1話 告白されるのは嬉しみが深い
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「......で。なんの様?」
ある日授業後。俺は謎のラブレターらしき手紙に呼び出され校舎の屋上にいる。
5分程待ってようやく現れる1人の女性。時々見る眼鏡を掛けた隣のクラスの女子だ。
「あ......来てもらってありがとうございます......ふぅ。好きです。付き合ってください」
うん...?やっぱり告白されたのか?
「き、聞こえませんでしたか?私声が小さいので...」
「いや聞こえてるから大丈夫。告白してくれたのは嬉しいけど俺君のこと知らないから...」
ほんとにこの女子の事は知らない。元々地味な子が居るのは知っている。というかこの女子は有名な方だろう。アニメの様な地味な三つ編み眼鏡。身体の凹凸も殆どない。そんな感じの子だ。
「......そうですよね。いきなり呼び出してしまってすいません」
そんな事を言われるが俺は別に告白されたのが嫌だった訳じゃない。そもそも俺自体イケメンって訳でも性格がいい訳でもない。
知らないだけなのだ。この女子の事を。
「今は知らないからその告白には答えられない。もっと親しくなってから」
「じゃ、じゃあ。友達から...って事ですか?」
「まぁ、そうなるね」
ちなみに俺が告白されるのは初めてで結構嬉しい。というか彼女もいた事がない。中学生の頃は自然と彼女が出来るもんだと思ってたけど、自分から行動しないと全く変わらない。
「やった......では連絡先を教えてもらっていいですか!?お友達の第一歩として!」
「それくらいならいいよ。Rainでいい?」
「はいっ!」
ポケットからスマホを取り出してRainを押す。顔を上げてみれば女子も同じ様にスマホを手にて満面の笑みでスマホを操作している。
「そういえば名前ってなに?」
そこから聞くのを忘れていた。
「あ、自己紹介がまだでしたね。2年2組の櫻井萌音です」
「俺は坂井祐介だ。よろしくな」
そう言いながらRainの友達欄に櫻井さんの名前が刻み込まれていた。
(初めて母さんと姉さん以外の女の子の連絡先...)
「では。ありがとうございました」
お辞儀をして屋上の扉から出て行く櫻井さんを横目に俺は屋上の柵に腕を置き遠くで輝いている夕陽を眺める。
この時の俺はあんな事にあるなんて思ってもいなかった。
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「たでーま」
自転車を転がしながら走る事15分。家に帰って取り敢えずただいまを言っておく。
「おかえり」
内では帰ったら絶対にただいまを言う。そしてそのただいまが聞こえた人は必ずおかえりと言う謎の規則の様なものがある。
「じゃあ上行ってるわ」
「7時にはご飯だから降りてくるのよ」
「あいよー」
自分の部屋に入って設置してあるベッドに身を投げ出す。しばらく思考を停止させたが次第に先ほどの事が思い浮かび
「ふぁああ!!!」
手足をバタバタさせて嬉しみを全身で表現する。
「煩いよ!」
おっと。隣の部屋にいる姉さんが怒っている。
いやでもマジで嬉しい。嬉しみが深い!
でも全く知らない人と付き合うのはちょっと怖かった。だから友達からにした訳だ。
ピロンッ!!
「Rainか?」
Rainの通知音がスマホから鳴る。普段は両親や数少ない友達からしか連絡の来ないスマホだが、多分......
Rainを見てみると案の定モネから1件きている。
というか早速送ってきたのか。
〔今日はありがとうございました〕
それだけRainに送られている。
「一応振ったってことに変わりないんだけどなぁ」
そこに罪悪感を感じつつ櫻井さんにメールを送り返す。が、なかなか厳しい。普段全くRainとかしないからどう返せばいいかわからん。友達とだって「明日○○行こうぜ!」「おっけー。行く行く」くらいしかRainで話さない。
「まぁこんな感じでいいか...」
〔告白してくれてありがとね〕
※Rainはこの物語の中の通話アプリ。LINEの様なもの。
私は結局学生の時は彼女が出来なかったんですよね。まぁ高校は男子校だったんで無理でしたけど。
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