表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/116

第64話 アーティファクトの劣化問題。

「叔父様、いえ陛下、ここまでのお話の中で、アタールさんについて私は信頼しても良い方だと感じています。そして彼にでしかできないことをお願いしたいという思いは、先ほどと同じです。どうでしょうか。陛下さえよろしければ、私はアタールさんに現状を語ったうえでお願いしようと思いますが。」


 なにやらかなり重要な話のようだ。襟を正してお聞きする姿勢をとる。アート様は腕を組んで真剣な顔で頷いている。エレナはポカンと口を開けているね。


「余もそれで良い。しかしアタール君、この話を聞いてしまった場合、もう後には引けんぞ。いや、結果がどうのというわけではない。同じ秘密を共有することになるということだ。この国王である余、そして公爵であるサシャ、辺境伯であるアートと同じ秘密をな。これからサシャから聞く話は、たとえどんなに親しかろうが、肉親であろうが口外無用だ。それでも聞いてくれるか?」


 うわぁ、これかなりハードル上げられてる・・・。けど、食事前も皆さん真摯に僕の話を聞いてくれて、僕のためにいろいろ考えてくれてたのだから、ここは報いるべきだろうな。アート様は知らんけど。


「わかりました。心して聞かせていただきます。エレナさんはどうしますか?」


 いきなり声を掛けたものだから、エレナはビクッと体を個話ならせたけど、僕に向き直るなり、キリっとした表情になりコクンと頷き、国王様に向き直ると、


「わたしはアタールさんに尽くすと決めております。わたしが聞いてよいのならば、一緒にお聞きしたいです。そしてアタールさんとともに、秘密を守ります。」


 と言ってくれた。だよね。ここまで来てひとりだけ仲間はずれも嫌だろうし、もう今は僕もエレナを信頼しているから、あとは国王様の判断を待つ。うん、国王様とサシャさんが頷き合っている。


「アートもそれで良いか?」


「はい。」


 どうやらエレナの希望は叶ったようだ。早速サシャさんが説明を始めた。


「ありがとう、おふたりとも。それじゃまず、現状から説明するわ。今までの話で、魔物の山と結界について、そして結界守の村の役割については分かってもらえたと思うの。問題は、500年という時の流れなの。」


 これは予想が付く。リペアはかけることで元の状態に戻るし魔法維持は必要ないけど、そこから再び劣化が始まるだろうし。セーブはおそらく魔力供給が切れると、セーブされた状態が解除されて、劣化が始まる。古の時代から発掘される間に、たとえセーブがかかっていても魔力供給が切れた状態が続いていたから、既にかなりの劣化が進んでいたのだろう。


 でももしも大昔に銀色の魔法石が存在していたとしたら、僕の魔力をチャージした魔石も研究や物語と違って、やはり何百年単位かで魔力は切れ劣化するのかもしれない・・・。


 あ、サシャさんにジト目されないうちに話の続き聞かなきゃ・・・。


「結界のための魔力チャージの魔法石が劣化していて、もうほとんど使い物にならなくなってきているの。使い物にならないというのは、壊れたということ。今使えるアーティファクトの魔法石はもうあと数個、ごく僅か・・・。その数個が今日明日に壊れてしまうというわけではないわ。でも今までの記録でアーティファクトの魔法石が壊れる期間を見てみると、数か月後、数年後には・・・。」


 それはまさしく国家の危機ですよね。東西千キロ以上の結界がある日突然消失すれば、魔物の山から魔物があふれ出てくる可能性が大きい。そもそも魔物の山側の魔物の数とか把握しているのだろうか?古の時代から約2000年、結界を張りなおして約500年、その間に魔物がかなり増えているのではないか。


「あの、お話の途中ですみません、魔物の山の魔物のおおよその数って、把握されているのですか?」


 僕の質問に、サシャさんとアート様は、首を横に振って答えた。国王様は深くため息をついている。


「地図を見ても分かる通り、北の国境線は長いわ。とても調査などできないし、魔物の山の魔物は強力だから、調査をするにしても膨大な戦力を必要とするの。とても無理だわ。それに・・・、結果守の村は対魔物の要で、これはアート君に聞いた方が詳しいけれど、他国からの結果守の村への干渉を防ぐために、周辺に密かに防衛網を敷いているわ。西の国境、南の国境、そして結果守の村。ここに既に膨大な戦力を配置していて、そんな余裕もない・・・のよ。」


 うわぁ・・・これはバイクの事も具体的に知られている可能性が大きいな・・・まあいいか。


 ん?この異世界には、サンプリング調査という概念はないのか。調査といえば全量調査なんだな。まあ、サムア王国側や、魔物の山の北側には結界がないと考えると、そちら側に異様にあふれ出ていなければ、魔物の飽和状態ではないとは思うのだけど、そこは僕は知らないからな。


「戦力の話は、あとでアート君に詳しくきいてね。それで、私も含めて、結果守の村では、アーティファクトの魔法石の代替えの研究も続けていますが、芳しい成果は上がっていません。そこで・・・、」


 サシャさんが国王様の方を見て、再び頷き合っている。


「アタールさんに、是非その研究の協力をお願いしたいの。どうかしら。」


 エレナの方を見ると、僕をじっと見つめている。ジト目ではない。期待のこもった目だな。これは引き受けるしかないだろうけど、結果守の村に張り付きは困る。週一とか不定期ならいいけどどうかな・・・。


「お手伝いさせていただきます。でも、少しだけ条件を付けさせてもらっていいですか?足元を見るようなものではありません。」


「なにかしら?内容によると思うわ。ねえ、叔父様。」


「良い、余に言ってみろ。」


「ありがとうございます。その研究なのですが、僕はここで行ってもよろしいでしょうか。もちろん定期、不定期で結果守の村を訪問して、情報の共有や研究の成果を開示しますし、魔法石の魔力チャージなどもよろしければ参加させていただきます。」


 また国王様とサシャさんがひそひそ話を始めた。でもアート様はいつも蚊帳の外なんだな、なんか少し可哀そうかも。


「わかった、それで構わん。細かいことは結果守の村で、サシャと打ち合わせしてくれ。どういう研究をしているのか、見て聞いた方が早い。それとアート、お前はアタール君がお前の領地に居る間は、サポート役だ。アタール君やエレナさんに、決して粗相のないようにな。あと報酬はあとで余が送るからお前が出しておけ・・・いや、転移ができるのだから、たまに、アタール君が顔を出せばいいのか?うむ。」


 国王様のアート様に対する扱い、やっぱりひどくない?そして、転移とはいっても、街に入るときには門番を通さなきゃいけないから、街門のかなり前から歩くなりしないといけないんだよね。まだこの国に来てから雨に当たったことはないけど、場合によっては雨の中を歩くことになるし、行くたびに先ぶれ出さなきゃいけなんだよな。で、報酬?なにそれ。あと、まだサルハの街にさえまともに住んでないんだけども・・・。あ、アート様がこっち向いた。


「では、アタール君、我らが王国のため、我が領のために力を借りるが、よろしく頼む。」


「はい。こちらこそよろしくお願いします。それでは皆さん、そろそろ王城に戻りますか。」


 僕が皆に問うと、国王様が車に乗って飛びたいとごね出したので、王都が見えるところくらいまで、飛んで行くことになった。まあ、飛ばせば2時間くらいだからね。途中、席を交代しながら、眺めを楽んだ。国王様が助手席を所望されたときいは、エレナが少しむくれていたけれど、後ろでサシャさんと盛り上がっていたので良しとする。今度四駆のワンボックスカーでも買うかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