表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/116

第22話 付与魔法は奥が深い。

評価およびブックマークありがとうございます。本当に励みになります。

第22話はちょっと長くなり過ぎたかもです。今後はもう少し調整できるようにします。

「まずは、この国のことについて教えていただきたいのです。」


 早速切り出す。一応ジャーパン皇国という仮想の国を例に出しながら、ファガ王国に関しての情報をお聞きしていく。ある程度僕の情報については与えているので、今のところ気軽に話すことができる唯一のご家族が、ダフネさん一家だ。


 なんと、暦は1年365日であるところも、うるう年があるところも、週7日であるところも同じ。違うのは、1月から7月までが1か月30日で、8月から12月までが1か月31日であるところ。いわゆるうるう年には1月が31日になるそうだ。うるう秒の調整などは知らない。地球のカレンダーはそのまま使えないけれど、これなら予定立てるとき便利だ。


 家に帰ったら、早速スマホやパソコンのカレンダーにも、異世界暦として登録しておくべきだろう。うるう年が地球と同じ年ならいいな。休日という概念はなさそうだ。ちなみに現在はファガ歴632年。なんかそのままの暦。他の国ではまた暦ちがうのかな。世界共通歴ってないのだろうか。


 そのほか、成人年齢はスラムで聞いた通り、16歳。しかし結婚自体は男女とも15歳で可能だそうだ。このあたりは、農民に配慮しているらしい。人頭税収入を増やすためでもあるだろう。成人前と成人で人頭税が倍になるそうだ。


 宗教については多神教だけど、数はそんなに多くない。おそらく自然崇拝からの派生だろう、


 太陽神(商いと豊穣の神):アーシラ

 火と山の神(職人の神):コシシス

 愛の神(武と愛の神):アナトス

 海と川の神:(漁業と海運の神)ナハル


 の4柱で、商人はアーシラを信仰しているようだ。


 ちなみに冒険者はアナトスとアーシラの両方。まあ、このあたりは都合で適当に祀る感じかな。教会は柱ごとにあるのではなく、基本的には一神教と変わらないそうで、神全体というか神という単語に当てはめるのがエルという名だそうだ。


 なので、エル教○○神という感じ。そしてその教団の総本山がサムワ王国にあるという。宗教関係については、今後教会ででも詳しく聞けばいい。今欲しいのは、あくまで一般常識だしね。教会の権力なんかも後日聞こう。


 教育制度については、王都のみに魔法使いの学校、行政官の学校、貴族の学校があるそうで、どれも基本貴族の子弟か、貴族の推薦を受けたものが通うそうだ。商人は基本、民間の寺子屋のようなところで計算を習うか、家庭教師を付けて学ぶ。



 職業選択の自由にもつながるけれど、本来はすべてが世襲。養子や内弟子という形での世襲回避もあるそうだ。一般的に唯一世襲を回避できるのが、冒険者で、冒険者として働いたあとは、その技能や能力によって、各種ギルドに登録することも可能。


 あと、跡を継がない貴族様の子弟についてだけは、職業の選択は自由だけど、ほぼ武官か文官になるらしい。


 僕の場合は?と尋ねると、今持っている結界守の村の紹介状ならば、役所でなんとか商人ギルド登録のための認証は取れるだろうとのこと。結界守の村の紹介状、役所関係には無敵だな。


 でも、世襲や養子・内弟子でない場合商人ギルド登録に保証金として大金貨20枚(約1千万円程度)必要だから、かなりハードルは高くされている。世襲の場合は大金貨1枚。従業員に関しては特に規定なし。農民だろうが貴族だろうが、誰でも雇えるが、ギルドに登録できるのは、商店主だけ。


 内弟子扱いは、ほぼ養子と同じだから、親方がすべての責任を取ることになるので気を付けるように言われた。


 ダフネさんも、登録時に支払ったそうだ。まあ、それくらい稼ぐ能力と資産の証明というころだろうから、理には適っている。登録料は金貨1枚。これは事務手数料だね。おそるおそる、大金貨を見せていただけないかお聞きしたら、すぐに金庫から出して見せてくれた。人良すぎです。手に取って密かにデュプリケートしておく。


 商人ギルドと冒険者ギルドへの重複登録も可能なそうなので、僕はその線で行こうと思う。貿易商か行商、もしくはその両方で登録しておけば、その鑑札を提示して税金を払えば領境も国境も越えられるとのこと。税金計算については、ギルドで詳しく聞くことにする。


