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日本社会の現状と、安倍政権について書いてきた事

 少し前の話です。中国が突然にオーストラリアからの石炭の輸入を禁止にしました。これは「石炭を買って欲しかったら、言う事を聞け」という、つまりは経済を利用した外交圧力だったのですが、これによってオーストラリアだけではなく、実は中国社会も困った事態になってしまったのです。石炭不足で電力が足らなくなってしまったのですね。

 これを見て、日本の一部の人達は「中国共産党が自滅をした」と言っていました。が、まったく別の見解を述べる人達もいるのです。

 

 「中国共産党はそんな事は分かっている。自国民がどれだけ傷つこうが構わず、外交圧力に経済を利用するのが中国共産党のやり方だ」

 

 これが事実かどうかは分かりません。

 ただ、仮に事実であったとしても、この件でオーストラリアは脱中国を目指し始めたとも言われているので、どちらにせよ失敗だったのではないかと思われますが。

 中国共産党の自国民を犠牲にしてでも自分達の都合を優先させるという姿勢はこればかりではありません。近年になって中国共産党は、まるで自国経済を意図的に衰退させるかのような政策を行っています。特に有望であると思われていた情報技術産業への締め付けは厳しく、経済専門家の一部は「中国が何を考えているのか分からない」とまで言っています。

 ですが、これも『中国共産党の支配体制を維持する為』という文脈で考えると理解できるのだそうです。

 近年の中国の情報技術産業は、成長が著しかったが為に中国共産党を脅かしかねないほどの勢力にまでなっていたらしいのですね。しかも、一部はアメリカなどの事業家達とも結びつき、利益を共有し、その影響なのか中国共産党を馬鹿にする若者まで現れ始めていたのだそうです。

 だから、“中国共産党は情報技術産業を抑え込んだ”というのですね。

 これも事実かどうかは分かりません。

 が、有り得る話だとは思います。北朝鮮などを観ても分かるように、独裁政治、或いは専制政治を執る社会のトップが、自国の社会発展よりも自分達の保身や支配体制の強化を優先させる事は珍しくありませんから。

 近年、中国は自ら取り込んでしかも成功させていた資本主義システムを捨てて、統制経済に戻すかのような動きを見せているそうなのですが、“自分達の保身や支配体制の強化”が目的なのだとすればそれも理解できます。

 資本主義システムは、自由に任せておけば自動的に社会が発展する優れたシステムですからね。普通なら、捨てる理由が分かりません……

 ――さて。

 ところで、これって逆を言えば、“資本主義を採用しているにも拘らず、経済が発展していない国は支配階級が己の都合だけで社会を動かそうとしている”という事にもなりますよね。つまりは“経済成長の極端な鈍化”は“専制的な政治”の指標になるって話です。

 「そういう社会に住んでいたら国民が文句を言い始めるだろう。だから、そんな指標は必要ない」

 って思うかもしれませんが、実はそういう社会って情報コントロール能力に優れている場合が多くって、国民は支配階級が己の都合で社会を動かしている事に気が付いていなかったりする場合も少なくないのですよ。

 そして、ですね。実はそういう国の典型的な事例が、極めて身近な国にあったりするのです。

 

 ――はい。

 この日本ですね。

 

 「えー?」って思う人もいるかもしれませんが、冷静に考えてみてください。

 日本は“失われた30年”などと呼ばれていて、経済があまり成長していません。この期間で、アメリカは約2倍も経済成長しています。日本は先進国の中では、経済成長率がダントツでビリです。

 これって“普通”ではないのですよ。何か意図的な手が加えられているとしか思えません。

 繰り返しますが、資本主義は、民間企業に自由に任せておけば、勝手に経済を成長させてくれる便利なシステムです。

 ……いえ、すいません。この説明はちょっと語弊があるかもしれません。スケールメリットを活かし易い道路などは、民間企業は不得意分野ですから、そういった社会インフラが充分に整った状態であれば、「民間企業の自由な活動が経済を成長させてくれるシステム」という条件付きで言うべきでしょう。

 ただ、この点が場合によっては“民間企業の自由な活動”を抑制してしまう原因になってしまったりもするのですが。

 

 スケールメリットを活かす為には、産業分野によっては、“民間企業の自由な競争”が、邪魔になってしまうケースもあるのです。たくさんの企業が参加する事で分散化されてしまって、大規模化ができなくなり、結果、不効率になってしまうケースがあるのですね。

