白鳥さんは想像以上のポンコツだった⑭
婚活において評価の高いポイントは、年収、容姿、年齢、家事ができるかどうかだ。
年収や容姿は努力じゃどうにもならないことも多いが、家事はやろうと思えば誰でもできるので評価を稼ぎやすいのである。
特に料理に関してはアピールしやすいポイントであるため、腕を磨いておくにこしたことはない。
「実は私も料理するんですよ!」
「知っている」
「なんでですか!?」
「そんなの、台所を見れば一目瞭然だ」
より正確に言えば、冷蔵庫の中を見ればすぐにわかることである。
白鳥さんの冷蔵庫の中には、色々な食材が準備されていた。
だからこそ、俺もまともな料理が提供できたのである。
これが自炊しない者の冷蔵庫ともなると、大抵の場合酒などの飲み物しか入っていない。
「部屋もきちんと掃除されているし、洗濯ものもキレイに畳まれていた。白鳥さんは家事も得意なんだな」
「えっと、はい、そんなことばかり得意で、忍者としては本当にダメで……」
白鳥さんはシュンとしているが、俺から見れば忍者スキルよりも家事スキルの方が余程ポイントが高い。
実は白鳥さん、忍者としてはポンコツだが恋人としてであれば完璧女子なんじゃないだろうか。
「そんなことはない。白鳥さんは素晴らしい女性だ。きっと数多の男が理想とする最高の恋人になるだろう」
「ななな、何を言ってるんですか主様!? そんなワケ、あるハズが……」
「ある。断言する」
「~~~!」
真っ赤になって照れている。悔しいが可愛い。
そのまま暫く眺めていると、やがて落ち着いたのか上目使いでコチラを見てくる。
「それは、その、主様から見ても、ですか?」
「もちろんだ」
容姿端麗、スタイル抜群、気性は穏やかで優しく、そのうえ尽くすタイプ(忍者として)だ。
もちろん好みは人によりけりだが、一般的な理想像としては完璧に近い。
オプションとしてオナラっ娘が付くが、これは俺のような変態紳士であればむしろ評価をさらに上げるポイントだ。
「正直に言おう。俺は白鳥さんのことを女性として好いている。できることなら、俺も白鳥さんの恋人になりたい」
「~~! お、俺もって、私は別に――」
『「俺と恋人になりたいか
なりたいでしゅ~、ずっと一緒にいたいでしゅ~」』
「な、な、なぁ!?」
「悪いが言質は取っている。言い逃れはできない」
誤魔化そうとする白鳥さんに、証拠動画を見せつける。
効果は抜群だ。
「で、でも、主様は今でも詩緒ちゃんのことが好きって……」
問題はそれだ。