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少女

さて、前回あんなことを言っといてなんだが……

全く進展がない。

名前を教えてくれるどころか、話しかけて声が帰ってきたことすらない。

一応表情は少し動くのだが、微々たるもので分かりづらい。

こんなんどないしたらええねん。


そんなことをしていて早2ヶ月。

この二ヶ月間で少女についていくつかわかったことがある。

まず、どこかで剣術を習っていたのか、とても剣の扱いが上手い。

運動能力も俺より高い。

素手でも剣でも1度たりとも勝てないのだ。

あと、凄い真面目。

アルフレッドの訓練もアンナの授業も一切手を抜かない。

俺がアンナのメイド服とその豊満な胸に見とれている間にアンナに出された課題を全てやりおえるのが日常になってきてて、俺が出来の悪い子みたいに見られ始めてる。

このままでは不味い。

非常に不味い。

このままじゃ、親の七光りとか言われても仕方ないような出来の子になってしまう。

そんなわけで仕方なく、寝る間も惜しんで勉強と筋トレをしているのだ。

あれ?俺まだ6歳なのに生前より睡眠時間減ってないか?


さて、そうしたある日のこと。

普段はアルフレッドの戦闘訓練は中庭でやるのだが今日は何故か地下室に連れてこられていた。

「なあ、アルフレッド。なんで今日は地下なんだ?」

子供らしく素直に疑問を述べてみる。

だが、アルフレッドは「すぐに分かりますよ」としか言ってくれない。

俺達はアルフレッドに連れられて地下の最も奥深くの部屋に入った。

「さて、今日はこれより魔術の訓練を行います」

待ってました!!

ついに異世界定番の魔術を使える日が来たのか!

「まずは2人の適正を見せていただきます。さあ二人とも、この玉を持ってください」

アルフレッドはガラス玉のようなものを俺に手渡し、少女に投げ渡す。

「その玉に力を込めると適性が見ることが出来るのです。さあ、やってみなさい」

言われた通りに力を込めてみる。

すると玉の中に黒い稲妻が出てきた。

と思ったら、そこの方に土っぽいのが形成される。

「おお、これは珍しい!!」

アルフレッドが驚いているのは初めて見たな。

そんなすごい事なのか?

「レクサ様は闇、雷、地の3つの属性に適正があるようですな。三属性に適性がある者などそうはいないのですが……さすがは魔王陛下のご子息ですな」

どうやらすごいことらしい。

ところで少女の方を見ると……

なんか玉が光っている。

「これは……光の属性……ですか」

アルフレッドが戸惑っている。

何かおかしいのだろうか?

「魔族で光属性に適性を持つなんて聞いたことがありませんが……。一応魔王陛下にご報告するべき……か?」

異常なことらしい。

アルフレッドがここまで動揺するのは初めて見たな。

少女はそれを見てガラス玉をポイッと放り捨てた。

割れるんじゃないかと不安になったが玉は頑丈だったらしく、傷一つついていなかった。


その後、俺達は魔術の基本的な使い方を教えこまれた。

スパルタで。

ただ、俺には才能があったのか割とすんなり使えるようになった。

少女は体術ほど得意ではないらしく少し苦戦している。

俺は微妙な優越感に浸った。


それから4ヶ月経った。

その日、俺は日課の寝る前の筋トレをしたあとベッドに潜ったのだがなかなか寝付けなかった。

そこで気分転換に中庭に散歩をしに行ったのだ。

そして、中庭で俺は息を呑んだ。

少女が剣の素振りをしていたのだ。

その一生懸命な顔、真っ白な肌が運動で少しピンクに染まっている姿、そしてその振るう剣の軌跡の美しさに俺は見蕩れてしまった。

しばらく眺めていると途中で少女は俺に気づいたらしくこちらを一瞥してから自室に戻ろうとした。

「待ってくれ!」

自分でも驚くほど大きな声。

少女はこちらを振り向きその綺麗な7色に光る瞳を向ける。

「俺に、剣術を教えてくれないか?」

言ってから俺は何を言っているんだと自分でツッコミを入れる。

今はもう夜中だ。

これ以上起きていれば明日に影響が出る。

慌てて俺は、

「あ、ごめん。もう夜遅いし、また明日でいいんだけど……」

と付け加える。

それを見て少女は少し考える素振りを見せ……

俺に頷いた。

えっと……これは今から教えてくれるということなのだろうか、それとも明日教えてくれるということなのだろうか。

喋ってくれないから分かりづらい。

少女がそのあと自室に戻っていくのを見てようやく俺は明日教えてくれるということなのだと理解した。


そして俺はベッドに戻り明日を楽しみにして眠……

眠れねぇ!?

さっきの少女の姿に興奮してしまい眠気が吹っ飛んでいた。

思い返しても本当に綺麗な姿だった。

俺のこれまでの人生……生前を合わせても最も綺麗な光景だ。

そんなことを思いながら、ベッドで悶えている内に夜が明けてしまった。

その日は朝からアルフレッドのスパルタ戦闘訓練で俺はこれまでで最も危険な状態に陥ったということだけは述べておこう。

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