 その為、“規制”によって企業の参入を制限したりするのですが、その“規制”が官僚を中心とする政治家や民間企業などの団体の利権の温床になってしまうのです。その利権団体が力を持つと、スケールメリットを活かし難い産業にまでそれが適応され、過度に民間企業の活動を制限するようになり、経済成長の鈍化の原因になってしまいます。

 

 こういった問題は日本独自のものではありません。世界中で起こっていました。ですが、日本と違って、多くの先進国では1990年代までには規制改革・緩和によって克服に成功しています。もちろん日本だって、何も対策をしていなかった訳ではありません。有名なのは小泉改革でしょう。が、それは決して十分と言えるものではなかったのです。そしてその流れを受けて掲げられたのが、第2次安倍政権が実施したアベノミクスでした。

 いえ、“実施した”ではないかもしれません。“実施しようとした”と表現するべきでしょう。何故なら、結局、アベノミクスにおいて“規制改革・緩和”は十分には行われなかったからです。

 いつの間にか“規制改革・緩和”は鈍化し(完全に進まなかった訳ではありませんが)、そしてその後も、市場への資金供給…… 金融緩和だけは積極的に行い続けました。

 金融緩和は本来は“規制改革・緩和”とセットで行うべきものです。規制改革・緩和によって民間企業が自由に活動できるようになると、今まで投資できなかった分野への投資意欲が生まれ、資金需要が生まれます。そこに資金を供給できるからこそ金融緩和は意味があったのです。

 つまり、『お金の使い道』を規制改革・緩和でつくり、『お金』を金融緩和によって供給する事で、経済成長を目指す政策だったのですね。

 (ただし、アベノミクスで同時に行われた公共事業の拡大は、民間が使う資源を国が奪ってしまうのでこれら政策とは相反しています)

 安倍政権は結果的に『お金の使い道』はつくらず、『お金』ばかりを市場に供給しようとし続けたのですね。

 もちろん、『お金の使い道』がなければ、お金は貯まり続けるだけです。説明は長くなってしまうので割愛しますが、その為に日銀当座預金が莫大な規模にまで膨れ上がっていってしまったのでした。そして、現在(2022年9月)、この日銀当座預金が日本経済の爆弾になってしまっています。

 日銀当座預金にも金利があり、日銀は金融機関に対して利子を支払わなくてはならない為、もし仮に金利が上がってしまったのなら、日銀の支払いも増えてしまうのです。その為、他に国なら問題にならないくらいの金利上昇でも、日本の場合は日銀の経営状況が一気に危機に陥ってしまうのです。

 また、これだけが理由ではないのですが、一部の投資家達が日銀に対して攻撃を仕掛けて来る事もあります。つまり、“膨大な日銀当座預金”は明確な日本の弱点だと認識されているのですね。

 これを理由に、一部の人達は安倍政権の責任を追及しています。「日銀当座預金を膨らました安倍政権のミスだ」と。

 ただし、事はそんなにシンプルではありません。

 ――何故なら、この問題は“国の借金”とも深く結びついていて、もしもアベノミクスが当初の発表通りに実行されていたのなら、このような問題は起こっていなかったのかもしれないからです。

 

 アベノミクスにおいて市場に資金を流通させる為に用いた手段は、『国の借金の借用書である国債を、日本の中央銀行である日本銀行が膨大に買い入れる事』でした。

 因みに、「日本銀行(以下、日銀)が、国債を買い取れば日本の借金は消える」と主張している人がいますが、これは勘違いです。

 日銀が国債を買い取ると、そのお金は日銀当座預金に振り込まれるのですが、“日銀当座預金”は広く解釈するのであれば、“国の借金の一種”と見做せます。つまり、国の借金の形が国債から日銀当座預金に変わっただけで、借金が減っている訳ではないのです。

 ただし、世の中には「国の借金は問題視するに当たらない」という態度を執る人も少なくありません。つまり、「借金が減っていなかったとしても何の問題もない」と言うのです。

 僕はこれが正しいかどうかを問いかける前に、そもそもどうして“国の借金”が増えるのか、から考えてみるべきだと思っています。

 実はその原因はとてもシンプルです。借金をして調達をした資源を、国が経済成長の為に効果的に使えていないから、です。

 もし仮に、経済成長できていたなら、税収が上がって借金は増えていなかったはずですから、これは自明です。

 借金が問題であろうがなかろうが、経済成長しない事が問題であるのは議論の余地がないでしょう。なら、そんな議論をする前に、さっさと経済を成長させちゃえば良いのじゃないでしょうかね? そうすれば、税収が上がって借金も減ります。

 先に日銀当座預金は国の借金の一種で、日本経済にとって爆弾だと説明しましたが、減らせさえすれば何の問題もありません。

 ここで話が“規制改革・緩和”の話に戻るのです。既に説明した通り、“規制改革・緩和”は、経済成長にとってとても重要です。

 ……しかし、ここで一つ理解しなくてはならない事があります。

 

 ――そもそも、“経済成長”とは何なのでしょう?

