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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
第三弾のその後の物語:東の国②

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5:セルジュは?

「まさかこのような形でルミナリア王国へお邪魔することになるとは! 手土産の一つもない。連れて来たのは怪我人三人とは何とも面目ないことだ」


 予想より早くセルジュは将軍オガタとヒラタ、そして二人の小姓を連れ、帰還した。さらに私の予感は当たり、全員、煤まみれになっている。


「いや、しかし、セルジュ王太子殿が助けに来てくれるとは……間に合うとは思わなんだ。寺に火を放つ必要はなかったのう」


 将軍オガタの言葉を聞いた私は胸に迫るものがある。


(本能寺の変でも最終的に寺に火を放つよう命じたのは織田信長自身と言われていた。「敵の手に落ちるぐらいなら」と、火を放ったのだ。


(将軍オガタも死期を悟り「もはやこれまで」と思ったに違いないわ)


 そう思うにつけ、セルジュが間に合って本当によかったと思う。


「ポーションを用意してあります。オガタ将軍、お怪我は? ポーションを飲んだり、塗ったりすることで、怪我を治癒させることができます。これまた魔法の一種です」


 私の言葉に将軍オガタは「それはすごい」と煤まみれの顔で笑う。


「セルジュ王太子殿の到着が遅れていたら、大怪我を負っていたが、そうはならずに済んだ。むしろ小姓の二人が怪我を負っている。そのポーションやら、二人に使ってはくれぬか?」

「もちろんです! ヒラタさんは大丈夫ですか!?」

「はい。自分は大丈夫です」


 激戦だっただろうに、おじいちゃんのヒラタに怪我はない。


(やはり年齢よりヒラタは若々しく、そして強いのだわ!)


「トシ、リキ、よう、ここまで我慢した。さあ、アマレット殿からポーションをもらうがいい」


 改めてトシ、リキと将軍オガタから呼ばれた小姓二人を見て「ああ、なるほど」となる。トシは私に脇息を出してくれた小姓だった。リキは楢崎屋に何度かお使いで来てくれていた小姓だ。


(二人は……前世で言うなら森兄弟だね。共に本能寺の変で命を落としている。今回、セルジュのおかげで、この二人も助かったのね)


 歴史を改変しているとは思わない。なぜならここはあくまで乙女ゲームの世界。どこかリアルな世界を反映している部分があっても、ここは史実通りである必要はないと思う。


(なぜなら“あるべき姿”を求められたら、私だって今頃、生きていない!)


「上様、怪我が治りました!」

「もう痛みもありません!」

「うむ。これもアマレット殿のおかげだ。二人とも、御礼を」

「「ありがとうございます、アマレット殿!」」


 トシとリキがぺこりと頭を下げる様子は、年相応の可愛らしさがある。


「全身煤まみれで服もボロボロです。入浴して汗と血も落としましょう」


 私の提案にトシとリキの二人は素直に「「はい!」」と応じた。そこでトシとリキはスティに任せ、将軍オガタにも入浴を勧める。


「身支度が整ったら、魔王夫妻と謁見になります」

「おおお、セルジュ王太子殿の父上と母上に会うのだな。確かにこのような姿では失礼だ。どれ、我も湯浴びをさせていただこう」

「ご案内いたします。メディ!」

「お任せください、アマレット様!」


 ヒラタは将軍オガタと共に浴室へ移動。

 私はホッとしたのも束の間、セルジュの姿を探すことになる。


(将軍オガタを連れ、戻った時。セルジュもやはり煤まみれだったわ! 客人であるオガタを優先することになってしまったけど、セルジュは……)


「サハラ、セルジュは?」

「王太子殿下は先程ポーションを飲み、一旦横になられています」

「! そうよね。休憩もろくにとらずに転移をしたから、魔力切れね」

「それもあると思いますが、オガタ将軍を救い出すため、王太子殿下は燃え盛る炎の中に転移することになったようで……。今はとにかく休息が必要であり、魔力の温存が必要な状況です」


 これを聞いた私はまさに肝を冷やす思いだった。


 火急の知らせを受け、将軍オガタを助けるため、東の国の古都へセルジュは向かった。東の国に滞在中、古都は訪れているが、土地勘があるわけではない。伝令により、だいだいの場所は把握したものの、いちかばちかで転移したに違いなかった。


(もしかしてセルジュはどこか大火傷を負っているのでは!?)


「サハラ、セルジュは自室へ?」

「いえ、手近な宮殿の医務室へ運びました」

「案内してもらえる?」

「勿論です、アマレット様!」


 従者のサハラの案内で医務室へ向かうと……。


「ターナー副団長!」

「王太子妃殿下!」


 カーテンの引かれたベッドのそばにはターナー副団長と数名の騎士がいてセルジュを護衛しているとすぐにわかった。


「セルジュの怪我は!?」

「ポーションにより傷は回復しています。ご安心ください!」

「良かったわ……! 今は魔力の温存と回復のために休息しているだけなのね?」

「その通りです!」


 本来、命を落とすはずの将軍オガタを助けことで、セルジュに災いが起きていないか。ふと心配になったが、大丈夫そうだとわかり、大きなため息が漏れる。


「セルジュ……」


 起こすつもりはなかったが、その顔を見ないとやはり完全には安心できない。カーテンをシャーと引き、ベッドに横たわっているであろうセルジュを確認しようとしたが、その姿がない。


「セルジュ……?」


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