ボスモンスター:ダークドラゴンの日常
立ちはだかったのは、ダークドラゴンだった!!
…いや、勇者たちが現れた!!
これは、ボスモンスターとして君臨するダークドラゴンの物語。
けっこう強そうだな。
勝てるかなー…。
ドラゴンは思った。
だって、装備に金かけてるもんな。
特に、リーダーっぽいヤツの装備、光ってる。
ドラゴンは悩んだ。
でも、私は、ここのボスなのだ。
戦うしか選択肢はない。
だって、放棄して逃げちゃったら、減給50%だもんな…。
ドラゴンは開き直った。
そして、重々しく口を開く。
「よくぞここまで来たな。勇者よ」
「ダークドラゴンか…!」
細身の剣に、白銀の鎧に、白銀の兜に、白銀の盾を装備した若者が言った。
その装備には、古代文字らしき文様が浮かんでいる。
風貌から推測するに、いわゆる勇者であろう。
「倒さないと、先に進めないようですね」
白地に金の刺繍の入ったローブをまとった女性が言った。
その手には、先に赤い宝玉のはめ込まれた精巧な細工のロッドを持っている。
風貌から推測するに、いわゆる魔術師であろう。
「あんなの、どうやって倒せっていうんだ」
白地の服に赤の腰布を巻き、足には茶色のブーツを履いた、少しゴツそうな男性が言った。
その手には、大きな白銀の爪らしき装備を身に付けている。
いわゆる武道家なのであろう。
「神よ、我々にご加護を…!」
白地に銀の模様の入ったローブをまとった女性が言った。
耳の先が尖っているので、エルフなのであろう。
木でできた杖を持っているところを見ると、回復役だろうか?
発言からすると、神官のようにも思えた。
このパーティ、白が好きだな。
一通り確認して、ドラゴンは思った。
武道家を除いては、美形揃いであった。
このパーティ、ちょっといいかも。
そう思った後、ドラゴンは心の中でぶんぶんと首を振る。
そんなことを考えてる場合じゃない。
大切なのは、どうやって追い返すかだ。
ドラゴンは、自分に、自信が無かった。
「グォォォォォ…!」
ドラゴンは、雄叫びを上げた。
その雄叫びは、空気を裂き、大地を抉るようであった。
雄叫びを上げながら、ドラゴンはチラチラッとパーティを見る。
これでビビって引き返してくれんかな。
体感、今までのパーティは、半分くらい、
この雄叫びにビビって逃げ出して行ったのだが…。
雄叫びを終えた後、今度は、ドラゴンはパーティをガン見した!
否、パーティを威圧に満ちた目で、睨みつけたのだ!
パーティを見ると、怯えているようだった。
女性二人は、後退りしている。
勇者が、二人を庇うように、前に出て来ていた。
武道家は、かなり逃げたそうだったが、強がって戦闘態勢に入っていた。
ダメだった…少しは脅しが効いたようではあるが…。
このパーティ、逃げそうもない。
これは、言葉でも牽制するしかないか?
ドラゴンは、少しドキドキしていた。
「コォォォォォ…!」
ドラゴンは、ブレスを吐く態勢に入った。
ドラゴンの眼が赤く光り、その口から炎が溢れ出す。
その態勢で、ドラゴンは、何かを言おうとしたが、
それは声にはならず、「ゴォォ…!」という雄叫びに変わる。
本当は、ブレスを吐く様子を見せながら、
言葉でも牽制したいのだが、だいたい失敗するのだ。
なかなか、難しいのである。
「無理だ!引き返そう!」
武道家が言った。
ドラゴンの目が見開き、尻尾が大きく揺れる。
ソウダ、ソレデイイ。
コノママ、タイキャクスルノダ!
「いや、…突破する!」
勇者が言った。
「今、逃げても、後悔するだけだ」
勇者の発言に、女性2人がうんうんと頷く。
ドラゴンの目が、カッと見開く。
ナニソレ?!
ナンデ、ソンナニガンバルノ?!
ソンナニ、ガンバラナクテイイヨ。
タイキャクスルノダ!!
ドラゴンの尻尾がぶんっと大きく揺れた。
尻尾は地面に当たり、ズシン…と地面を打ち付ける。
ドラゴンは、吐きかけたブレスをいったん止めて、
勇者たちに問い掛ける。
「勇者よ。選択肢を与えよう。
逃げるか、ここで死ぬかだ!」
言いなれたセリフである。
ここのセリフが、けっこう重要なのだ。
ここで威圧感を出しておくのがコツなのである。
そうやって、出来れば、逃げて欲しいオーラをさりげなく出した。
上手く伝わっているといいのだが…。
先ほどのブレスとセリフで、割と、諦めて帰って行くパーティがいるのだ。
体感で、半分くらいのパーティがこれで逃げて行く。
「僕たちは負けない!」
勇者が凛として言った。
かなり腕に自信があるのか、それとも、怖い物知らずなのか、
逃げる様子がない。
他のパーティメンバーも、戦闘態勢を整えている。
ドラゴンは、いよいよ諦めた。
これは、観念して、戦うしかないのか…。
この前に戦ったのは、ずいぶん、前だったが、
けっこう苦戦したのを思い出す。
死ぬかと思うくらいの戦いであった。
激戦の末、なんとか、敵パーティを撃退したのだ。
とはいえ、戦っても、褒賞が出る訳でもなし、
出来れば、戦いは避けたいところなのだが…。
ボスモンスターも、なかなか、命がけで、辛いのである。
「良かろう。返り討ちにしてくれるわ!!」
内心、ドラゴンは思っていた。
途中でもいいから、諦めて、逃げてくれればいいのだが!
ボスモンスターだって、必ずしも、戦いが好きな訳ではないのだ。
戦いを好まないボスモンスターだっているのだ。
そこのところを、本当は、理解して欲しい…。
本音では「戦いは止めましょう!」と言いたいところなのだが、
ボスの一人(一匹)として、それは口に出すことは出来ないのだった。
「行くぞ…ダークドラゴン!」
勇者は、目の前のドラゴンに斬り掛かった!
それとほぼ同時に、2人の女性は詠唱に入る。
そして…戦いは、後に、伝説となるのだった。
結局、どちらが勝ったのでしょうか?
ご想像にお任せいたします…。
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