 役人や貴族については、ほぼ想像通りで、いい人も悪い人もいる。賄賂なんかもまかり通っていて、貴族の口利きなんかも普通にあるそうだ。


 ダフネさんのところは、村周りの行商とサルハの店だけなので、そういうのに絡むことは少ないし、冒険者時代のコネというか睨みが効いているので、トラブルは今のところ無いそうだ。


 ことジニム辺境伯領においては、思った通り良い治世が敷かれていて、比較的不正も少ない。ただ、貴族に関しては、ジニム辺境伯以外もサルハにも時折訪れることもあるので、気を付けるようにいわれた。


 ここは法律と関係するが、平民は基本的に貴族には逆らえない。かといって僕が思っているように、即無礼打ちというのも少ないようだ(一応あるのかよ・・・)。投獄の上、審問会を経て専門役人により裁かれるが、決して裁判ではないようだ。


 例の嘘発見器魔法石で、審問される。だから、無礼を働いたのが事実ならば、何かしら裁かれるという。気を付けよう。平民が貴族を訴えるというのは、命がけで、自分の住む町の代官経由で領主に直訴状を送る感じだそうだけど、前例は知らないそうだ。


 やはり専制君主制。役人を訴えるのも同じく代官への直訴だそうだが、こちらは命がけではないそうで良かった。まあ目安箱だな。


 一般的には、詐欺、盗み、傷害、殺し、姦淫などが処罰対象。普通に暮らしていれば、まずは問題なさそうだが、念のために今後も細かく調べてメモしておこう。平民は裁かれる側が基本っと。


 普通人が生きるべきルールという意味でのファガ王国の一般常識もお聞きしたが、挨拶の仕方が、握手ではなく軽く会釈する程度であることくらい。貴族に対する挨拶は別にできなくてもいいそうだけど、一応馬車が通るときや貴族様が通るときは目線を合わせずに、下を向いておくように言われた。


 それは得意。気づかずに目があっても、すぐに対応すれば問題ないらしい。よし。国王や領主のお触れもあるとのこと。


 そして魔法関連。治療魔法は、普通にあるそうで、ヒールやハイヒールは正解だった。他にも解毒魔法とかもあり、薬もある。ただし、普通の魔力ではそんなに効くわけではないようで、治療魔法にある程度特化した専門の治療魔法士というのが居て、その認定は教会で行っているそうだ。


 ちぎれた手足が生えたというのは聞いたことがないそうだ。まあ、ありがちだな。


 そのほか攻撃魔法は、火、風、水、土などの属性魔法というのがあって、得意不得意でそれぞれ使っていて、威力も人それぞれ。冒険者と貴族、軍関係者には、高度・強力な魔法を使える方が多いとのこと。


 聞く限りは、そんなに強力なものはなさそうだが、過去には大魔法と言われる魔法を使う大魔法使いもいたそうだ。このあたりは本から学ぶかな。そして、防御魔法もあった。まあ、防御魔法はいわゆるシールドで、見えない盾だね。


 魔法についてはあまり深く考えなくてもいいかもしれない。他の人が知らない魔法使う特は透明化すればいいし。


 魔法使いの地位、これは一般水準以上、中級魔法と呼ばれるものが使えれば、まあ一目置かれるそうだ。インベントリは、容量が小さくても中級だそうで、奥様のマーシャさんは、中級魔法使いとして、攻撃魔法とも相まって、有能な冒険者として名を馳せたという。


 ちなみにダフネさんは剣術が得意な冒険者だったが、攻撃魔法が地味なので、魔法使いとしてはいまいちだったという。というか、この家族全員魔法使いじゃないのか・・・。と思ったら、マーキスくんやマリアちゃんの生活魔法程度は、魔法使いの範疇には入らないとのこと。う~ん、わからん。


 いよいよ奴隷関連。ここは大事ですよ。僕の質問する声も若干抑え気味となる。奴隷の種類には、賃金奴隷・戦争奴隷・犯罪奴隷がある。


 賃金奴隷は多岐にわたる、納税できなかった平民。いわゆる身売りもそうだし、攫って売られたり、海外から攫ってくる場合もあるそうだ。捨て子なんかも奴隷にされる場合は、賃金奴隷。奴隷が産んだ子供とかも。


 開放は、持ち主が自由に決めることができるが、賃金奴隷の名の通り、最低限決まった賃金と衣食住に関しての義務を負う。基本的には財産、ようするに物扱いだ。奴隷側の権利はほとんどない(察して)。


 転売は自由。価格は大金貨10枚前後が一般的。戦争奴隷は賃金奴隷に準ずるが、身分の高い者なども含まれる。犯罪奴隷には、賃金を払わなくても良いという以外は、賃金奴隷に準ずるが、殆ど国か貴族直轄の公共事業か鉱山での労働で使われるので、一般に出回るのは女性と子供のみ。