 

 世の中では散々経済成長という言葉が使われています。が、それが何を意味するのか曖昧なまま話を進めているケースが少なくありません。

 ですが、実はこれはそこまで難しくはないのです。簡単に言ってしまえば、経済成長とは、“通貨の循環量”が増える事なのですが、“生産性の向上”で余った労働力を、“新産業の誕生”に用いる事で起こります。

 例えば、工場が建築されて、生産性が向上したとしましょう。すると、少ない労働力でこれまでと同等、或いはそれ以上の生産が可能になります。そして一つの生産物には需要の限界がありますから、それによって労働力が余ってしまう事もあります(需要が限界に至らなければ、生産量が増えた分だけ経済成長します)。

 つまり、失業者の発生です。

 もちろん、これは社会問題です。

 日本の場合、恐らくは特にこれを嫌って、新技術の導入などを規制してしまっているのですが、経済の成長にとっては好ましくありません。成長を妨げてしまっています。何故なら、前述した通り、その失業者…… “余った労働力”を活用すれば新たな産業が興せるからです。

 その労働力を使って、新たな生産物を生産するようになれば、それだけ経済成長するのですね。

 これは経済発展の歴史が、そのまま証拠になります。

 工業化に代表される生産技術の発展に伴って、どんどんと新しい生産物が誕生しています。今更説明するまでもないでしょうが、車、洗濯機、テレビ、電話、パソコン、スマートフォンなどなどと明らかに生産物が増えています。もちろん、これには動画サイトなどの情報サービスも含まれます。

 繰り返しますが、経済の成長の流れは、“生産性の向上”と“新産業の誕生”がセットで起こるのです。

 

 ――では、どうして“規制改革・緩和”をすれば、経済は成長するのでしょうか?

 

 既に少し答えに触れてしまっていますが、規制によって“生産性の向上に結び付く技術の導入”を妨げてしまっている点がまず一つ、そして、やはり規制によって“新産業が興るのを妨げてしまっている”のがもう一つです。“規制改革・緩和”をすれば、経済成長を妨げているそれら要因がなくなるので、当然、経済が成長するのですね。

 例えば、シェアリングエコノミーの一種に、ライドシェアリングと呼ばれる情報技術を用いた“相乗りサービス”があります。

 欧米などでは既に実績があるのですが、このサービスが普及すると、雨に降られた時など、同じ方向に帰る他の人の車に相乗りさせてもらう事が可能になります。そしてこれは資源の有効活用を意味しますから、“生産性が向上している”と言えます。

 ですが、もちろん、これが普及をすればタクシー業界は規模の縮小を余儀なくされるでしょう。タクシードライバーの一部は失業してしまいます。その為、国はこのライドシェアリングを“白タク行為”とし認めていないのです。

 タクシー業界はもちろんこれに賛成するでしょうし、政治家も官僚もそれによって利権を維持できます。ですから、簡単にはこの規制は崩せないのですが、これでは“生産性の向上”は起こりません。

 こんな事例が日本には他にも数多くあるのです。

 例えば、コロナ19の影響で有名になりましたが、オンライン診療やオンライン授業、一部解禁されましたが、オンラインでの医薬品の販売は未だに制限されています。情報技術関連以外では、農業なども自由に民間企業が参入できません。少し前にウニの養殖の可能性がニュースなどで話題になっていましたが、大規模化と自動化ができなければ採算性はなく、それらを可能にする為には規制改革が絶対に必要です。

 因みに、文部科学省がオンライン授業に反対している理由は、効率化すれば教師の数が減って予算が削られてしまうからだそうです。

 (参考文献:岩盤規制 誰が成長を阻むのか 原 英史 新潮社 182ページ辺りから)

 日本社会のことなんて何にも考えていませんね。

 岸田政権になってから、しきりに教員不足を訴えていますが、学習の効率化と質の向上を目指すのであれば、オンライン授業の活用とAIの導入を推進するべきです。オンライン授業は通常の授業とは違って、どんな授業を行ったのか、その結果も記録に残ります。それらを分析する事で授業の質の向上を実現できると言われており、実際に成果も出ています。このままでは日本はどんどん諸外国に取り残されていってしまうでしょう。

