表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/98

59話 パイオーツ・レコンキスタ


 乱入者のヤクザキックは見た目以上の威力を内包していたらしく、攻撃によってステルスモードが切れたキングワオルフが、地面をゴロゴロと転がっていくのがエイミーにも見えた。


 当たり所も良かったらしく、キングワオルフは受け身も取れずに転がり続け、柵へとぶつかってようやく止まる。しばらく見ていても、起き上がってくる様子もない。


「あっぶねぇ! 間に合った――!」


「こけー……」


 野球の審判のように、全身で「セーフ!」と表現している乱入者。その足元には、ボロボロになって白目で譫言(うわごと)を呟く幼女。


「は、は……っ」


 口をパクパクさせているエイミーに、ようやく乱入者は気づいたようだ。エイミーの方へと向き直り、汗をグッと拭って、笑顔でサムズアップ。


「お待たせ、エイミーさん」


「――晴明さぁん!」


 乱入してきたのは、レベル17の凄腕冒険者にして、エイミーのちょっと気になっている男の子。安倍晴明その人だったのだ。


 感極まってしまい、思わず晴明に抱きつくエイミー。意外と(たくま)しいその胸に顔を(うず)めると、それだけでエイミーの恐怖心が溶けて消えていくのを感じた。


 代わりに広がっていくのは、安心感と幸福感。


「あ、あ、あにょ!? ウェイミーソン!?」


「こわかったぁ……こわかったよぉ……」


 緊張の色が切れてしまって、晴明の胸で子供のように泣きじゃくるエイミー。晴明はそれをあやそうとしつつも、どうしていいか分からず、目の前に壁があるパントマイムのような変な動きをするのみだ。


 そんな晴明の不器用さに思わず笑みが零れる。いまだったら合法的に身体に触れるのに。いつもはヘンタイなクセに、こういうところだけ初心な晴明。もしかして、私のこと意識してるのかしら? そんなことを考えると、エイミーはたまらなく幸せな気持ちになるのだ。


(これって、やっぱり……)


 そして晴明の胸の中で、エイミーは気づいてしまった。


 自分が晴明に対して抱いている……恋心に。 


(ごめんなさい、モミジちゃん)


 自分が好きになった男の子のことを、ずっと前から好きなかわいい女の子。モミジが晴明に対して、並々ならぬ思いを抱いていることは、当然エイミーだって気が付いている。


 人が大切にしている宝物を、後から盗もうとしている。エイミーは人生で初めて、例えようのない罪悪感のようなものを覚えた。


(だけど……私だって……)


 ずっと異性が苦手だったエイミーにとって、これは初めての恋だ。


(簡単には、諦められません!)


 そうだと気づいた時には、罪悪感で諦められるほど小さな思いではなくなってしまっていた。こうなってしまえばとことん攻めるしかないのだ。


「晴明さん! 助けてくれて、本当にありがとぉ!」


 まずは手始めに、この自慢の(・・・)おっぱいで晴明を夢中にさせるのだ。


 勢いよく抱きついて、胸を思い切り晴明に押し当てるエイミー。晴明は壁のパントマイムから、ロボットダンスへと動きが変わっている。因果関係は不明だが、明らかに動揺レベルはアップしていると見ていいだろう。


「エイミー=サン。アノ、ソロソロ、ダイジョウブ?」


 ロボットダンスをしながら、無機質な喋り方をする晴明。ただし、視線はずっとエイミーのおっぱいに固定されている。エイミーは思った、「これはあと一歩でオチる」と。


 ここで出すのは――――。


「ええ、もう大丈夫です。それにしても、きょ、今日は暑いですね~」


 そう言いながら、胸元のボタンをゆっくりと外す。これはエイミーが身につけた、唯一にして最強の必殺技……『圧性から(パイオーツ)()解放(レコンキスタ)』だ。


 この必殺技をマトモに食らった晴明は……。


「アバ……アババ……」


「あば?」


「アバンチュ―――――――ルッ!」


 あまりの刺激の強さに、白目を向いて倒れてしまった。そして鼻から流れ出る大量のスケベの証明(鼻血)。完全にKOだ。


「や、やりすぎたかしら……」


 冷静になってみると、安心したからって大胆になりすぎた気がしてくる。ふと恥ずかしくなり、いそいそとボタンを直すエイミー。しかし、それも時すでに遅し。


「ハッハッハッ! 大胆だな、エイミー!」


「あ……!?」


 家康の言葉に、自分がいまどこにいるのかを思い出した。いまエイミーがいるのは、まさに防御陣地のど真ん中だ。


 直前まで激しいバトルが行われていたこともあり、防御陣地中の注目を集めていた場所。プレイヤーや商人達が注目する中で、自分は……。


「ア、ア、アバンチュ―――――――ルッ!」


 晴明と同じ叫びをあげて、気絶するエイミー。偶然か計算か、エイミーの胸が晴明の下半身に被さるように倒れこんでいる。晴明からの出血量が数百倍に増加した。


「ハッハッハッ! お似合いではないか!」


 家康の能天気な笑い声を聞いて、防御陣地の面々は肩をすくめるのだった。



昨日のジャンル別日間で6位になりました! また順位を更新!!

今日も8位で10位以内に入ってます(´;ω;`)

応援してくださって本当にありがとうございます(;人;)


小説を書くモチベーションになるので、ぜひぜひ[ブックマークに追加]と、↓↓にある★★★★★から評価をよろしくお願いしますm(__)m


エイミーさん視点はこれで終わり、

次回から晴明視点に戻ります!


明日更新予定です(`・ω・´)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