↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/120

罪と罰

 温室での話し合いからはもう、目まぐるしい日々を送ることになった。


 両親が待つウィンザーフィールド帝国へ帰る必要もあったが、まずはローゼンクランチ王国でしておくべきことが、沢山あった。


 想像以上に迅速に進んだのは、継母とロージーの裁判だ。現状、ローゼンクランチ王国の法では、私に対する虐待の罪を、継母にもロージーにも問うことはできなかった。私がウィンザーフィールド帝国の皇女であることは、後になり分かったこと。よって皇女を虐待していた!という形での追及も、難しいというのは、歯がゆいばかり。


 その一方で、これはいわゆる歴史の闇。つまりはウィンザーフィールド帝国へ、秘密裡に二人を引き渡し、皇族を虐待したということで消す……という案もないわけではなかった。ただ、法治国家から転生してきた私としては、このアウトローなやり方は……と思ってしまう。ローゼンクランチ王国内で起きたことなので、その法に従い、裁いてもらうことにした。


 その結果。


 継母には、不敬罪による死刑。ロージーは強盗罪による終身刑だ。


 ロージーに対しては、私を脅して奪ったあのペンダントの罪が、問われたわけだ。しかもそのペンダントに使われている宝石は、ヴィオレータという、とても希少性が高く高価な物。鑑定の結果、その価値は銀山一つ分に相当と判断された。その結果が刑に反映されての終身刑だった。


 さらにマクシエンとは婚約解消になったわけだが、ここは痛み分けとなった。私が不在だと継母が嘘をつき、ロージーとマクシエンが親しくなる=浮気の状態を作っていたのだが。婚約契約書は、家同士で締結していた。つまりこの場合、ライヴリィ男爵家が浮気を許すような状況を作っていたと、みなされてしまうのだ。


 でもそれはその通りだった。


 その一方でマクシエンは、ロージーの誘いにほいほい乗ってしまったことや、私が置かれている状況がどうもおかしいと思いつつも、ロージーに現(うつつ)を抜かした負い目もあった。それにもはや私が、ウィンザーフィールド帝国の皇女だったことも判明している。


 そこはもう、スクリフ子爵が最大限の忖度をし、マクシエンと私の婚約は円満解消。むしろいろいろ気がつけず、申し訳なかった――ということで着地した。


 気になるこの世界の本来の主人公、つまりはヒロイン。その名はアンヌがどうなったのか。


 調べてみると、攻略対象の一人、宰相の息子と婚約をしていた。学園を卒業すると同時に二人は、前世の大学にあたる学術研究院への進学が決定。入学式となる九月までは、二人で隣国を旅行している。


 宰相の息子を選んだのは、ヒロインが堅実で律儀な男性が好きなのだろうと思ったものの。ヴィクターは、攻略対象の人気投票で、不動の一位を誇っていた。その彼と一切何もなかったことを不思議に感じ、さらに調べてもらうと……。


 驚きの事実を知ることになった。


 なんと、ヴィクターは自らの意志で、ヒロインはおろか、女生徒との接触を避けていた。女生徒がゼロと言われる理数系を専攻し、部活動に当たる課外クラブでは剣術を選択。生徒会長になると、生徒会のメンバーは男子生徒で埋める徹底ぶり。学園では女嫌いと思われていたようだが、それはそうだろう。そこまでしていたら、そう思われてもおかしくない。


 では実際のヴィクターが女嫌いなのか?


 それは……そんなことはないと思う。私のイブニングドレスの胸元が、普段より少し深めに開いているだけで、顔を赤くする。身の回りを世話する侍女には親切だし、自身の女性の家族にも優しい。とても女嫌いとは思えない。


 これは間違いなく、一目惚れしてしまった私のためにしていたことだ。


 そう思うとヴィクターの一途さを、ひしひしと感じることになる。


 そんな彼と過ごす時間は、なんだか夢のようだった。


 明確に自分への好意があるという相手と散歩をしたり、食事をしたり、観劇をするのだ。彼の気遣い、優しさ、親切さを目の当たりにする度に、胸がキュンキュンしている。その一方で、私はウィンザーフィールド帝国へ向かう必要があった。皇女であると、判明したのだから、それは当然。


 時間が限られている。それが分かっているヴィクターはふとした瞬間にとても切なそうな表情を見せる。楽しく笑い合った直後に、泣きそうになる顔を見ると……。


 このまま思い出を作り、そして私は母国へ帰る。


 そんなこと……できるわけがなかった。


 この想いをどうしたらいいのか。


 ずっとあの屋敷に閉じ込められた私に、この気持ちを相談できるような女友達はいない。そこで頼るのはもう、兄しかいなかった。素直に自分の気持ちを打ち明けると……。


「なるほど。イリシーヤは間違いないよ、恋をしているのだろう、ヴィクター殿下に。彼はイリシーヤを救い出すために、とてもよく協力してくれた。なんて親切な青年かと思ったけれど、そうか、下心があったのか」


「カディウスお兄様!」


「はは。冗談だよ、イリシーヤ。……王族であれ、皇族であれ、恋愛結婚は難しい。いろいろとしがらみがあるからね。でもイリシーヤは特別だ。何せこれまで誘拐され、失われた存在になっていた。だからこの年齢でも婚約者がいない。ヴィクター殿下も、婚約者がいないんだ。これはある意味、奇跡だと思うよ」


 奇跡。


 そう言われると、いろいろなことの巡り合わせが、奇跡に思えてくる。そして今、兄が言うように、政略結婚が当たり前の王族と皇族でありながら、ヴィクターと私は婚約者がいなかった。


「両親に事前に相談せずに、自分の気持ちのままに行動してもいいのでしょうか?」


「イリシーヤは真面目だ。気持ちのままに行動と言っても、取り返しのつかないことをするわけではないのだろう。お互いの気持ちを確認し合うぐらいなら、問題ないはずだ。気持ちが一致するなら、後は両親の説得だろうが……」


 そこで兄は、私の頭にぽすっと手を乗せた。

 高身長な兄のことを、私はいつも見上げながら話すことになる。


「少なくとも自分は反対しないぞ。イリシーヤを応援する。父上も母上も、イリシーヤが生きているだけでも嬉しい状況だ」


 まだ見ぬ両親の姿が脳裏に浮かぶ。どんな方なのだろう。諦めずに私を探し続けてくれた二人だ。きっと心優しい人に違いない。


 兄は頭に乗せた手を肩に移し、こう続ける。


「しかも相手は王族。平民を好きになった!――では大変なことになるが、そうではないだろう。反対はしないと思うよ」


 そしてこんなアドバイスをしてくれた。


「明日はイリシーヤにとって、社交界デビューだ。気持ちを伝えるなら、そこがチャンスではないか。まずは二人の気持ちが一つになること。気持ちが一つであれば、その後のどんなことも、乗り超えていけるはずだ」


 確かに明日、私は初めて宮殿で開かれる舞踏会に、出席することになっていた。


 ――まずは二人の気持ちが一つになる。


 そうね。確かにそうだと思った。


 明日、ヴィクターに気持ちを伝えよう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●結末を知らないまま転生●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●短編集●
バナークリックORタップで目次ページ
浮気三昧の婚約者に残念悪役令嬢は華麗なざまぁを披露する~フィクションではありません~
『完結●浮気三昧の婚約者に残念悪役令嬢は華麗なざまぁを披露する~フィクションではありません~』断罪の場で自ら婚約破棄宣告シリーズ第四弾。

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●胸キュンな恋物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。