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天気予報士の悪足掻き〜Please make it a fine day〜

地球が辛うじて平和だったのは500年も昔の話。

500年前地球に謎の光が降り注いだ。

それは人間に力を与えた。

火を操る者、念動力を扱う者、瞬間移動する者など力は多岐に渡った。

この力により辛うじて平和だった地球は争いが激化し世界中で戦争が起こった。


なんて話は30年前の話だ。


ようやく世界中の戦争も終わり再び平和がやってきた。しかし、それも束の間のものだろう。

なぜかって?

今の俺の状況を見ればわかるよ。


体操服は破れ、体中切り裂かれたような跡、息も絶え絶えで這いつくばっている。

そしてそんな俺を見てクスクス笑う同級生。

イジメ?いやいやイジメの方がマシだよ。


「こら笹山!何をしている!」


一部始終を見ていた先生が叱咤する。


「いくら戦闘系の能力がないからといって無抵抗に攻撃をくらっていてはいかんだろ!」


俺を……


これは教育だ。

来るべき戦争のためのね。


◇◆◇◆◇


「学校も酷いよな。ヨシトみたいな非戦闘系の能力者や戦闘なんてしたくないやつのために戦闘の授業は選択制にすればいいのにな」


帰り道、数少ない友達マサキが文句を言う。


「マサキ戦闘じゃなくて護身術だよ。平和になったと言っても能力を悪用する犯罪者は後を絶たないし身を守るためにも護身術が必要なんだ」


「はん!そんな表向きの理由じゃねえか!

みんな分かっていて知らないフリして馬鹿じゃねえのか!戦う術を覚えさせるから能力を悪用する犯罪者も減らねえんだよ!」


「わかったからマサキ!それ以上は!」


「おっと!熱くなりすぎちまった」


戦争中、国民を纏めあげるために国を悪く言った者に罰を与えていた。

今でも愛国心が強い一部の人間は世直しと称し行う者もいるし国はある程度看過している。

この世界はもう後戻り出来ない程腐っている。嘆いても仕方のないことだが……


俺の気持ちに呼応するように雨が降ってきた。


「ん?お前の言ってた通り降ってきたな。

テレビの天気予報も外すのに流石だな」


俺の能力【天の眼】は大層な名前に見合わず、見たいと思った時間と場所の天気を見ることが出来るというものだ。更に天気だけではなくその場所も見ることが出来る。


これだけ聞くと予知能力のように使い護身の授業も無双出来るのではと思う人がいるかもしれないが無理だ。

何も動いてない写真のようにしか能力では見れず、一度見た時間の天気を見る事は出来ず、その前後3分に対して能力を使う事が出来なくなる。


それでも覗きに使えるならいいじゃんという人がいるかもしれないが、あくまで天気を見る能力だから室内では使えず、視点も自分が立った状態で見えるとこしか見えないためスカートを覗くことすら不可能なのだ。


ちなみに能力の詳細や能力名は能力鑑定の機械があり、それで産まれた時に調べられ強力な能力を持った赤ちゃんは隔離されてしまう。


残念ながら俺は隔離された覚えもないし能力で散歩している自分と母を見た事があるので強力じゃない能力なのは疑いようのない事実だ。


こと戦いに置いてはね。


「天気を当てるだけの能力なんて何の役にも立たないよ」


自重風に呟く。だが、これは冗談だ。


「ははっ何言ってんだチート野郎!

お前が居なきゃ俺達は今生きてねえよ!」


「そうだな」


俺は笑いながら答えた。


「ぷっそこは謙遜しろよ!

と、さあ着いたぞ!俺達の家に!」


俺とマサキはササヤマ孤児院と屋根に書かれた我が家に帰ってきた。


「「「おかえりー!ヨシ兄!マサ兄!」」」


ドタバタと我が家を駆けて俺達を迎えに来た子供達。


「聞いて聞いてー!

