白鳥さんは想像以上のポンコツだった③
「……なぁ、白鳥さん。俺は君がどうしてそこまで俺に仕えるのに固執しているかがわからない。というか、君がどういう人なのか、全く把握しきれていない。だから、君のことをもっと教えてくれないだろうか」
「そ、そんな、私のことなんか……」
「白鳥さんのことが知りたいんだ」
「う、うぅ……」
俺が強く言えば白鳥さんは拒否できない。
少しズルいが、主という立場を最大限利用させてもらう。
「わ、わかりました。それでは――」
「その前に、大事なことを言い忘れていた。……着替えてくれ」
◇
着替え終えた白鳥さんは、よっこいしょと座ってから、ポツリポツリと自分のことを語り始めた。
「白鳥家は、代々続く忍者の一族です。その歴史は戦国時代からと古く、裏社会ではそれなりに有名だったりします」
戦国時代というと、大体500年くらい前か?
かなり歴史のある一族なようだ。
そして裏社会ときた。これは厨二心を擽られる。
「以前も少し説明しましたが、私はその末裔にあたります。ただ、私の他にも同世代の子は沢山いるので、後継者だとか重要な立場にあるワケではありません。白鳥家にとっては、私はどうでもいい存在なんです」
白鳥さんの話によると、彼女には腹違いの兄弟、姉妹が複数人いるらしい。
かなり時代錯誤だが、血を絶やさないために必要なことなのだそうだ。
生まれてきた子どもたちは皆、忍者として育てられるようだが、残念ながら白鳥さんには忍者の才能がなかった。
身体能力は優れていたものの、女を武器にすること、潜入や追跡といった隠密の仕事が異常なほど苦手だったそうだ。
「私、緊張したり、集中すると、お腹がゴロゴロしてくるんです……」
その結果、オナラが出てしまうと。
それでは確かに隠密の仕事はできないだろう。
「女を武器にするのも、私、すぐ赤くなっちゃうし、その、凄く敏感でして……」
「敏感?」
「えっと、触られたりすると、すぐヘニョヘニョになっちゃうんです」
なんだそれ、少し見てみたいぞ。
「白鳥さん、肩が凝っているだろう。マッサージしてあげよう」
「あ、主様!? 私の話聞いてました!?」
「聞いていた。だからこそだ」
「そ、そんな……」
流石の白鳥さんも非難するような表情を浮かべたが、俺が手をワキワキさせると観念して背中を向けた。
すまんな。最低だとは思うが、俺も男なんだ。
ヘニョヘニョした白鳥さんはどうしても見てみたい。
「では、失礼する」
では、まずは優しく――
「ひぃぃん!?」