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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第三弾:ドアマット悪役令嬢、ドン底からのハッピーエンドの物語

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15:ああ、いい!

 グラマラス美女三姉妹の専属侍女にべた褒めされ、ご機嫌でダイニングルームへ向かうと、パールシルバーのフロックコート姿のセルジュが扉の前で立ち止まり、こちらを見ている。


(これはもしや私をエスコートするために待っていてくれたの……? きっとそうだと思うわ!)


 そうなると廊下は長く、セルジュまで距離はあるが、足早でそちらへと向かうことになる。するとセルジュはハッとして、自らこちらへ歩み寄ってくれるが……。


 その歩み、凛と伸びた背筋、サラサラと揺れる漆黒の髪。


(う、美しい。男性なのに美しいという形容詞が似合ってしまうなんて!)


 あまりの目の保養に私が感動していると、近づくセルジュの金色の瞳もうるうるしている。


(ど、どうしたのかしら……?)


「部屋までお迎えにあがればよかったですね」


 うるうるした瞳のままこちらに近づいたセルジュは、私をエスコートしようと横に並ぶ。その際、ふわっと軽く香るムスクの甘さ。


(ああ、いい!)


 陶酔しそうになりながら、なんとか自我を保ち、セルジュに尋ねる。


「私こそ、つい急ぎ足になり、失礼しました。……ところでセルジュ様、何かありましたか? その、瞳が潤んでいますが……」

「! わたしこそ、失礼しました。……その、アマレット嬢のドレス姿が……あまりにも美しく……」

「えっ、私、私ですか!?」


 セルジュのこの言葉には嬉しいよりも「本気で言っています?」と半信半疑になってしまう。

 なぜって魔族の女性の皆様は、美女揃い。しかもグラマラス!

 彼女たちに比べたら、私なんてと思ってしまうのだが……。


「シャンパンゴールドのドレスは特別ですから……」


 そう言えばグラマラス美女三姉妹もそう言っていた。


(なぜそんな特別な色のドレスを着せてもらえたのかしら? 客人としてのもてなしの一環……なのかしら?)


 それについて尋ねようと思ったが「アマレット嬢、中に入りましょう。父上や母上も待っています」と言われ「!」となる。


(魔王とそのお妃さまもいらっしゃるのね!)


 浮かれ気分は吹き飛び、私は唇を結び、真面目な表情でセルジュのエスコートでダイニングルームに入るが……。


(! な……!)


 ダイニングルームは晩餐会かのように、ズラリと並んだテーブルに美男美女が着席している。やはり魔族の皆様はお美しい……!


 その中にちらり、ほらりと魔族っぽい方もいる。ヴァンパイアと思われる牙をお持ちの方、獣耳をぴくぴくさせている方などだ。


(もしかして巨大バジリスクが手に入ったから「みんなでお昼からご馳走! 宴!」になったのかしら?)


 そんなことを思いながらセルジュのエスコートでひな壇に向かうと……。


(もしやこの二人が、セルジュのお父様とお母様!?)


「初めまして、アマレット嬢。セルジュの父、ルシフェル・ヴィラド・ルミナリアです」


 そこで白い歯を見せて笑顔になる、スカイブルーのフロックコートに濃紺のマントを羽織った魔王は……。


(わ、若い! セルジュと同い年、なんなら私と同い年ぐらいに見える! 黒髪に白髪は一本もなく、皺も皆無。肌艶もよく、とても“お父さん”の年齢に見えないわ!)


 感動しているとその魔王の隣で微笑む、ブロンドに碧眼のお妃さまが微笑む。


「アマレット嬢、セルジュの母、アグネス・ルミナリアです。仲良くしてくださいね」


 パールの散りばめられた濃紺のドレスのお妃さま……アグネス様もまた若々しく、親近感を覚える。


(あ! 魔族の女性のような、圧倒的なグラマラス美女ではなく、可愛らしい系なんだわ、アグネス様は!)


 そんなことを思っていると、セルジュはお二人に私を紹介。私も挨拶を行い、その間にハンサムな給仕が飲み物を運ぶ。


 チラリと見ると、赤い透明な液体。ドロリとした感じはなく、バジリスクの血ではないようだ。


「乾杯の葡萄酒です。人間の皆さんも飲まれますよね? アマレット嬢は飲むことはできますか?」

「あ、はい。二十歳なので……。ただ普段、あまりお酒は飲まないので、舐める程度ですが……」

「乾杯のためなので、それで構いませんよ。残りはわたしが飲み干します」


 相変わらずセルジュは優しく、私はうるっとしそうになりながら、葡萄酒の入ったグラスを手に持つ。すると着席していたセルジュがグラスを手に席を立つ。


「皆、今日はこちらのアマレット・ニキ・リプトン嬢を迎える席に参加いただき、とても嬉しく思います。アマレット嬢は今朝、我が国に到着したばかり。まだ左も右もわからない状態です。どうか優しく見守ってください」


 セルジュの言葉に、魔族の皆様は当たり前のように拍手をしてくれる。

 公爵邸でドアマット悪役令嬢だったので、この無条件に私という存在を受け入れてくれる魔族の皆様には……感謝しかなかった。


「それでは我が国に迎えることになったアマレット嬢と、ルミナリア王国の繁栄を願い、乾杯」


「「「「「乾杯!」」」」」


 皆、グラスを掲げ、葡萄酒を口にする。

 気分が盛り上がっていた私は、舐めるつもりが、ごくごくと葡萄酒を飲み――。


「美味しい……!」


 私の言葉にセルジュや魔王夫妻も笑顔になったところで、拍手が起きた。

 私も慌てて拍手したところでセルジュが告げる。


「今日はアマレット嬢のおかげで、新鮮なバジリスクが手に入りました。急遽追加されたバジリスク料理もお楽しみください」


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