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プロローグ
オレンジという言葉を聞いた時、最初に何を連想するだろうか。
普通なら果物じゃないかな。あの酸味が強い、スプーンですくいとったり三日月型に切ったりして食べるやつ。まさにオレンジだ。
または夕焼け空かもしれない。キャンバスの上に置かれた絵の具でもいいが要するにオレンジ色だ。日本語で言えば橙色。
まあせいぜいこの二つだろう。そんなに広い意味を持つ言葉じゃない。
だが俺にとってオレンジといえば喫茶店だ。公園の中にある並木道の途中に佇む小さな喫茶店、それが真っ先に浮かぶオレンジだ。
そしてある冬、俺達は新たなオレンジの意味を見つけ出した。