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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第二弾:ドアマット悪役令嬢は断罪を切望する~フラグ回避に奔走したら、とんでもない事態になりました~

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一日千秋

ヴィクターの過去視点です。

 誘拐されたはずの皇女は、どうやら現在、ライヴリィ男爵家で育てられている。だがその髪と瞳の色の特徴からして、間違いなく、パメラ・ライヴリィ男爵令嬢は、ウィンザーフィールド帝国の皇女。どうか皇女を取り戻すため、手を貸して欲しい――そう、その書簡には書かれていたのだ。


 それを聞いたわたしの驚きと喜びと衝撃は……。

 髪と瞳の色が、実に珍しいものであり、それで個人の特定までできるぐらいだった。そしてこの特徴は、わたしが再会を願う彼女のものと、見事一致していたのだ!

 この時、王太子である兄ルソワに、国王陛下は采配を任せようとした。そこに待ったをかけ、手を挙げたのがわたしだった。


 その後はもう、一日千秋だ。


 一刻も早く彼女に会いたいと思うのに、いろいろと国同士の手続き、しかもウィンザーフィールド帝国の首都が遠方であることから、時間がかかってしまった。何度もライヴリィ男爵の屋敷へ足を運びたくなったが、待ったがかかる。


 やきもきしていたある日、サー・ハロルドが恐ろしい情報をもたらした。彼はウィンザーフィールド帝国から、ローゼンクランチ王国へ、いち早くやってきて、皇女に関する情報を収集していたのだが……。


 ウィンザーフィールド帝国の皇女でありながら、現在はライヴリィ男爵令嬢として生きている彼女が、継母とその娘に虐待されているという震撼すべき情報を知らせてきたのだ。


 正直、その話を聞いた時は、自分の中で沸き起こる怒りの感情を、理性で抑え込むのがどれだけ難しかったか。継母とその娘を今すぐにでも捕らえ、即刻死刑にしたいという気持ちが、何度も沸き上がった。


 そして何よりも彼女を助け出したいと、幾度となく王宮を飛び出しそうになり、近衛騎士達に全力で止められることになる。


 よってすべての準備が整い、パメラ・ライヴリィ改めイリシーヤ・レイア・ウィンザーフィールド皇女を救い出せるとなった時。


 あの時は、人生で最良の一日となった。


 継母とその娘にはぎゃふんと言わせることができ、本当にせいせいした。ただ、継母は不敬罪に問えたが、娘の方は……。だが秘密裡に手に掛けないことを望んだのは、彼女だ。そう、わたしの愛する人、イリシーヤが望んだこと。わたしはただ、彼女の希望に従うまでだ。


 彼女の希望に従うと言えば……。


 本当に、イリシーヤは面白い。


 わたしは彼女に告白するつもりであの日、温室で二人きりになった。とはいえ、いきなり告白はできない。どう考えても彼女は、あの日会ったのが初対面だと思っている。まずはそうではないことを伝え、ずっと忘れることができなかったこと。今も好きでいると伝えるつもりだった。


 ところが、話は予想もしていない方向へと転がっていく。


 どうも彼女の話しぶりからすると、わたしを知っているような気がしたので、それをまず尋ねると……。


 ニュースペーパーで王族の情報を日々見ており、その結果、「読んでいれば、おのずと殿下フリークになりますわ」と言い出したのだ。


 これには驚き以上に、嬉しさが勝る。わたしに興味を持っていてくれたことが、たまらなく嬉しかった。これは告白する気持ちを、大きく後押ししてくれた。もう告白する流れに持っていこうと、話の舵を切ったつもりだったが……。


 思いがけず、彼女の社交界デビューがまだであることが分かり、また進学もできず、そんな自分を卑下していると知った時は……そんなことを気にする必要はないと、抱きしめたくなっていた。


 でもいきなり抱きしめるなんてことはできないので、言葉で彼女を励ますことになった。それはわたし自身の体験も踏まえていたことだったが、彼女はとても喜んでくれた。


 それにこの話をきっかけに、彼女とわたしの心の距離が、縮まった気もしていたのだ。


 いい流れができた。このまま話を告白へ持っていくようにしよう。


 そう思い、婚約者がいないことを話したところ……。


 あれにはもう驚いてしまう。


 彼女に会えるのではと舞踏会に通うことで、令嬢のあしらい方を覚えたと伝え、さらに婚約者がいないことを話したら「男性がお好きなのですか?」と言い出したのだから。


 そんなわけなんてないのに!


 しかし、あの時は……。

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