14:バジ、バジ、バジリ……
魔王と魔族が暮らす魔の国ルミナリア王国。
この国を治めるのは、魔王と見目麗しい王太子セルジュとハンサムな騎士と兵士、そして――。
「アマレットお嬢様。本日よりお嬢様にお仕えすることになりました、スティと申します!」
「同じく、エリーでございます」
「同じく、メディです!」
「「「私たち、三姉妹が、アマレットお嬢様の専属侍女です!」」」
声はアイドルみたいにラブリーなのに、その体はザ・グラマラス!
一番巨乳なのは長女のスティで、パープルの髪はポニーテールで白銀色の瞳をしている。次女のエリーは、スティより一回りサイズは小さいが、十分巨乳の域。サラサラのパープルの長い髪はおろしており、瞳はスティと同じ白銀色。三女のメディは、普通サイズのバストだが、綺麗なお椀型で美乳だと思う。そしてその瞳は髪色と同じパープル! 三人ともグラマラスだが、メディだけパープルの髪を三つ編みにしている。ゆえに少しあどけなさがあった。
専属侍女三姉妹は美女であるが、メイドの皆様も負けていない。皆、ボン・キュッ・ボンな体型で、美人ばかり。
(魔族の男性はハンサム揃いで、女性は美女ばかり。目の保養になる~)
私がほくほくしていると、グラマラス美女三姉妹は……。
「バジリスクの血があちこちについていますわ」とスティ。
「お風呂の準備はできています!」とエリー。
「髪は私におまかせください」とメディ。
「「「アマレットお嬢様、入浴のお手伝いをいたします!」」」
「ありがとうございます。お願いします!」と応じると……。
「「「やった~!」」」
三人は大喜び。
気付くとものすごい勢いでドレスと下着を脱がされ……。
「まあ、可愛らしい♡」とスティ。
「あ、尻尾はないのですね!」とエリー。
「触り心地がいいですわ~!」とメディ。
初めて見る人間の女性の体に、三姉妹は興味津々! あちこち触られるので、私は悲鳴を上げたり、笑ったり、悶絶したり……。
入浴を終えると、一仕事終えたような状態。
「アマレットお嬢様。お風呂上りはコチラがおススメです!」
そう言ってスティが、小ぶりのクリスタルグラスに入った、トマトジュースのような飲み物を差し出してくれた。銀のトレンチにのったそれは、何だか高級そうに見える。
「こちらのレモンを絞ると、スッキリとして後味が爽やかになりますよ!」
エリーは銀の小皿にのったカットレモンを差し出す。
「ソルトをいれると、甘みが増し、青臭さが収まります。ペッパーを加えれば、味の変化を楽しめますよ」
メディは塩と胡椒の入った小さな壺を差し出してくれた。
(やっぱり、トマトジュースね!)
そこで私はレモンを絞り、塩胡椒を軽くふりかけ、「ありがとう」とグラスに口をつける。
(……このドロリとした感じ。トマトジュース……よね?)
風呂上りでもあり、喉も乾いていたので、ぐびぐびと飲み切った瞬間。
「アマレットお嬢様、言い飲みっぷりです!」とスティ。
「豪快で惚れ惚れします~」とエリー。
「新鮮なバジリスクの血は最高ですよね!」とメディが言った瞬間、私はリバースしそうになるのを必死にこらえることになる。
「バジ、バジ、バジリ……」
「はい! バジリスクの血です! 魔族にとってはご馳走ですよ。不足しがちな鉄分を補えますから。しかもかなり巨大なバジリスクがアマレットお嬢様のおかげで手に入ったと聞いています。しかも殿下が一撃でバッサリ! バジリスクの肉はストレスが多いと固くなってしまいますが、一撃だったので、肉は柔らかく……。この後の昼食では美味しいバジリスクのフライ、シチュー、ソテーなどが登場するはずですよ! 楽しみですよね、アマレットお嬢様♡」
スティにそう言われた私は、口をぱくぱくさせるしかない。
私は今、トマトジュースと信じて、バジリスクの血を飲んでしまった! しかもそのバジリスク、私を食おうとした奴! さらにそのバジリスクの肉を使った料理が、この後、登場する!?
私を食おうとしたバジリスクを、私が食べる……なんてシュール過ぎ!
(というかバジリスクは巨大な蛇みたいだった。あれを、あれを食べるの!? というか既に血は飲んでしまった……!)
「さあ、アマレットお嬢様、汗も引いたので、ドレスへ着替えましょう!」とエリーは言うが、私は「え、え、え」と焦る。
(だってこれでドレスに着替えたら、間違いなくダイニングルームに案内される。そうしたらそこにはバジリスクの料理がーーーーーっ!)
蛇を食べるなんて無理!と思ったが。
(待って。待って、落ち着くのよ、私。私は……この魔の国に置いてもらう身なのよ。バジリスクごときでギャーギャー反応している場合ではないわ。魔族はみんな美しく優しく親切なのよ。公爵邸で入浴の手伝いなんて、私が使用人みたいになってからは、誰もしてくれなかった。でもこのグラマラス美女三姉妹は喜んで手伝ってくれた。みんないい人……いい魔族なのだから! たかが蛇肉ぐらい、どうってことないはずよ。それに前世では、蛇肉は確か……鶏のささみみたいな味と言うじゃない。食べて食べられないことはないと思うの!)
そんなふうに思っていると、あっという間にドレスの着替えが終わっている。
「まあ、なんてお綺麗なのでしょう」
「殿下の瞳と同じ、シャンパンゴールドのドレスを着られるのは、この国ではお一人だけ」
「特別なドレスですからね。お似合いですわ、アマレットお嬢様!」
スティ、エリー、メディにべた褒めされた私は……。
すっかり有頂天になり、バジリスクの肉が待ち受けていることも忘れ、ご機嫌でダイニングルームに向かったのだけど……。