 生産性の向上だけでなく(オンライン授業やAIの導入は新産業の育成も引き起こせますが)、新産業の育成に関しても日本は極めて消極的です。

 近年はかなりマシになってきましたが、再生可能エネルギー産業の発展も妨害していました。少し検索すれば簡単にヒットしますが、太陽光発電では特にネガティブキャンペーンが多く、数多くの誇張やデマが流されていて、しかもそれを信じ込んでしまっている人がたくさんいます。

 結果的に、かつて日本は太陽光発電の分野で世界をリードしていたにもかかわらず、衰退してしまいました。

 (近年は持ち直していますが)

 太陽光発電を普及させればエネルギー自給率が上がるので、どう考えても日本社会にとって大きなメリットがあるのですがね。化石エネルギーを日本は20兆円前後の規模(今年度はこれを超える思われます)で輸入していますが、国内でエネルギーを生産するようにすれば、これが日本の(全てではありませんが)GDPになるのです。

 

 以上のように、経済成長にとって“規制”に弊害があるのは明らかです。

 何故かマスコミではあまり報道されていませんが、“日本の生産性が低い”というのは、国内で規制に守られている産業の話で、国際間の競争にさらされている産業では遜色のないレベルを維持できていると言います。

 これは考えてみれば当然ですよね? もし、国際的に競争している産業でも生産性がそんなに低いのならば、日本社会はとっくにもっと貧乏になっています。

 この点を鑑みても、規制改革・緩和が重要なのは間違いありません。

 

 アベノミクスでは、この当然の改革を実行しようとしたのです。これは評価するべきポイントでしょう。

 ですが、前述した通り、安倍政権は規制改革・緩和を鈍化させてしまいます。官僚達の邪魔があったと考えるのが自然でしょう。例の森加計問題もその過程で報道された疑惑で、だから“抵抗勢力による嫌がらせではないか?”と言っている人もいます。が、僕個人は何かしら悪事はやっているのではないかと判断しています。

 改革自体は必要なものであっただけに、批判をするのにはジレンマが伴いますが(規制改革・緩和が鈍化して喜んでいる既得権益団体は必ずあります)、森加計問題は安倍政権を評価する上で大きなマイナスポイントになると思います。

 とにかく、原因の詳細は不明ですが、安倍政権は規制改革・緩和を鈍化させてしまいました。妨害があっただろう点を考慮するのなら、これは安倍政権の責任とは言えないでしょうから、安倍政権にとってのマイナスポイントにするべきではないでしょう。

 ですが、問題はその後です。前述した通り、安倍政権は規制改革・緩和が鈍化した後も強硬に金融緩和政策を行い続けたのです。

 正直、この時期の安倍政権の政策の理由が僕には分かりませんでした。「金融政策の「誤解」 早川 英男 慶応義塾大学出版会」という本では(37ページ辺りから)、「医療で言うところのプラシーボ効果のようなものを狙ったのではないか」といったような指摘がされています。実際、日銀が保有する国債を減らしたがっているかのような言動不一致を見せた事もあるので、有り得るかもしれません。ただ、「日銀漂流 著者:西野 智彦」という本では、安倍元首相が金融緩和だけで経済問題を乗り越えられると信じていたかのような記述もあります(この本の内容を全て信頼して良いのかは正直分からないのですが)。

 いずれにせよ問題のある政策ですので、僕は安倍政権が暴走している可能性と安倍政権はそれほど経済改革の優先度を高く設定していない可能性を疑いました。

 安倍政権が何より優先させていたのは改憲であって、経済については実はそこまで高い関心があった訳ではなかったのではないかと疑ったのですね。だからこそ、規制改革・緩和を途中で鈍化させてしまった……

 

 ――そして、安倍政権の改憲の動きで注目すべきなのが“日本会議”という宗教団体の連合体との繋がりです。

 

 初めに断っておきます。

 正直、宗教団体について書く事に僕は恐怖を覚えていました。何をして来るか分からないからです。僕は「日本会議の存在と自民党との繋がりを、もっと世間に広く公表するべきだ」とかつて頻繁に訴えていたのですが、その当時、実際に宗教団体の関係者だろう人達から誹謗中傷を受けていたりもしました。

