88話 子系子、愛してる
―――PARTY CHAT―――
子系子:アルヒド王国軍は準備が整い次第、パプリコ村まで向かうとのことです
子系子:おそらく朝方の到着になるでしょう
安倍晴明:子系子、愛してる
子系子:きゅ、きゅうになんでしゅか!?
子系子:みゃじめなはなしをしてるんでしゅ!
安倍晴明:悪い悪い
安倍晴明:溢れる日頃の感謝を使えようと思って
子系子:ちょ、ちょちょっ、
子系子:そ、その、つ、つつ、続きは、個人チャットで……
安倍晴明:まあ、そんなことよりも
安倍晴明:はじまりの山にいまのところ動きはない
安倍晴明:王国軍の到着が間に合ってくれればいいんだけどな
子系子:……そーですねー
安倍晴明:どうした子系子?
子系子:何でもないです!
子系子:スケコマシ! 安倍ロリコン晴明さま!
安倍晴明:ロリコンじゃねぇよ!
安倍晴明:人の名前を勝手に変えるな!
子系子:まあ、そんなことよりも
子系子:王国軍は少し遅れそうですが、プレイヤー向けにクエストを発注しました
安倍晴明:コイツ、パクりやがって!
安倍晴明:パクコッコ!
子系子:何も上手くないですからね
子系子:あの、話が進まないので
安倍晴明:はい、すみません
子系子:まったく
子系子:それでは話を続けます
子系子:『チーム葵の紋』から防衛戦のクエストを発注しました
子系子:今は集まったプレイヤーで先遣隊を編成し、パプリコ村に向かっているところです
子系子:おそらく早朝には到着するでしょう
安倍晴明:それは助かるが……
安倍晴明:相手は魔王軍の将軍とビーストキメラ、それにはじまりの山とはじまりの平原のモンスター軍団だ
安倍晴明:プレイヤーがいても無駄死にするだけじゃないか?
子系子:安心してください
子系子:私に考えがあります
安倍晴明:子系子がそう言うなら信用するが……
子系子:ありがとうございます
安倍晴明:そういえば、家康が静かだな
安倍晴明:ついに衛兵に捕まってブタ箱にブチこまれたか?
子系子:いえ
子系子:「戦いに備えてオレは寝るぞ!」と言って
子系子:いまは馬車の屋根で爆睡しています
安倍晴明:さすがは家康だな……
子系子:家康さまですから……
子系子:私達も先遣隊と一緒にパプリコ村に向かっていますので
子系子:もう少しだけお待ちください
安倍晴明:わかった
安倍晴明:子系子、愛してる
子系子:だ、だかりゃ、にゃにをいうれふ!?
子系子:あにょ!? 安倍生命しゃま!?
子系子:こ、このまま放置れすかぁぁぁ!?
子系子:バカアホスケコマシロリコン変態陰陽師ぃぃぃ!
――――――
王国軍は朝方で、子系子が率いるプレイヤーの先遣隊は早朝に到着予定か。
ちょうど空も白み始めており、もう1,2時間もすれば太陽も顔を出すだろう。
「そこまで耐えられればいいけど……」
オオジンは『明日の作戦』としか言っていなかったから時間は分からないものの、俺達との接触によって作戦決行を早める可能性は高い。あのアホ般若にそこまでの知性があるかは謎だが、普通なら「助けを呼ばれる前にやっちまえ」と思うはずだ。
なにより、さっきから肌がピリつくようなプレッシャーを山の方から感じている。これは『はじまりの山』の調査で味わったものと同じで、きっとオオジンのものだろう。
「……ミカエル嬢」
「感じる、デス」
しばらく耳を澄ませていると、山の方から地鳴りのような爆音が聞こえてくる。はじまりの山を見てみると、土砂崩れの如く流れ落ちた大きなシルエットが、麓にあるはじまりの平原で広がっていくのが見えた。
その規模たるや、目視で計れるものでは到底なく、まるで大きな丘が一つ誕生したようであった。
少し暗くて細部までは見えないが、どう考えても魔獣将軍オオジンが率いる魔物の軍団だろう。
しばらく地面を揺らす大移動をしていた魔物の軍団は、山の麓に陣形を組むように規則正しく並ぶと、先程までの騒ぎが嘘だったようにピタリと止まった。
はじまりの平原を、静寂が支配する。
「もうちょっとで夜も明けて、猫の時間も終わりだってのに。潔くおねんねしとけっての」
「クリパスキュラー、デス。猫は」
「クリパスキュラー?」
俺がボソリと呟いた愚痴に、よく分からない捕捉をするミカエル嬢。
なぜか両手を頭の上につけて猫ポーズをしている。なんだろう、このかわいい生き物は。
「生物で、夕方や明け方に活動することデス」
「えっ、猫って夜行性じゃないの?」
「あー、猫はノクターナル違うデス。ちゃんと夜は寝る、デス」
なんてこった。俺はいままで猫が夜行性だと思い込んで生きていたぞ。
ミカエル嬢に100へぇをあげたい。
「よくそんなことを知ってるな」
「猫、すきデス」
ふにゃりと笑って猫ポーズのままクネクネするミカエル嬢。なんだろう、このかわいい生き物は。
「猫の種類は何が好きなんだ?」
「アメリカン・ショートヘアー、すきデス」
さすがはアメリカ生まれだ。かわいいよな、アメショー。
「スコティッシュフォールドは?」
「すきデス」
「あの変態猫仮面は?」
「キモイ、デス」
「ちょぉぉぉぉっと、まぁぁぁぁぁぁったニャァァァァァァァァ!」
俺達が猫談義に花を咲かせていると、遥か上空から謎の大声が降ってきた。
いったいなんなんだ。これから俺とミカエル嬢は、猫の種類で山手線ゲームをやろうとしていたところだぞ。忙しいから後にして欲しい。
声に釣られて空を見上げると――。
「誰がキモイ変態猫仮面ニャァァァァァ!」
大きな異形の怪物……ポチに跨った魔獣将軍オオジンが、頭に手をつけた猫ポーズでミカエル嬢に対抗しつつ、腰をフリフリしながら俺達を見下ろしていた。
何しに来たんだコイツ。
久しぶりに日間ランキングに戻ってこれました!
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今年も頑張って連載していくぞー!!
2021/01/07 仕事で瀕死なので更新は来週になりそうです。