 教会と関連するが、戸籍のようなものは、教会が担当している。まあ、結婚したら結婚式、子供が生まれたら洗礼、死んだら葬式、そこいらを一手に引き受けているのだから、地球の昔の制度と同じようなもんだ。


 なので、その戸籍らしきもので確認できない人は、たとえ攫って来ても罪に問われることなく売買されるという。怖い。僕売られてた?教会にも通おう。


 奴隷殺しはもちろん犯罪だが、逃亡奴隷に対する処罰として私刑が認められているので、殆ど闇の中という。う~ん、これ主人になったら、恨まれないか心配。一度奴隷商でも見学に行くべきか。なんだか僕暗くなったよ。主人の権利が強すぎて、逆に重圧感が半端ないです。


 ここは気を取り直して、エゴサじゃなく僕についての評価。


「いや、アタールさんは、大魔法使いでしょう、私より若いけれど尊敬してますよ。あ、そういえば水袋と、収納袋本当にありがとうございます。ちょっと魔力の維持には苦労しますけど、とても役に立っていて、もう家宝以上ですよ。アーティファクトクラスです。もちろん、家族以外、誰にも話してませんし、バレるような使い方はしてません。」


 10歳以上歳上にも関わらず、ほんといつも丁寧に話してくれる。ん、ちょっと待って、魔力の維持って何?


「魔力の維持ってどういう意味です?」


「あ、アタールさんは意識せずにこういうの使えるんですね。クリエイトウォーターやインベントリ、その機能を維持するのに、魔力を注ぎ続けないといけないんです。もちろんアタールさんから頂いたものは消費魔力も少ないので、継続して維持するのも幾分楽なんですが、さすがに子供では収納袋は30分も持ちません。私や妻でも半日でしょうか。だから、使用するときは交代しながら使わせてもらってます。」


 ん?ということは、魔力が切れると、機能が停止するということか。いや、大荷物の場合、それは大変じゃないですか。こういう場合普通どうすんのよ。メモ書き換えないと。


「普通は、魔力チャージできる魔法石、この袋の消費魔力ならば、ゴブリンの魔石程度かな?それを同期させておくんです。魔道具って、一時的に魔力を込めて使うもの以外は、だいたい作られるときに、製作者が同期させて・・・」


 ゴブリンきた~!って、そんな場合じゃないでしょ。これ下手したらリコールものですやん。ちょっと焦って、脳内言語もおかしくなってきたよ。急ぎ謝罪すると同時に、水袋と収納袋を持ってきていただく。魔物の魔石はさすが元冒険者だけあって、いくつも持っているそうなので、それも持ってきていただく。


 早速、持ってきていただいた魔石をさらに魔法で加工する。大きさは10円玉くらいのほぼ真球。真ん中にひもを通す穴をあけて、水袋と収納袋のひも部分に通して、魔力祖注ぎ、同期させてから魔力を適量消費を開始するイメージで魔法をかける利用制限はそのまま。


 水袋は、ふたを閉めたときに自動で補充ついでに劣化防止もかけれおく。収納袋は中身の量によって自動調整できるように。ついでに、お詫びもの意味も込めて収納量をさらに倍。ひとつあたり、馬車二台分程度どにしておく。およそ6畳分の部屋程度。


「ふぅ。できました。ほんとにすみません。」


 ん?ダフネさんが、口をあんぐり開けて固まっている。あ、全部無詠唱で呪文もなしでやったからか?


「ダ、ダフネさん、どうしました?」


「いや、魔物から取れた魔石って特殊な加工しないと魔法石にならないし、そのままチャージ用に使えないはず・・・いや、その上魔法石に穴あけるとか、普通壊れるはず・・・いや、そのさらに大きさと品質の魔宝石に、銀色になるまで魔力チャージできるとか・・・・。」


 なんだかダフネさん、頭グルグルしているようだ。先ほどの僕の作業は、いろいろイレギュラーらしい。


「まあそこは、僕とダフネさんの秘密ということで。」


「コクコク」頭を縦に振るダフネさんを横目に、簡潔にこの話をぶった切り、『また来ま~す』と挨拶だけして僕は逃げるように宿へと帰るのだった。一応今日の予定すんだよね。


 宿に帰るとカウンターから声がかかる。


「お客さん、アタールさん、先ほどイワンって人が訪ねて来てましたよ。」


 あ、確かマキシムさんに宿教えてたっけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