 それでも日本会議について書いていたのは、安倍政権の“改憲”の内容があまりにリスクが高かったからです。

 安倍政権の改憲には、緊急事態条項という憲法を実質無効化できる内容が含まれてあります。憲法が無効化されたなら、専制政治だって独裁政治だって可能になってしまいます。この説明だけで、どれだけの危険性があるか分かるでしょう。

 因みに、これはナチスドイツが使った手段と同じで、自民党の麻生太郎氏はかつて「ナチス政権の手口を真似る」といったような発言をしています。

 そして、日本会議はこの緊急事態条項を強く推していたのですね。

 これでは繋がりを想像しない訳にはいかないでしょう。ですから、恐怖を感じつつも僕は日本会議について書いていたのです。

 そして、その過程で今現在(2022年8月)話題になっている自民党と旧統一教会との繋がりも知りました。

 ただし、二回ほど取り上げて以降は触れていません。

 理由は簡単です。情報が不確定過ぎて、どう信頼して良いのかが分からなかったからです。

 旧統一教会と自民党との関係を示す証拠は色々と出てきました。繋がりがあるのはまず間違いないでしょう。

 が、色々と調べていくうちに、「繋がりを断とうとしても、あの手この手で近付いて来ようとする」というような内容のコメントを見つけてしまったのですね。

 これは政治家のコメントではなく、日本会議関係者のものでした。が、それでも僕はこんな想像をしてしまいました。

 「これは政治家達も同じなのじゃないか? 統一教会は、関係を断とうしても、あの手この手で近付いて来ようとする」

 この想像が当たっていたとしたら、どちらかといえば政治家達は被害者という事になってしまいます。この場合、旧統一教会を責める姿勢は正しくとも、政治家達に対してはどのように言うのが正解か分かりません。

 また、自民党政権を攻撃しようと嘘の情報を捏造する人も少なくありません(もちろん、反対に自民党政権支持者の中にも嘘の情報をばらまく人はたくさんいる訳ですが)。

 有名な話ですが、旧統一教会は韓国の宗教団体で、霊感商法や洗脳、脅迫まがいの献金要求などで、日本人の被害者を多数出しています。そして、自民党には韓国を敵視する傾向が強くあって、支持者の中にも嫌韓派が多くいます。

 なので、「積極的に自民党が旧統一教会に近付こうとするだろうか?」という疑念が僕の中に生まれました。

 何かの思想信条を掲げる人達に実は矛盾が多くあるのは知っています。例えば、多くの日本の保守派は伝統を大切にすると言っていますが、日本神道の最大の特徴とも言える自然崇拝はほとんど無視してしまっています。神社を大切にしたいのなら、自然保護活動を熱心に行うべきだし、究極の自然破壊とも言える原子力発電所には絶対に反対をしなくてはらないでしょう。ですが、彼らにそんな活動は観られません(一部、例外もいて、原発に反対している人達もいるそうですが)。

 こういった矛盾は日本以外にも観られます。例えば、一部の過激なイスラム原理主義者達は、西洋の思想は自然科学も含めて受け入れられないと主張していますが、その西洋の自然科学が生み出した強力な軍事兵器の数々は積極的に受け入れています。

 だから、自民党の政治家達だって、思想信条に反した行動を執る事もあるだろう点は何ら不思議はないのです。

 が、流石に“韓国が一番で、日本は資金調達担当”と主張する宗教団体と関係を持つとなると話が違って来るように思うのです。果たして、支持者達の反発を覚悟で自民党政権が積極的に“韓国が一番”と主張する宗教団体に近付こうとするでしょうか……?

 避けようとしても人間関係のしがらみから避けきれず、結果、関係を持ってしまっているだけなのかもしれない……

 

 そのような事を考え始めたら、疑心暗鬼になってしまいまして。それで「旧統一教会については、取り上げない方が無難」と判断して僕は触れないようにしたのです。

 今思えば調査不足でしたが、何分個人の調査能力ですので。

 

 安倍元首相の暗殺事件によって、旧統一教会と自民党(他の正当の政治家達も)との関りが色々と明るみになりました。中には僕の予想したように“避けようとしても避けられず”ってパターンもあったようですが、それだけでは説明のつかないような濃厚な繋がりのある人達もいるみたいです。

 この事実を受け、流石に嫌韓派の自民党政権支持者達は怒るだろうと思っていたのですが、想像していた程ではありませんでした。こういう事例を見ると、“思想信条”って何なのだろう? って思わず首を傾げたくなりますね。

 多くの人は、本当はそんなものは持っていなくて、ただ単に周囲にいる仲間達の言動に合わせたがるという人間の性質が働いているだけなのかもしれません。

 

 因みに、これは最近になって知ったのですが、旧統一教会は保守派で、アメリカの保守系団体とも繋がりがあるそうです。その関係で、自民党は旧統一教会に厳しく当たれないのだとか。

 本当なのですかね?