今日ね先生に褒められたんだー!」


「おお偉いな」


「えへへー!」


頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。


「あーずるい!僕にも僕にも!」


「僕も!」


「わかったわかった」


それを見てた子達が全員ねだられ全員の頭を撫でることになった。子供達は撫でられて満足したのかリビングの方へと走っていった。

俺とマサキはそれについていくとキッチンで夜ご飯を作っている中学生ぐらいの少女がいた。

彼女はこの孤児院で俺とマサキの次に年長者だ。

彼女には毎日の食事を作ってもらっている。

我が家の天使だ。


「おかえりヨシ兄マサ兄」


「「ただいまコハル」」


「ふふっ息ぴったりね」


「いつも料理ありがとな。

何か手伝うことはあるか?」


「大丈夫だよヨシ兄。

子供達の相手してあげて」


「了解。マサキいくぞ」


◇◆◇◆◇


いつも通り平穏に時が過ぎていき孤児院の子供達が全員寝静まった頃。

俺とマサキの仕事が始まる。

まあ仕事という程のものじゃないが。


「じゃあ今日俺らが取引出来る時間帯でのレートが上がる企業はっと」


マサキが紙に企業名と大体の時間帯を書いていく。

俺達の仕事、それはデイトレードだ。

俺の能力を使ったズルで確実に儲けている。

毎日決まった時間に外に出て紙を広げて過去の自分に【天の眼】で確認してもらう。

この際、傘が必要かどうかなども一緒に書いておく。

過去一度孤児院の子が車に轢かれた事があったらしいが、そのような注意が必要なものを書く事で不幸を回避してきた。


平和な世界なら【天の眼】はチートだ。


この孤児院だって数字を7つ選ぶクジで当てた賞金とデイトレードによって稼いだ金で建てた。

まあ、あまりやりすぎると警察が来るのでバレないようにあまり一度に大金が手に入る事はやっていない。


「さて明日の俺達の報告を見にいくか」


「ん、行ってらっしゃい」


俺は【天の眼】を発動した。


いつも通りマサキが紙を広げている。

しかし隣にいるはずの俺はいない。

あれ?泣いている?

俺は不安に思いながらも紙に書かれた内容を読んだ。


ーーー

我が家に強盗が入る

犯人はわからない

監視カメラを全て壊されていた

俺が先生に手伝いを頼まれて間に合わなかった犯行は大体4時半頃だと思う

ヨシト含め、みんな殺されてしまった

頼む助けてくれ

ーーー


!?


俺も含め殺される?

……絶対に阻止しなければ。


俺は【天の眼】を解いてマサキに報告した。


「何!?それは本当か!?」


「ああ、俺も殺されてしまうらしい」


「どうする?俺達は学校を休んで対策をするか?」


「いや万が一犯人が俺達の知り合いで行動パターンを認知している場合、変な行動を取ると未来が変わって先延ばしや対策が無意味になってしまうかもしれない」


むしろ知り合いの可能性が高い。

監視カメラを全て壊すなんて芸当は初めて家に来るやつには不可能だ。

マサキが先生の手伝いでいない間を狙ったと考えていいだろう。


「なら、どうするんだ?」


「【天の眼】をもう一度使う。

家には子供達にも教えていない防犯グッズや機能が多い。みんなにも誰が来ても絶対に家に入れないようにして、その防犯グッズの使い方を教えて防犯意識を高めておけば未来が変わるはずだ」


「……大丈夫なのか?」


「大丈夫大丈夫」


「でも、お前の能力のデメリットが!」


そう【天の眼】には大きなデメリットがある。それは1日に1回以上能力を使うと眼の機能が約1割減少してしまう。

全く使いにくい能力だ。


「まだまだ視力は0.8あるんだぜ?

それに死ぬよりはマシだ」


幸運な事に元々視力は良い。

過去に2回連続使用してなお0.8なのだ。


「じゃあ、もう一度見て来るよ」


【天の眼】を再び使用した。


くっ!眼が熱い。これも連続使用の弊害だ。

眼の痛みがひいて視界がクリアになっていく。


……どうやら試みは成功するようだ。

俺とマサキはボロボロながらも清々しい顔をして紙を広げている。


ーーー

大成功!

だけど今の俺達を見ればわかるだろうけど慢心はするなよ!かなり危険なのには変わらないからな!子供達にはしっかり防犯グッズの説明をしろよ!

ーーー


俺は【天の眼】を解いた。


「どうだった?」


俺は親指を立てて合図を送る。


「子供達に早速防犯グッズの使い方を教えにいくぞ!」


「おう!」


◇◆◇◆◇


この辛うじて平和な世界で俺は【天の眼】で笹山孤児院のみんなを守っていくだろう。

涙という雨を流させないために……

何か色々フラグっぽいものもあったりと中途半端で申し訳ないですが特に続きとかは考えてないです。

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