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報酬

「言われた通りに助け出してきたぞ」

 

 俺達は盗賊を掃討したあと、商人達を連れて待ち合わせ場所である橋にまで来ていた。

 橋では既にあの男が待っていた。


「おお!やってくれたか!思っていたより遅かったから失敗したのかと思ったぞ」


 遅かったのは囮のアンタが引きつけるのに失敗したからだけどな!!


「そんなことより、約束通り報酬を貰おうか」


「ああ、これが約束の金貨10枚だ」


 男はそう言って革袋をこちらに手渡す。


「ところで、なんであんたら無言なんだ?」


 商人とその護衛たちは何故か助け出してからもずっと顔色は悪いし、無言だったおかげですごく気味が悪い。

 今もただただ震えているだけである。

 一応ついてきてはいるけど、魂が入ってないような感じだ。


「……多分、トラウマができたんじゃねぇかな」


「トラウマ?」


「初めて盗賊や魔物に襲われた行商人や冒険者は凄惨な殺戮を生で見て恐怖で心に傷を負うことがあるんだ。まあ、よくあることさ」


「凄惨な殺戮……あいつらそんなに強くなかったぞ?なんでそんなことに?」


 逃げ延びるぐらいは出来ると思う。


「1人、化け物がいたんだ。そいつに皆殺られてな」


「化け物ってあのオークか?」


「いや、もう一体魔族がいるんだ。そいつが恐ろしく強くてな。さっきはたまたまそいつがどこかに行ったタイミングを狙ったから何とかなったんだろうな」


 そんなのが居たのか。


「まぁ、悪いことは言わねぇ。とっととここから離れる事だ。無事を祈ってるよ」


 そうして、俺たちは商人とその護衛たちと別れた。




「……ところで、イリス」


「何?」


「金貨10枚ってどれぐらいの価値なんだ?」


「……知らない」


 ……もしかしたらすごい損をしてしまったかもしれない。

 人間の国の貨幣の価値は教わってなかったからなぁ。

 ただ、そもそも母さんの国は人間の国との国交がないらしいからアンナも貨幣の価値は知らないかもしれないけど。

 母さんは人間嫌いだしなぁ……。

 仕方ない、か。


「それより、これからどっちに行ったらいいと思う?」


「……とりあえず、盗賊たちの略奪品とかを頂戴したら?」


 なるほど、なかなかいいアイデアだ。

 色々な食料や飲み物があったし多分、金もあるだろうから、取りに戻るのもいいかもしれない。

 だが……


「あの人の言ってた化け物がいるかもしれないんだよなぁ……」


 なんだかヤバそうな言い方だったし、あまり関わりたくない。


「……何が相手でも私がレクサだけは逃がす。心配無用」


 ……なんでこの娘こんなに好戦的なんだろう。


「はぁ、じゃあ、一応見に行くだけ行ってみるか。やばそうならすぐ逃げる。それでいいか?」


 イリスは小さく頷いた。




 そして、見に行ったのだが……


 どうしよう、これ。

 なんかさっきのキャンプに戻ったら凄くゴツイ身長3m程の一つ目の魔族が佇んでいた。

 問題は、そいつと目が合って今も見つめ合い続けていることだ。

 どう考えてもバレてるよね、コレ。


 コイツ、多分キュクロプスだ。

 一つ目の巨人、鍛冶が得意な種族、火に強く凶暴といった種族だ。

 その見た目通り力が凄く強く厄介な奴だ。

 正直あまり相手にしたくない。

 だが、確かにキュクロプスは近接戦に強いが、奴らは魔法の適性が低いから遠距離攻撃が限られる。

 斬り合いしか出来ないイリスよりは俺の方が奴の相手は楽なはずだ。

 はぁ、やるしかないか……


「イリス、アイツは俺が倒す。イリスは手を出さないでくれ」


「……どうして?2人で戦えばいい」


「イリスが俺の攻撃に巻き込まれる可能性がある。俺一人の方がやりやすいんだ。あとは……イリスでもアイツに無傷ではかてないだろ?お前が怪我するのを見たくはないんだ」


「……わかった。後ろで見てる」


 あれ?反論されると思ってたけど、普通に譲ってくれた。

 珍しいこともあるなぁ。

 普段は絶対に譲らないのに……。


 まあ、いいか。


「よし。やるか」


 俺はキュクロプスへの攻撃魔法を唱え始めた。

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