 ただ、これが本当なのだとすれば、日本の信者達の献金でアメリカの有力者達を買収し、その力で日本の旧統一教会を護っているという歪な構造が想像できてしまえます。

 そして、だとするのなら、法律上は既に解散命令が可能だと言われている旧統一教会が未だに生き残っている理由が説明できてしまえるのです。

 (ただ単に、政治家や官僚との結びつきによって優遇されている可能性ももちろんあるのですが)

 こういう主張をすると、「旧統一教会以外にも問題のある団体はある。何故、旧統一教会ばかり敵視するのだ?」という意見も出るかと思います。

 もちろん、旧統一教会以外にも怪しい団体はあって、(何故か)あまり話題にはなりませんが、日本会議に加わっている宗教団体のように政治活動に活発な団体もあるのですが(問題があるかどうかは分かりませんが、容疑を晴らす意味でも、政治活動を行っているのならその活動内容は詳らかにするべきです。取材拒否などしないで)、旧統一教会にはそれら団体とは異なった大きな問題点があるのです。

 “外国人献金問題”って聞いた事はありませんか?

 政治家は外国人から献金を受け取る事を法律的に禁止されているのですね。何故、禁止されているのかと言えば、政治家はその国の利益の為に活動するべき職業だからです。日本の政治家だったら、日本社会の為に活動する。ま、当たり前ですね。しかし、外国人から献金を受け取っていたら、外国の為に活動してしまうかもしれません。だから、外国人からの献金を禁止しているのです。

 ですが、この法律には穴があると以前から指摘されているのですよ。

 その一つが日本の“法人”を介して、間接的に外国が日本の政治に影響を与える方法です。例えば、民間企業の株を中国人が買い占めたなら、その民間企業を介して中国人にでも日本の政治に影響を与える事が可能になります。

 旧統一教会はこれの宗教法人のケースですね。献金は今のところは発覚していないみたいですが、労働力や選挙票を政治家達は得られているので、まぁ、ぶっちゃけほとんど差異はありません。法律上は問題ないってだけで社会的には十分に問題があります。

 つまり、旧統一教会は裁判で有罪判決が下っていて、現在も詐欺や脅迫容疑のある団体であるばかりでなく、日本の政治に外国からの影響を与え、日本の為ではなく、外国の為の行動を政治家に取らせかねない団体になるのです。

 いえ、“かねない”ではありませんね。旧統一教会は日本人から奪ったお金を、外国に持ち出していて、その宣伝に政治家が使われているのですから、既にそのような団体なのです。

 ちょっと無視できないと思いませんか?

 しかも、旧統一教会って北朝鮮とも結びついているらしいですからね……

 

 個人的には、宗教法人に対しての課税を検討するべきだと思っています。献金に対して課税するようにすれば、資金が減る事で勢力が弱まるでしょう。こういう事を主張すると「収入の少ない宗教団体はどうするんだ?」って反論が必ず出ますが、そんなもん累進課税にすれば良いだけの話です。

 前述した通り、問題のある宗教団体は旧統一教会だけではありません。オウム真理教のような宗教がいつまた出て来るか分からないのですから、“予防方法”は必ず必要でしょう。

 (因みに、旧統一教会は正体を隠して布教活動を行っている事が問題視されましたが、他にも正体を隠して布教活動を行っている団体は存在します。僕も一度勧誘された事があるのですが、モルモン教は無料の英会話教室で信者を集めているみたいです。一応、英語で“モルモン”って書かれてありましたが、知らない人は宗教団体だとは思わないでしょう)

 因みに、欧米並みに宗教法人に課税すれば数兆円規模の馬鹿にできない税収増になるそうです。

 旧統一教会みたいに、献金が国外に流れてしまうケースもあるのでしょうから、この意味は額面以上の価値が日本経済にとってあります。

 その意味でも絶対にやるべきだと思うのですが……

 

 まあ、小手先の対応だけやって誤魔化してお終いでしょうね。時間が経ったら、また元気に活動をし始めるような気がします、旧統一教会。

 

 安倍政権と旧統一教会との関りですが、ネット上で拾った情報なので、何処まで信頼できるかは分からないのですが、「2006年くらいまでは安倍元首相は統一教会とは関わらないようにしていた」という内容がありました。

