白鳥さんは想像以上のポンコツだった①
この作品はシリーズモノになりますので、もし宜しければ全ての発端からお読みください。
あらすじを読めば、とりあえずこの作品から読み始めても大丈夫です。
>登場人物
白鳥(静香)さん:純朴そうで大人しい女性。ロングの髪を後ろで束ねている。気配を消せる。忍者の末裔。ポンコツ。
柴咲(詩緒)さん:背は低く可愛らしい顔つき。大人ぶっている。髪型はミディアム。できる女。臭いフェチ。共感覚能力者。元彼女。
俺:屁こき太郎。ゲップも出せる。やや厨二病。気遣いはできるがデリカシーはない。鈍感系。主様(仮)。
「あの、主様」
休憩時間中、白鳥さんが合流してくる。
しかし、いつも一緒にいる柴咲さんの姿はない。
「詩緒……、柴咲さんと何かありましたか?」
「ああ。柴咲さんとは別れた」
「っ!? なんでですか!?」
「色々事情があってな」
理由が白鳥さんだとは言えないので濁すことにする。
「事情って……、喧嘩とか、仲違いをしたワケではないんですか?」
「それはない。柴咲さんのことは今でも好きだ」
「なら、なんで……」
白鳥さんは納得いかないといった様子で俯いている。
改めて自分の選んだ道に罪悪感を覚えたが、今更もう後戻りはできない。
「大人には色々事情があるんだ」
「大人の事情……? え? そ、それって、まさか……」
白鳥さんはナニを想像したのか、目をグルグルさせながらブツブツと呟き始める。
想像力豊かなのは良いことだが、恐らく誤解だ。
が、説明することはできないのでそのままにしておくことにした。
「ご想像にお任せする」
「は、はひ……」
顔を真っ赤にしてフラフラしているその姿を見ると、彼女が如何に忍者としてポンコツなのかが容易に理解できる。
これでは忍びようがない。
「……それじゃ、俺はこれで」
このまま色々追及されても困るので、白鳥さんのことは放置して自席に戻ろうとする。
その腕を、ガシッと異様な力で掴まれた。
「ま、待ってください!」
「なんでしょうか」
迫力に気圧されて思わず敬語になってしまう。
女性に対し失礼な話だが、ゴリラを幻視したのだ。
「こ、今夜! ウチに来ませんか!?」
◇
まさか、連日女性の家に誘われるとは思いもしなかった。
しかも、彼女と別れた翌日にである。
節操のない男と思われても仕方ないと言えるだろう。
「あ、適当に座っててください」
「ああ……」
返事をしながら、改めて部屋を見渡す。
何というか、すごくファンシーな部屋であった。
とても忍者の部屋とは思えない。
アニメや漫画のグッズもある。
ちょっとオタク寄りの女子の部屋、といった雰囲気が随所から感じ取れた。
「主様? 何か気になるものでもありましたか?」
キョロキョロと部屋を見回していると、着替え終わったのか白鳥さんが戻ってきた。
「いや、すまない。あまりにも女子らしい部屋……っ!?」
振り返り、白鳥さんの姿を視界にとらえた瞬間、我が目を疑った。
白鳥さんは、裸エプロンだった。
「白鳥さん、なんのつもりだ!」
「これも、忍びの務めです」
一体どういうことなんだってばよ!
「私が、主様の性を満たします!」