦粉をちゃんと溶かし、だまにならないようにしたいの」

「なるほどです」


 しばらくは地道にお玉を使い、おでんのスープを足していき――。


「いいわ。鍋から残りを一気にいれましょう」


 鍋を持ち上げるためにミトンを手に持ったが、ひょいとミトンを取り上げられてしまう。


「それはわたしがやりましょう」

「「セルジュ!」」


 ふわりと優しい笑顔になったセルジュはミトンをつけるとひょいと鍋を持ち上げ、残りのスープを注いでくれる。


「この後は四十分ほど、煮込むことになります。サラダを用意しましょう!」

「手伝います!」


 セルジュが全力の笑顔で私を見た。


 ◇


「なんと! これがおでんのスープで作ったものなのか!」

「見た目ではおでんの名残が全然ないわ!」


 昼食。


 しっかり煮込み、トロトロにになったカレーとサラダをテーブルに並べると、魔王夫妻は大いに驚いている。


「何よりこの香りは何とも食欲をそそる。アマレット、早速ではあるが、食べても良いか?」

「もちろんです、陛下。召し上がってくださいませ!」


 カレーは食べたいが、マナーに従い、まずは前菜扱いのサラダとコンソメスープをいただき、ついにカレーへ至る。


「なんと……なんとこのカレーは、ライスに合うのだ! それにこのトロッとした舌ざわり。これは……このカレーだけでライスをいくらでも食べられてしまうぞ!」

「普段あまり食べないニンジンが美味しくいただけるわ! それに牛肉とカレーとライスを一緒に食べると、堪らないわね! 素晴らしいわ!」


 魔王夫妻は早速大喜びしてくれた。

 セルジュも笑顔となり、その美味しさを絶賛してくれたが、こんな疑問も提起する。


「かなりじっくり煮込みましたが、シチューともまた違う。このとろみとスパイシーさ。ただスパイシーですが、まろやかで甘みと辛さが見事に調和しています。シチューではパンと一緒にいただきますが、このカレーはライスとに合わせると父上の言う通り、最高です。今朝のゾウスイとリゾットに続き、ライスをいただきましたが……輸入に頼る食品。ライスをルミナリア王国で作ることはできないのでしょうか?」


 確かにライスを輸入に頼らず作ることが出来たらいいな、と思う。

 いつかこのルミナリア王国でもライスが収穫され、当たり前のように食べられる日が来るのだろうか。

 そんなことを考える朝食の一幕だった。

お読みいただき、ありがとうございます!

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