 これが本当だとするのなら、やはり近年になって改憲勢力として旧統一教会を利用しようとしたという線が有力なのじゃないかと僕は考えています。

 繰り返しますが、これは信頼のおけない情報に基づく憶測に過ぎません。

 ただ、もしそうだとするのなら、安倍元首相自身の思想を予想する手掛かりの一つになるようにも思うのです。

 

 安倍元首相が日本会議という宗教団体の連合体と深い繋がりがあった件については既に説明しました。この日本会議はかなり特殊な思想を持っていて、アメリカの影響を受けて制定された現日本国憲法を否定しています。

 この点で改憲に拘った安倍元首相の思想との一致が見られるのですが、全てが一致するとも言い切れないのです。

 日本会議は専業主婦を重視していて、「日本の原風景」とまで言っています。が、安倍元首相はウーマノミクスを唱えるなど、女性の社会進出を後押しする政策も実行しようとしていました(そこまで強く拘っているようにも見えませんでしたが)。

 異なった思想を持っていると捉えられるような気がします。

 (因みに、専業主婦思想は、明治時代に欧米から入って来たもので、日本の思想でも伝統でもまったくありません。しかも、実現したのは戦後になってからです。日本の長い歴史においては、共働きが主流です)

 また、日本会議は長幼の序(子供は大人を敬い、大人は子供を慈しむことで秩序が生まれるという思想)をちょっと高齢者優遇に解釈している傾向もあると僕は考えているのですが(もし違っていたらごめんなさい)、安倍政権はいくつか高齢者優遇を緩和するような政策も取っているのです。

 まず、直ぐに思い付くのが18歳選挙権でしょう。安倍政権は選挙権年齢を引き下げ、18歳からでも選挙投票を可能にしました。言うまでもなく、これには高齢者優遇を引き起こすシルバー民主主義を緩和する効果があります。

 また年金についてもいくつか改善を行っています。年収1000万円以上の高齢者への年金支給額を引き下げましたし、マクロ経済スライドで年金支給額を引き下げる条件に現役世代の所得を組み入れました。この二つは現役世代の負担を軽くする効果があります。現役世代の負担を軽くするという意味では、共済年金と厚生年金の統合も高い価値があります。

 共済年金は公務員の年金制度で、優遇されている事が問題視されていました。安倍政権は統合する事でこの不公平を是正したのですね(ただし、まだ優遇は残っているそうです)。これにより、やはり(公務員以外の)現役世代の負担は軽減されたはずです。

 共済年金と厚生年金の統合は不可能とまで言っている人がかつていましたから、あまりに話題になってはいませんが、実はこれは意外に凄い実績なのかもしれません。

 このように高齢者優遇を緩和する政策の数々があるので、僕は安倍元首相は改憲に日本会議を利用しようとしていただけで、そこまで思想的に深く染まっていなかったのではないか? と考えました。

 であるならば、改憲の可能性さえ低くなれば、日本会議の存在はそれほどの問題にはならないはずです。

 実際、日本会議への世間の関心も改憲可能性の低下と共に低くなっていきましたしね。

 となれば、僕にとって宗教団体を取り上げるリスクの方が上になります(前述したように宗教団体関係者だろう人達から僕は嫌がらせを受けていました)。それで、エッセイで日本会議について触れなくなっていったのです。

 今回、また取り上げちゃいましたけどね(これでまた嫌がらせを受けたりして)。

 

 安倍政権は規制改革・緩和を途中で鈍化させてしまった訳ですが、菅政権はそれを復活させようとしました(少なくとも、僕はそう判断しました。ただし、菅政権にも自らの利益に関わる分野の規制改革・緩和は進めようとはしなかったという批判があるのですが)。

 菅政権のこの動きがなければ、僕の安倍政権への評価はもっと低かったと思います。日本社会を本気で良くしようという意思があるのかすら疑わしいですから。

 しかし、その菅政権は一年間で潰されてしまいます。そして、岸田政権に移行してからは、規制改革・緩和の声も聞こえなくなってしまいました。

 現岸田政権は、官僚の言う通りの政策を行っているだけのように僕には見えます。

 前述した“教師の増加”は、文部科学省が以前より望んでいた事ですし(予算のアップの為です)、原子力発電所の復活は経産省の要求、国民への金融ビジネスへの誘導は財務省でしょう。

