白鳥さんは想像以上のポンコツだった⑬
そういば、一つ気になることがあった。
「白鳥さんは処女か?」
「処女でしゅ~」
そうか、貞操は守られていたか……
俺は別に処女厨ではないが、彼女は忍者の里の出だし、そういう訓練をしている可能性もあった。
さらに言うと、上京してから男関係でトラブルがあったと聞いているので、そういった悲劇がおきていた可能性もある。
プライバシーの侵害にもあたる最低の質問であったが、今後迂闊にその手の話題や行為をしないためにも聞いておきたかった。
とりあえず、罪滅ぼしもかねて、他に何かして欲しいことがないか聞いてみよう。
「他に何かして欲しいことはないか?」
「おっぱいを揉んで欲しいでしゅ~」
「それもダメだ」
「むぅ~」
ほっぺたを膨らましたので、指でつついて潰しておいた。
癖になる感触なのでまたやってみたい。
「他には?」
「抱いて欲しいでしゅ」
「それもダ……いや、いいのか」
そういう意味の抱くではなく、ハグという意味ならOKかもしれない。
日本では一般的ではないが、そういう文化があるのは確かだ。
とりあえず寝ている白鳥さんを起こし、優しく抱きしめてみる。
柔らかいモノが押し当てられているので、これはこれでイケないことをしている感が凄い。
「えへへ~、幸せで……ハッ!?」
「む? 目が覚めたか?」
「あ、主様!? 何をやってるんですか!?」
「いや、抱いてくれと言われたから、流石にそういうことはできないので、とりあえず抱きしめてみた」
「な、な、な、なー!?」
白鳥さんは混乱している。
とりあえず落ち着かせようと、背中をポンポン叩く。
「どーどー」
「私、馬じゃありません!」
しかし、一応正気には戻ったようだ。
名残惜しいがハグを解除する。
「さて、どのくらい憶えている?」
「覚えてって……っ!? も、もしかして、さっきまでの夢って……現実だったんですか!?」
「どんな夢を見ていたかは知らないが、俺と会話していたことは間違いない」
「そ、そんな……」
白鳥さんの目が再びグルグルする。
再び気絶されても困るので、とりあえず話題を変えることにした。
「晩飯を作ったんだ。一緒に食べよう」
◇
「冷蔵庫の食材を勝手に使わせてもらったが、口に合っただろうか?」
「あ、はい。凄く美味しかったです。主様、料理できたんですね」
「まあな」
一人暮らしの男子が自炊するといのは珍しいだろうが、俺はこんなこともあろうと料理の腕を磨いていた。
男はまず胃袋を掴めというが、昨今は女性も一緒なのだ。