 断っておきますが、生産性が低い状態でこれら政策を実行しようとすれば自ずから限界を迎えます。生産人口の減少に伴って労働力が不足してしまうからですね。例えば、原子力発電所の建設ですが、どれだけ予算を付けても労働力を確保できなければ実現は不可能です。海外から調達すれば、国外に資金が流れてしまいますし。

 更に、国民に金融ビジネスを促しているようですが、これも資金が国外に流れてしまう懸念があります(近年の日本は投資先がないと、投資家達はどんどん国外に資金を移動させているのです)。すると円安が進みますし、国内で資金を調達しづらくもなります。

 恐らくは既得権益を守る為にこのような方法を執ろうとしているのでしょうが、規制改革・緩和を行って、労働力を確保し、日本に投資先を作らなければ経済成長は起こりません。

 逆に規制改革・緩和さえ行えば、まだまだ日本には経済成長を起こせる力があります。

 例えば、このエッセイで紹介した“ライドシェアリング”を普及させれば、タクシードライバーの人口を減らせます。タクシードライバーの人口は22万人もいますから、仮に半分に減らせたとするのなら、約11万人も労働力が生まれます。

 オンライン授業やAIの導入を行えば、教師の人数を節約できます。教師の人口は109万人。大雑把に4分の1減らせるとするのなら、約25万人も労働力が確保できます。

 もちろん、こういったケースは他にも数多くあるでしょう。

 そうして確保した労働力を、再生可能エネルギーや農業、児童虐待防止、福祉などに振り分けられれば、それで経済成長を起こせるのです。何度も述べますが、経済成長さえ起こせれば、日本が抱える財政問題も解消に向かいます。

 また、生活保護受給者達に労働を義務付ける試みも行ってみる価値はあると思います。近年、リサイクル技術が向上しています。どれだけの可能性があるのかはまだまだ未知数ですが、プラスチックの油化技術や、レアメタルの抽出技術などが進歩しているのですね。

 ですが、その作業にはどうしたって資源ゴミの振り分けが必要になるはずです。その仕事を生活保護受給者達に行ってもらうというのはどうでしょう?

 国内で資源を調達できるようになれば、サプライチェーンが安定しますし、当然、その分経済も成長します。

 生活保護受給者の多くは、無年金の高齢者です。つまり、年金保険料を納めてこなかった高齢者です。ですが、彼らは一部の年金受給者達よりも生活水準が高いのです。これは随分と昔から批判されてきました。この不公平を是正する意味でも、生活保護受給者達の労働義務化には価値があるように思います。

 また、生活保護制度には、生活保護受給者の子供が生活保護受給者になってしまうという“連鎖”の問題があります。

 生活保護は世帯単位で支給されるので、子供が働き始めると、生活保護を受けられなくなってしまうのですね。その為、生活保護受給者の子供も生活保護を受け続ける事になってしまうという問題があるのですが、労働を義務にしておけばこれも改善します。

 “生活保護で働かずに生活していました”というのと、“生活保護を受けていましたが、労働が義務付けられていたので働いていました。スキルも身に付けています”というのとでは、自ずから印象も事情もまったく違ってきます。間違いなく就職し易くなるでしょう。

 

 安倍政権が年金の支給額を減らしたと説明しましたが、それでも超高齢化社会に陥った日本はまったく安泰とは言えません。

 年金受給者の人口はなんと4040万人。予算規模は一年間で55兆円。生産性を上げずに、どうやってこれを維持していくと言うのでしょう?

 前述しましたが、国債買い取りによって膨らんだ莫大な日銀当座預金は、日本の弱点になっています。過去に何度かヘッジファンドが攻撃をしていて、全て失敗に終わっていますが、もしもっと多くの投資家達がこれに追随していたならどうなっていたかは分かりません。

 なるべく早く問題を改善に向かわせる必要があります。

 (ただし、日本には莫大な年金資金があるので、例えば、年金の支給額の最大を15万円にして、余った資金をこれらの解決に当てれば最悪の事態は回避できるのではないかと思われます。

 ま、これをやったらその時の政権は間違いなく倒れるでしょうがね)

 

 安倍政権が行おうとした政策の中で、規制改革・緩和については間違いなく正しい政策でした(もちろん、活用すべき分野の選定は必要かもしれませんが)。

 岸田政権は、どうかその点についてよく理解して欲しいと思います。

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[良い点] なろうの政治系エッセイの中で一番広く、公平で客観的に分析されていて激しく同意しました。私も安倍さんは国防>経済という価値観だった気がします。ただ日本の総理は驚くほど権限が弱く、リベラル思想…
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